腰痛の原因

腰痛のほとんどが原因不明?

日本人の8割以上が感じている腰痛ですが、実は、その85%以上が医学的に原因不明だといわれています。
病院へ行っても、レントゲンやMRIなどの画像診断で原因がなければ異常なしと判断されることも多く、その原因のわからない腰痛に日々悩まされている方が多いのが現状です。

痛くなる前の予防が肝心!

腰痛になると原因がわかる、わからないにかかわらず、とにかく痛みを緩和したいと思うでしょう。そのため、医療機関を受診したり、湿布薬で痛みを緩和させたりするなど、いろいろな対処をすると思います。
対処によって一時的に良くなったように思えても、腰痛は繰り返して起こることが多いです。
そのため、痛くなってから治すのではなく、腰痛にならないための日頃の生活習慣の見直しと改善が大切です。

日常生活での腰痛予防と改善

腰痛を繰り返す方の生活には、腰痛につながる原因が隠れています。また、腰痛の対処方法が誤っている場合もあります。
ここでは、腰痛の予防・改善において日常生活で気を付けることをご説明します。

1. 腰痛の出る動きや姿勢を見直す

近年、スマートフォンやパソコンの普及にともない、不良姿勢が原因による肩こりや腰痛が目立ちます。
不良姿勢のままでいると、本来動かさなければいけない筋肉が短縮し、緊張状態が続きます。そうなると、筋肉が固まって疲労がたまり、痛みを発してしまうのです。

痛みはからだが正しく機能していないことを教えてくれているサインであり、正常な反応です。同じ動きや姿勢などで腰痛を感じている場合は、その動きや姿勢が、痛みの原因となっているかもしれません。
日常の行動を振り返り、腰痛が起こる動きや姿勢をとらないようにしましょう。

2. 筋肉を動かして疲労回復する

原因が思い当たらず、突然腰痛になったと感じることがありますが、痛みが出る前には、腰に疲労が蓄積していることが多くあります。
精神的な疲労は安静でとれるかもしれませんが、肉体的な疲労は筋肉にたまった疲労物質が原因なので、休むだけではなかなかとれません。むしろ、痛みは動かすことにより早く緩和できることが多いほどです。

最近では、ぎっくり腰などの「痛みがとれるまでは安静」といわれていた症状も、動けるくらいの痛みなら徐々に動かすことが早期回復につながるといわれています。※1
筋肉にたまった疲労を早く改善するため、軽い運動で体内の血流量を積極的に上げ、疲労物質を流しましょう。

ただし、内科的な疾患が原因で起こる痛みや、急性期の痛み(筋肉や関節周りの組織の損傷など)の場合は、動かすことによって悪化してしまう場合があります。このような原因で腰痛が起きた場合は、動かさずに医師や専門家に診てもらいましょう。

※1 ぎっくり腰の場合も個人差がありますので、自分だけでの判断は非常に危険です。安易に動かそうとせず、まずは医師や専門家に相談してください。

3. 歳をとっても筋肉を劣化させない

歳をとっているからあきらめてしまう方も多いと思います。
しかし、歳をとっても腰痛にならずに生活している方も多くいます。そういう方に共通していることは、からだを動かす習慣があることです。
腰を支える筋肉は使わなければ劣化してしまいます。加齢のせいにせず、積極的にからだを動かしましょう。

腰痛に効果のあるストレッチ

腰痛は主に、偏ったからだの使い方や、日常的な活動不足から起こることが多く、腰痛の原因となる行動の見直しが大切です。
それとともに、日ごろ使っていない筋肉をストレッチで刺激し、腰痛の予防と改善をしましょう。

1.腸腰筋のストレッチ

『腸腰筋』とは、背骨の下方から脚の付け根までを結ぶ筋群のことで、おじぎをする動作などで働きます。
長時間イスに座ったり、前かがみの姿勢をとったりしていると、縮んで硬くなり、腰痛の原因となります。腸腰筋のストレッチを覚えてしっかりと伸ばしましょう。

【ストレッチのやり方】
① うつ伏せになり、手を胸の横に置いて脇をしめます。
② 足を腰幅に開き、足の甲が床に着くようにします。
③ 息を吐きながら、肘を伸ばして上体を起こしていきます。
④ 胸を軽く前に突き出し、お腹の前の筋肉が伸びるのを感じながらゆっくりと腰を反らします。
⑤ 深呼吸をしながら、そのままのポーズを30秒間キープします。
⑥ 息を吐きながらゆっくりと最初のうつ伏せの体勢に戻ります。

2.背中のストレッチ

背中の筋肉が硬くなると、背骨の動きが悪くなり、腰にかかる負担が大きくなります。
腸腰筋とともに、背中の筋肉もしっかりストレッチしましょう。

【ストレッチのやり方】
① 両手と両膝を床に着き、四つ這いの体勢をします。
② 手の位置はそのままで、息を吐きながら膝を曲げいき、写真のように正座をします。
③ 上半身を太ももの上に置いて力を抜き、できる方は額を床に着けます。
④ 深呼吸をしながら、そのままのポーズを30秒間キープします。
⑤ 息を吐きながらゆっくりと最初の体勢に戻ります。

ストレッチをする際の注意点

1. からだを温めてリラックスする

ストレッチをする時にからだが温まっていないと、筋肉が伸びにくく、痛みを感じやすくなります。
お風呂上りなど、からだが温まった状態で行うと、より高い効果が得られるでしょう。
また、リラックスするために、音楽をかけたり、好きな香りのアロマを使用したりするなど、工夫すると良いでしょう。

2. 反動をつけずにゆっくりと行う

からだの硬い方は、最初はなかなか筋肉が伸びないかもしれませんが、反動をつけて無理やり行うと、筋肉を痛めてしまいます。
無理して伸ばそうとはせず、全身の力を抜き、ゆっくりと筋肉が伸びるのを待ちながら行うのがポイントです。

3. 呼吸を止めない

筋肉は息を吐いている時にゆるむ性質があります。よく「息を吐きながら伸ばす」といわれていますが、それほど意識する必要はありません。
大切なのは呼吸を止めないことです。心地よい呼吸でひとつの動作をゆっくりと行うことを意識しましょう。

おわりに

腰痛はなってから治すのではなく、痛くなる前に予防することが理想的です。日常の行動に痛みにつながっているものがないかを考え、その行動を改善していきましょう。
また、運動や今回ご紹介した2つのストレッチなどを行い、積極的に動かすことが腰痛の予防と改善につながります。
腰痛になりにくいからだづくりのために、自分に合った運動やストレッチを始めましょう。

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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