膝の痛みの原因

膝関節は、身体の中で痛めやすい関節の一つとして、挙げられます。
痛みの原因や症状は人により異なりますが、ここでは、代表的なものをいくつかご紹介します。

1. O脚・X脚

身体の筋肉のバランスが悪く、筋肉の働きに偏りがみられると、O脚やX脚になってしまいます。
O脚では、膝関節の内側に大きな負担がかかり、X脚では、膝関節の外側に大きな負担がかかります。
O脚やX脚が悪化すると、次で説明する『変形性膝関節症』になってしまい、日常生活に多くのデメリットが生まれます。

2. 変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)

変形性膝関節症は、O脚やX脚で膝関節に負担がかかり、軟骨がすり減ることによって痛みが生じます。
40歳以降の女性に多く、肥満や運動不足なども関係しています。
スポーツ歴により、膝に多く負担がかかった場合、年齢に関係なく発症することもあります。

3. 合わない靴

サイズや形が合わない靴やヒールの高い靴を着用していると、足の指や足関節に負担がかかります。
着用を続けると、親指と小指のつけ根が出っ張った『外反母趾』や、土踏まずのアーチがなくなる『扁平足』になりやすくなります。
その結果、歩行時に体重がかかる部位が偏るため、膝にも痛みが生じます。

痛み以外の症状

膝関節には痛みだけでなく、さまざまな症状が現れます。
ここでは、痛みとともに現れる3つの症状についてご説明します。

1. 不安定感が生じる

歩行中にガクッと膝が折れる、膝関節がぐらつく、力が入らないなどといった不安定感を感じるようになります。

2. 水がたまる

関節には、『関節液』という関節の動きを滑らかにする潤滑液があります。
膝関節に炎症や傷ができると、関節液の量が増え、膝の周辺が腫れてしまいます。この腫れは、袋に溜まった水のように、弾力を感じるものです。

3. 動きに制限が出る

膝関節の痛みにより、関節可動域に制限が生じます。
これにより、膝関節を動かしたときに引っ掛かる感じや、関節がはさまったように動かなくなる『ロッキング現象』も現れます。

膝の痛みの予防と対策 ①筋力の維持・向上

筋トレにより、筋肉を鍛えることによって、膝関節への負担を減らすことができます。
特に、太もも周辺の筋肉を鍛えると効果的なので、そのエクササイズの方法をご紹介します。

1. スクワット

①足を腰幅に開いて立ち、両手を腰に当てるか、頭の後ろや胸の前で組みます。
②両膝を曲げながら、臀部を後ろに引き落としていきます。
③太ももが床と平行になったら、ゆっくりと①の姿勢に戻します。

※背中が丸くならないよう、意識して行いましょう。

2. ヒップブリッジ

①マットや床に仰向けで寝て、両膝を立てます。
②後頭部・肩と脚の裏で身体を支えながら、ゆっくりと臀部を上げていきます。
③上の写真のように、肩から膝が真っ直ぐになったところで5秒間止まります。
④ゆっくりと臀部を下げ、①の姿勢に戻ります。

3. エアロバイクやウォーキング

膝関節に痛みを感じる場合は、エアロバイクやウォーキングをおすすめします。
ウォーキング、エアロバイクともに、15分間以上継続できるようにしましょう。
ゆっくりと運動するよりも、少し疲労を感じる程度の負荷をかけて行うと良いでしょう。

膝の痛みの予防と対策 ②体重の増加を防ぐ

体重が増加し過ぎると、それを支える膝関節へ負担がかかり、痛めてしまうことがあります。そのため、体重の増加を予防することも、重要な対策になります。

体重減少のためには、脂肪燃焼に効果的な有酸素運動を継続して行うことが大切です。
また、筋力トレーニングを行って筋肉をつけることで、基礎代謝を上げることができるので、適度な筋トレもおすすめです。特に膝をサポートする下肢の筋肉をつけることで、膝への負担も軽減できます。

食事面では、暴飲暴食を避け、バランス良く食べることに気を付けましょう。噛む回数を多くしてゆっくりと食事をすると、少量でも満腹感が得やすいです。

膝の痛みの予防と対策 ③猫背を防ぐ

猫背になると、重力や体重を足にうまく分散させることができなくなるため、膝関節への負担が増えます。
また、膝関節がO脚に変形しやすくなったり、太ももの表側にある『大腿四頭筋』や裏側にある『ハムストリングス』という筋肉が短縮しやすくなったりしてしまします。
その結果、膝関節の痛みにつながります。

姿勢は日頃から意識して生活することが大切です。気づいた時に姿勢を正し、猫背を改善しましょう。
また、気になる方は整体院や整骨院などで、一度姿勢をチェックしてもらうのも良いでしょう。自分のクセがわかったり、姿勢改善のアドバイスをもらえたりすると思います。

おわりに

膝関節の痛みは、身体のさまざな部分に原因があります。
太り気味の方は体重を落とすエクササイズをしたり、O脚やX脚の方は姿勢を矯正したりするなど、痛みの原因に合った、対策を行うことが大切です。自分でできるケアがありますので、ぜひチャレンジしてみてください。
ただし、痛みが強い場合には、ひどくなる前に病院を受診しましょう。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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