アシュタンガヨガとは

アシュタンガヨガとは

あまり耳慣れない『アシュタンガ』という言葉の意味は、『八支則(はっしそく)』です。八支則とは簡単に言うと、8本の手足のことで、それぞれに以下の8つの意味・作法があります。
・ヤマ(禁戒)
・ニヤマ(勧戒)
・アーサナ(坐法)
・プラーナヤーマ(呼吸)
・プラティヤーハーラ(感覚の制御)
・ダーラナ(集中)
・ディヤーナ(瞑想)
・サマーディ(三昧)
ヨガには精神的な活動も含まれるため、ヤマ(禁戒)やニヤマ(勧戒)なども含まれているのがわかります。

普通のヨガとは何が違う?

では、八支則をとりいれたアシュタンガヨガと、一般的なヨガは何が違うのでしょうか。アシュタンガヨガは、『動く瞑想』とも呼ばれています。つまり、一般的なヨガと比べると、肉体的にも精神的にも圧倒的に活動量が多いです。
心身のリラックス効果だけでなく、ダイエットとしても高い運動効果を持っているのが、アシュタンガヨガの特徴です。

アシュタンガヨガの効果

「ヨガ=健康にいい」というイメージがありますが、アシュタンガヨガもさまざまな面で優れた効果を持っています。アシュタンガヨガが私たちの心身に与える効果を解説します。

リラックス効果

単にポーズをまねるだけでは、ヨガの本当の効果が得られません。もともとは瞑想としての側面を持っているので、アシュタンガヨガに集中して取り組むことが必要です。そうすることで、心身がリラックスでき、ストレス発散にも効果が期待できます。

心肺機能の強化

アシュタンガヨガでは、特に動作と呼吸を合わせることに力点を置いています。一般的なヨガより激し動作に合わせて呼吸を行うので、心肺機能も自然と強化されていきます。

姿勢の改善

アシュタンガヨガでは、普段の生活ではあまり使用することのない筋肉も意識して動かします。また、正しいポーズをとる必要があるため、背筋の伸びた美しい姿勢を手に入れることもできるでしょう。

血行改善

体の末端まで呼吸をしながら動かすため、全身の血行が良くなります。冷え性や汗をかきにくいなどの悩みの解消にもつながります。

ダイエット効果

アシュタンガヨガの最大の魅力は、なんといっても運動量の多さにあります。基本的に、1セットのエクササイズをノンストップで行うため、初心者にとっては、なかなかハードかもしれません。ですが、その分、消費カロリーも非常に多いです。身体の引き締め効果だけでなく、脂肪燃焼効果も得られるのは、アシュタンガヨガならではといえます。

アシュタンガヨガの呼吸法

ヨガでは呼吸が特に大切です。アシュタンガヨガも同じで、効果を高めるためには、正しい呼吸法をマスターすることが不可欠ですので、しっかり理解しておきましょう。

アシュタンガヨガは『ウジャイ呼吸』という方法で行います。ウジャイ呼吸は『勝利の呼吸』とも呼ばれ、ヨガの基本的な呼吸法のひとつです。いわゆる胸式呼吸で、鼻から吸って鼻から吐き、お腹をへこませたまま行います。では、具体的なウジャイ呼吸の方法をご説明します。

ウジャイ呼吸のやり方

1. あごを軽く引きます。
2. 口を閉じ、舌先を上向きに巻きます。
3. お腹をへこませながら、喉を狭めて鼻から息を吸います。「スースー」と空気の音がするようにしてください。
4. 吸うのと同じように鼻から息を吐きます。

呼吸時に、息の音に意識を向けることがポイントです。また、吸うときと吐くときの長さも同じにしましょう。

アシュタンガヨガのポーズ

アシュタンガヨガでは、1回のセッションで行う動作が決まっています。どのポーズをどの順に行うのかを紹介していきます。
セッションの最初と最後にはサンスクリット語で、真言や祈りを意味する『マントラ』を唱えるのが一般的です。

1. スーリヤナマスカーラA・B(太陽礼拝)
2. パダングシュターサナ(足親指をつかむ前屈ポーズ)
3. パダハスターサナ(手の上に足を乗せる前屈ポーズ)
4. ウッティタ・トリコナーサナA・B(三角のポーズ)
5. ウッティタ・パールシュヴァコーナーサナA・B(体側を伸ばすポーズ)
6. プラサリータ・パドッタナーサナA・B・C・D(開脚前屈ポーズ)
7. パールシュヴォッターナーサナ(両体側を伸ばす前屈ポーズ)
8. ウッティタハスタ・パタングシュターサナ(1本足ポーズ・T字バランス)
9. アルダ・バッダパドモッターナーサナ(半蓮華座に立って前屈するポーズ)
10. ウトッカターサナ(椅子のポーズ)
11. ヴィラバドラーサナA・B(戦士のポーズ)
12. ダンダーサナ(杖のポーズ)
13. パッシモッタナーサナ(背中を伸ばす前屈ポーズ)
14. プールヴォッタナーサナ(上向きの板のポーズ)
15. アルダ・パッダパドマパッチモッタナーサナ(半蓮華の坐位で行う前屈ポーズ)
16. ティリヤン・ムカ・エカパーダパッチモッタナーサナ(膝関節を折り曲げて行う前屈のポーズ)
17. ジャヌシルシャーサナ(頭を膝につけるポーズ)
18. マチーチアーサナ(賢者のポーズ)
19. ナヴァーサナ(船のポーズ)
20. サーランバ・サルヴァンガーサナ(肩立ちのポーズ・ショルダースタンド)
21. ハラーサナ(鋤のポーズ)
22. カルナビーダーサナ(耳に膝をつけるポーズ)
23. ウールドヴァ・パドマーサナ(上を向く蓮華座のポーズ)
24. ピンダーサナ(胎児のポーズ)
25. マツヤーサナ(魚のポーズ)
26. ウッタナ・パーダーサナ(脚を伸ばすポーズ)
27. シルシャーサナ(頭立ちのポーズ・ヘッドスタンド)
28. バッタ・パドマーサナ (締め付けた蓮華座のポーズ)
29. ヨガ・ムドラ (封印のポーズ)
30. パドマアーサナ (蓮華座のポーズ)
31. ウップルティヒ (パドマのバランスポーズ)
32. シャバーサナ (屍のポーズ)

この動作をノンストップで行っていくわけですが、中にはかなりハードでアクロバティックなポーズも盛り込まれているのが実情です。初心者は無理をしないようにしてください。

アシュタンガヨガのできる教室

アシュタンガヨガを自己流で正しく行うのは、ヨガ経験の豊富な上級者に限られるでしょう。呼吸もポーズも、正しく行わなければ効果が得られないばかりか、体を痛める危険もあります。初心者の場合は教室に通うのが、正しい方法を身に付ける確実な方法といえます。
以下、主な都市にあるアシュタンガヨガ教室をご紹介します。

・札幌:ヨガ・シャラ
・仙台:COSMIC YOGA
・東京:IYCインターナショナルヨガセンター
・名古屋:ヨガスタジオ『みんなのヨガ』
・大阪:アシュタンガヨガセンター大阪
・神戸:アシュタンガヨーガ神戸
・博多:ヨガスタジオHERATONE

おわりに

アシュタンガヨガには、シェイプアップやリラックス効果だけでなく、ダイエットにも十分効果があるとわかりました。
アシュタンガヨのセッションを最後まで通して行うのは、ヨガ経験者でなければ結構大変だと思います。ヨガ初心者や体力に不安のある方は、無理をせずにレッスンに通うのがおすすめです。
アシュタンガヨガはまだまだメジャーとは言い難いかもしれませんが、確実に人口は増えています。ご自宅の近くで教室を探してみてはいかがでしょうか?

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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