はじめに

夕方になると脚がパンパンにむくんでしまうことがよくあると思います。
私たちの体の中で最もむくみやすいのが下半身、中でも脚です。

下半身のむくみは、脚が太く見えてしまうだけでなく、放っておくと静脈瘤(じょうみゃくりゅう)やセルライトの原因になってしまうことも考えられます。

自宅でできる簡単マッサージで、下半身のむくみをスッキリ解消しましょう!

下半身のむくみの原因

女性は特にむくみを起こしやすいといわれています。まずはむくみが起こる原因からアプローチしていきます。

むくみ=不要な水分

むくみの正体、それは「老廃物を含んだ不要な水分」です。私たちの体の60~70%は水分です。絶えることのない細胞の活動によって、体の中には不要になった古い水分が溜まっていきます。もちろん、いらないものですから体の外に出さなくてはいけません。

ところが、その排出がうまくいかないと、どんどん水分が溜まっていってしまいます。こうして起こるのが「むくみ」なのです。

リンパの役割

不要な水分を排出するための運搬経路として、リンパ管というものが存在しています。私たちの体には、全身くまなく血管が走っています。実は、老廃物である水分を回収するためのもう一つの道が、血管に沿うように走っているのです。これがリンパ管です。
そして、リンパ管の中を流れる水分のことを「リンパ液」と呼びます。

つまり、リンパ液とはいらなくなった老廃物や水分をたくさん含んでいる体液で、リンパ液の流れがスムーズにいかなくなってしまった結果が「むくみ」となって現れるのです。

下半身がむくみやすい理由

下半身が特にむくみやすいのには理由があります。

それは、リンパ管の性質に深く関係しています。血管とは違い、リンパ管は体の中をぐるぐると循環しているわけではありません。全身の末端部分から体の中心部に向けて、一方通行で流れているのがリンパ管の特徴です。全身のリンパ管は心臓近くで太いリンパ管に合流し、古い血液が流れる静脈に注ぐようにできています。

リンパ管は、基本的に下から上に重力に逆らう形で流れています。そして、リンパ管には心臓のようなポンプとなる場所がありません。リンパはもともとスムーズに流れにくいのです。

強いて言うなら、ポンプの役割をするのは足の筋肉です。立ちっぱなしや座りっぱなしなどで足を動かすことが少なくなると、ますますリンパの流れは滞ってしまいます。
女性は男性よりも筋肉量が少ないため、女性は特に、下半身のにむくみに悩まされることが多いのです。

リンパマッサージとは

リンパの流れをスムーズにし、むくみを防ぐためには、意識してリンパの流れをサポートしてあげなくてはいけません。もちろん、大切なのは「下半身をこまめに動かすこと」ですが、毎日のエクササイズなどは、なかなか難しい場合も多いでしょう。

そんなときに取り入れていきたいのが、リンパマッサージです。マッサージによってリンパの流れをスムーズにすれば、むくみの改善につながります。

下半身のむくみを解消するリンパマッサージの方法

リンパマッサージでは、マッサージする方向がとても大切です。
リンパは一方通行で流れているため、その流れに合わせてほぐしていきましょう。

方向は、基本的には足先→お腹です。さらに、リンパ管の最終地点である心臓付近もほぐすことで、リンパの流れを改善することができます。

時間もかからず自宅で簡単にできますから、入浴後などの1日の終りのリフレッシュとして取り入れてみてください。

足のマッサージ

①足の裏全体を指で優しく押してマッサージします。
②足首を回します。
③つま先を前後に動かすように、足首を曲げ伸ばしします。

ふくらはぎのマッサージ

①ふくらはぎをブルブルと揺らすようにして動かします。
②足首→膝にむけて、手のひら全体で押し上げるようにさすります。

膝のマッサージ

ヒザの裏に指をあて、下から上に押し上げます。

太もものマッサージ

①太ももをブルブルと揺らすようにして動かします。
②膝→足の付け根にむけて、手のひら全体で押し上げるようにさすります。

足の付け根のマッサージ

①仰向けに寝て足を伸ばします。
②足の付け根を手のひら全体で半円を描くように、下から上にマッサージします。

へそのマッサージ

①へその下の位置に両手をおきます。
②胃のほうに向けて優しく手のひら全体で押し上げます。

鎖骨のマッサージ

①軽く胸を張って、背筋を伸ばします。
②脇を開き、肘を曲げます。
③脇の下や肩甲骨の動きを意識してゆっくり大きく腕をまわします。
④片方の腕を上げ、脇の下→鎖骨にむかって斜め上に手のひら全体で優しく押すようにさすります。
⑤反対の腕も同様に行います。

効果を高めるポイント

リンパマッサージを効果を高める、ちょっとしたコツも合わせて紹介します。マッサージの際に意識してみてください。

入浴時・入浴後などに行う

体が温まっていると、リンパマッサージの効果を高めることができます。湯船の中やお風呂上りなどに行うのがよいでしょう。

一方通行で行う

リンパマッサージでは、下→上の一方向にしかマッサージを行いません。さする動作などは、ついつい上下に往復してしまいがちですが、溜まったリンパを上に押し上げるイメージで行いましょう。

リンパ節をほぐす

リンパ管の中には、いくつかフシのようになっている場所があります。これをリンパ節といい、主にリンパ管の合流部分などに存在しています。リンパ節はフィルターのような役目を持っているため、特に詰まりやすい場所です。
マッサージを行う際は、膝・足の付け根・へそ周辺などのリンパ節をほぐすようにマッサージするのが効果的です。

リンパマッサージを行う時の注意点

リンパマッサージは、正しく行ってこそ効果を発揮します。間違ったマッサージではむくみをかえって悪化させてしまったり、体を痛めてしまったりする可能性も否定できません。

以下の点に注意して行いましょう。

力を入れすぎない

リンパ管・リンパ節はとてもデリケートです。効果を高めようとして、強すぎる力でマッサージすると、リンパ管などを傷つけてしまう可能性があります。

手のひら全体を使い、優しく押すようにマッサージしてください。

無理をしない

体調不良時や、筋肉痛などの痛みがあるとき、皮膚トラブルがあるときなどは、無理にマッサージを行ってはいけません。かえって症状を悪化させてしまうからです。

まずは体の回復を優先させましょう。

食後は避ける

下半身のリンパ管が集合するのは、へそのある位置です。この部分を下から上にマッサージすることで、下半身のリンパを心臓付近まで流してあげることができます。

ところが、食べ物の動きはその逆です。胃から腸へと上から下に向かって進んでいきます。食直後にお腹を下から上に押し上げるようなリンパマッサージは、消化を妨げてしまいます。

食後1時間くらいはリンパマッサージを避けるようにしてください。

おわりに

1日の締めくくりにリンパマッサージを行うことで、体に溜まった老廃物やいらない水分を体の外に排出することができます。
毎日続けることで、リンパの詰まりが取れ、スムーズにリンパが流れるようになるのです。リンパの流れがよくなれば、むくみにくくなるだけでなくデトックス効果も期待できます。

リンパマッサージで美しく健康な脚を手に入れましょう。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野 
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

関連する記事

関連するキーワード

著者