はじめに

ダイエットの最大の難関は、「続けること」にあります。特に運動は、天候や服装、時間帯などといったさまざまな要素が整わないと実行できません。

「今日は雨だからウォーキングできない」、「ジムの営業が終わってしまった」などが続いてしまい、いつの間にか運動習慣そのものがなくなってしまった経験のある人も多いのではないでしょうか?

その点、自宅でいつでも人の目を気にせずすぐに取り組めるのが、踏み台昇降運動です。ダイエット効果も高く、健康的に体重コントロールができる踏み台昇降の魅力を紹介します。

踏み台昇降運動とは

踏み台昇降運動とは、踏み台などの段差の昇り降りを繰り返す運動のことです。もともとはお年寄りの足腰の筋力を維持するために開発されました。それが思いのほかダイエット効果が高かったため、体重減少を目的とした有酸素運動として注目されるようになりました。

そんな踏み台昇降ならではの魅力はこちらです。

踏み台昇降運動の魅力①:外出する必要がない

運動で痩せるのは、食事制限のみのダイエットよりも健康的です。ですが、ジョギングやウォーキングなどは天気や気温などに左右されやすく、深夜・早朝では一人で行うことに対しての不安もあります。

また、汗だくの姿を知り合いに見られることへの抵抗があるかたもいらっしゃるのではないでしょうか?わざわざスポーツウェアに着替えるのも人によっては面倒に感じるかもしれません。外で行う運動を継続するのは、想像よりもエネルギーを必要とするのです。

ですが、自宅で行う運動なら気温や天気に左右されませんし、どんなヨレヨレの格好でも問題ありません。運動のための条件がとても少ないのが、自宅でできる運動ならではのメリットです。

踏み台昇降運動の魅力②:好きなことをしながらできる

運動が続かない原因のひとつに、「運動中の退屈」があります。毎日30分の運動を目標にしても、その30分間が長く感じられ、続けることを苦痛に感じてしまうのです。

踏み台昇降運動は、テレビやDVDを見ながら、音楽を聴きながら、本を読みながら、ゲームをしながら、友達と通話しながら、などの「ながら運動」として取り入れられるものの種類が非常に豊富です。そのため、飽きにくい運動なのです。

踏み台昇降運動の魅力③:筋肉を減らさない

踏み台昇降運動は、下半身だけの運動ではありません。段差を昇り降りするにはバランスをとる必要がありますから、無意識のうちに全身の筋肉をくまなく使用しています。

さらに、筋肉量を維持したままなら基礎代謝が減少しないため、リバウンドのリスクを抑えることができます。そして何より健康的で引き締まったボディラインを目指すことができるのです。

踏み台昇降運動の魅力④:お金がかからない

踏み台昇降運動の魅力は、お金がかからないことにもあります。ダイエットのための器具やランニングシューズ、スポーツウェア、ジムやプールなどの費用も掛かりません。

強いて言えば踏み台の準備費用ですが、不用品を利用してタダで自作することも可能なのです。とにかくお金がかからないダイエットが、踏み台昇降運動であるといえます。

踏み台昇降運動の効果

踏み台昇降の運動効果

踏み台昇降は、手軽で簡単な動作であるにもかかわらず、高い運動効果・健康効果を持っています。
・全身の筋肉をくまなく鍛える
・心臓の筋肉を鍛える
・ストレッチ効果
・汗をかきやすい体質になる
・むくみの解消効果
・バランス感覚を整える

このように、単純な体重減少だけでなく「全身をキレイに健康に整えてくれる」効果も持っているのが踏み台昇降運動なのです。

踏み台昇降運動の消費カロリー

では肝心のダイエット効果についてです。

踏み台昇降運動で消費するカロリーは、体重や年齢・性別によって異なってきます。ですが、平均して体重1㎏に対して1分間で0.1キロカロリーの消費が目安となります。つまり、体重50㎏の人が30分間おこなうと、約150キロカロリー程度を消費することができると考えられます。ウォーキングよりも効率的にカロリーを消費することができます。

準備するもの

踏み台昇降は踏み台さえあれば行うことができます。

もちろん、踏み台昇降運動専用の踏み台も市販されています。ですが、家にある不用品でも簡単に自作することができます。

0円でできる踏み台の作り方

材料はたったこれだけです。
・段ボール箱(ビールの空き箱がベストな大きさです)
・週刊漫画雑誌などの厚手の本、または古新聞
・ガムテープ

作り方はとてもシンプルです!
①大きめの段ボール箱に、漫画雑誌や古新聞を詰めます。
その際、雑誌や新聞自体をガムテープでぐるぐる巻きにしておくと安定感がUPするのでオススメです。繰り返し使用していくと高さが減ってきてしまうので、最初は段ボールが膨らむくらいギッシリ詰めるのがポイントです。
②段ボール箱をガムテープで補強します。

この自作踏み台はクッション性が高いので、膝や足首などへの負担を減らす効果を持つ優れモノでもあります。

そのほかに必要なもの

踏み台昇降は単調な運動です。そのため、時間つぶしアイテムを充実させておくといっそう続けやすくなります。

・DVD
・テレビ
・音楽
・スマホ
・本
・ゲーム
などです。

ただし、踏み外しや転倒などの危険もありますから、両手をふさいでしまうような本やゲームなどをお供にするのは踏み台昇降運動に慣れてきてからにするのがオススメです。

そのほか、手の届く範囲に
・水分
・タオル
を準備しておいてください。

足に不安のある人はランニングシューズもあると安心です。もちろん必須というわけではありません。様子をみて必要そうなら購入を検討してください。

踏み台昇降運動のやり方と頻度

踏み台昇降運動の方法はとても簡単です。

①踏み台の後ろに立つ
②片足ずつ踏み台に乗る
③先に乗せたほうの足から順に、踏み台から降りる
④ひたすら繰り返す
これだけです。

速さの目安は?

一般的に有酸素運動は「軽く息が上がる程度の負荷」が最も効率的だといわれています。踏み台昇降運動も同じです。およその目安としては1秒に1~2歩程度です。もちろん最初はゆっくりで構いません。息切れしてしまうくらいの負荷になると脂肪の燃焼効率が落ちてしまいますから、最初はマイペースに行ってください。

時間の目安は?

踏み台昇降運動を行う時間の目安として、1日に30分~1時間程度を確保したいところです。もちろん連続して行う必要はありません。10分を〇回など、小分けにしても効果が落ちることはないので安心してください。

週に何日行えばいい?

ダイエット目的で踏み台昇降運動を行うなら、可能な限り毎日続けたいところです。ですが、現実的に難しい人も少なくないでしょう。その場合、1日おきで週に3~4日を目安にしてください。

ただし、筋肉痛や関節痛などがある場合の無理は厳禁です。踏み台昇降で大切なのは長時間ではなく「長期間」です。ゆるく長く続けることを目標にしてください。

消費カロリーアップのポイント

どうせ同じ時間運動するなら、少しでもカロリー消費量を多くしたいものです。そのためのちょっとしたポイントを紹介しましょう。

・腕を大きく振る
・足を高く上げる
・テンポを速くする
・踏み台と足の距離を広めにする
・ダンベルなどを手に持つ
・踏み台の高さを少し上げる

このような工夫をすると、運動負荷が高くなるので消費カロリーも増やすことができます。ですが必ず自分の体と相談しながら無理のない範囲で行いましょう。

踏み台昇降運動の注意点

最後に、踏み台昇降運動でダイエットを行う際の注意点を紹介します。健康を害さないために、必ず守るようにしてください。

踏み台の高さは10~15㎝

運動効果を高くしようとするあまり、踏み台の高さを高くしすぎるのはよくありません。転倒などの危険もあり、さらに関節への負担も大きくなってしまいます。踏み台の高さは10~15㎝あれば十分です。

運動前後のストレッチは必ず

運動習慣のあまりない人の場合、筋肉や腱、関節などが硬くなっています。運動前後に十分にやわらかくほぐすことで、ケガや痛みなどを防ぐようにしましょう。

筋肉痛・関節痛があるときは休む

効果を急ぐあまり、痛みがある状態でも運動するのはオススメできません。結果的に体にダメージを与えることになるからです。痛みや違和感があるときは無理せずに休む勇気も必要です。

水分補給はこまめに

目に見えて汗をかいていなかったとしても、運動中の水分補給は必須です。喉が渇いていなくても、汗をかいていなくても、こまめに水分補給を心掛けてください。

最初はマイペースで

特に最初の2週間程度は意識して「ゆるめ」に行うのが続けるコツです。体が運動自体に慣れるまでの期間は「キツイ・辛い」と感じないほうが長期間継続しやすくなります。回数や時間などの目安は、あくまでも「踏み台昇降運動に慣れてきてから」考えましょう。

汗の量にとらわれない

ダイエットに関する誤解のひとつに「汗をかく=脂肪が燃える」というものがあります。これは完全な間違いです。汗をかくのは体温が高くなっているからにすぎませんし、汗をかくと体重が減るのは「体の中の水分が減った」からです。

汗をかいたからといって必ずしも脂肪燃焼しているわけではないのです。正しい有酸素運動を行えば、汗をかかなくても脂肪は燃焼されます。

最初は体重が増えることも

ダイエット効果をはかる目安として一番用いられているのが「体重」です。踏み台昇降運動を始めてから「体重が減らない・増える」人は少なくありません。運動開始初期には、筋肉量が増えることによって体重も増えてしまうケースがあるからです。

2ヶ月間は続けてみてください。継続によって体重の減少も期待できるようになります。

食事制限はやりすぎない

踏み台昇降は全身の筋肉を使った運動です。ダイエットの基本は運動と食事制限ですが、過度に食事制限を行うことはお勧めできません。体が脂肪よりも筋肉を優先的に減らそうとするスイッチを入れてしまうからです。特にタンパク質は意識的に摂るよう心がけてください。

おわりに

ダイエットのための運動としてのハードルが低いわりに、得られる効果が大きいのが踏み台昇降の魅力です。

毎日5分からでもいいので始めてみてはいかがでしょうか。料理やテレビなどのスキマ時間も活用してみてください。慣れてきたら徐々に時間を増やしてみましょう。

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野 
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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