坐骨神経痛とは

『坐骨神経』は末梢神経の中でも最も太い神経と言われています。
腰の骨からお尻にかけて伸びており、太もも、ふくらはぎ、足まで繋がっている神経です。

何らかの原因により、坐骨神経に沿った部分に現れる痛みや痺れといった症状の総称を『坐骨神経痛』といいます。

坐骨神経痛の原因

原因は個人によって様々です。
運動のしすぎや、デスクワークなどで長時間座りっぱなしの姿勢をとることで起こる場合もあれば、『*1 椎間板ヘルニア』や『*2 脊柱管狭窄症』などの疾患が内在している場合もあります。

*1 椎間板の中にある髄核という組織が、本来あるべき位置から外に飛び出してしまっている状態
*2 脊柱管という脊髄にある神経の通り道が、骨が肥大したり、椎間板がはみ出したりすることによって狭くなる病気

整形外科のレントゲン検査などで、腰椎や椎間板などに明らかに異常が見られる場合もあれば、検査上は全く問題がなくても痛みが発生している場合もあります。
前者の場合は、その疾患の治療が第一になりますが、後者はストレッチを行うことで、痛みの軽減が図れる可能性があります。

ストレッチの坐骨神経痛への効果

坐骨神経痛の原因は上記のように様々ですが、簡単にいうと、どの場合も坐骨神経が圧迫されているというのが根本にあります。

そのため、ストレッチにより坐骨神経周囲の筋肉をほぐすことにより、坐骨神経痛の緩和が期待できます。
特に、軽度のうちは自分でストレッチを行うことで症状の悪化を予防したり、改善したりできる可能性が高くなります。
デスクワークや立ち仕事の時間が長い方は、ぜひ合間にストレッチをしてみることをお勧めします。

既に症状が進行して痛みが非常に強い場合は、ストレッチをすることで症状を悪化させてしまう危険性があるため、行う前に専門家に診てもらった方が良いでしょう。

坐骨神経痛に効果のあるストレッチのやり方

坐骨神経痛に効果のあるストレッチとして『梨状筋ストレッチ』をご紹介します。
『梨状筋』とは、お尻の深い部分にあるインナーマッスルです。坐骨神経は梨状筋の下を通っているため、梨状筋が硬くなっていると、痛みを引き起こしやすくなります。
ストレッチの方法はいくつかありますが、座った姿勢で簡単に行える方法をご説明します。

① 姿勢を正して浅めに椅子に腰かけます。
② 片方の足首を反対側の膝の上に乗せ、上に乗せた脚の股関節を開いた状態にします。
③ 膝と足首に手を添えながら、背筋を伸ばしたまま、ゆっくりと身体を前に倒していきます。

正しい姿勢で行うとお尻の筋肉がじっくりと伸びるのを感じられると思います。
特に痛みが出やすい側の脚を重点的に行いましょう。

ストレッチの注意点

ストレッチを行う上で注意したいのは、痛みが強くなるほどまで、きつく行わないようにすることです。
ゆっくり・じんわりと行い、決して反動をつけたりしないようにしましょう。
ストレッチは気持ちいいと感じる範囲内で行う必要があり、強くしすぎると筋肉を傷つけてしまう危険性があります。
その場合は、直ちにストレッチを中断してください。

また、坐骨神経痛の症状が既に酷くなってしまっている場合は、ストレッチが逆効果になることがあります。
整形外科や接骨院等を受診し、専門家の診断・治療を受けることをお勧めします。

おわりに

坐骨神経痛についてその原因、効果のあるストレッチ方法、注意点について解説しました。
今回は坐骨神経痛のみについて解説しましたが、坐骨神経痛と同時に腰痛を起こす場合も多くあります。
その場合は、坐骨神経痛に対するストレッチに加え、腰痛を改善する体操も並行して実施すると良いでしょう。
ぜひ症状の軽いうちに対策をとり、痛みなく、元気に毎日を過ごしましょう。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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