はじめに

夕方になると靴がキツイと感じることはありませんか?
ブーツのファスナーが上がらなくなったり、スキニーデニムが脱ぎにくい、ふくらはぎで引っかかる、というような経験がある方は少なくないようです。

それらの原因は、下半身のむくみが原因で起こります。
どうして下半身ばかり、むくみが起こるのでしょうか?
また、そもそもむくみとはどうして起こるのでしょうか?

そんな「むくみ」のメカニズムを解説しながら、むくみ解消に有効な「リンパマッサージ」の方法を説明していきます。
さあ、今日からあなたも美脚を目指してみませんか?

むくみの原因

リンパ液とは?

私たちの体には、血管のほかにリンパ管というものが存在しています。
血管の中を流れるのは血液ですが、リンパ管の中を流れるのはリンパ液です。

傷口などから、黄色い透明な液体が出ているのを目にしたことはありませんか?
これがリンパ液です。

リンパ液の役割

リンパ液を簡単に説明すると「体の中の老廃物・たんぱく質・さらには白血球の一種であるリンパ球などをを含んだ液体」のことです。
細胞の中の不要なもの(老廃物)を運ぶための液が、リンパ液と言います。
また、老廃物を含んだリンパ液を運ぶ通路をリンパ管と呼んでいます。

むくみの正体は?

体のむくみと、リンパ液の流れは非常に深い関係があります。

むくみとは、不要な水分が排出されずに、とどまってしまっている状態のことを言います。

つまり、本来スムーズに流れるはずのリンパ液が、何らかの原因で流れにくい状態になり、引き起こされるのが「水分による膨張」であるむくみなのです。

リンパ詰まりとは

リンパの流れが悪くなるのは、主に2つの原因が考えられます。
それぞれ簡単にまとめてみました。

リンパ液は流れにくい

指先・足先などから始まるリンパ管は、心臓方向に向かって徐々に1本に合流していきます。
そして、最終的には心臓のすぐ近くにある太い血管(全身を巡った後の古い血液が流れる)につながります。

このような構造をもっているリンパ管ですから、ほとんどの場合重力に逆らって下から上に向かって流れています。
そして、心臓のようなポンプ機能も持っていないのです。

つまり、リンパ液はもともと「流れにくい」という性質があると考えることができます。

リンパ節はフィルター

リンパ管には、合流部分などにリンパ節という節目を持っています。

この部分は、病原菌や毒素などを血管に侵入させないための、フィルターのような働きをしています。

当然、リンパ液の流れが悪い状態では、どんどんリンパ液内に老廃物がたまってしまいます。

そのようなリンパ液では、リンパ節はあっという間に目詰まりを起こしてしまいます。
すると、ますますリンパ液の流れが悪くなるという悪循環に陥ってしまうことは予想できることでしょう。

この状態が「リンパ詰まり」です。

リンパ詰まりの原因

リンパ詰まりが起こるのは、主に2つの原因によって起こります。

①リンパの流れが悪いことで、リンパ液内に老廃物がたまってしまうこと
②詰まりかけた段階でのリンパ節を放置してしまうこと

この2点を改善することで、リンパの流れがスムーズになると考えられます。

とりわけ重要なのが、①であるリンパの流れをスムーズにしてあげることです。
そうすることで、目詰まりを起こすほどの老廃物がリンパ節に流れないようにすれば良いのです。

リンパマッサージの具体的な方法

もともと流れにくい性質を持っているのがリンパです。
マッサージやストレッチなどで、流れをサポートしてあげることが、むくみの予防・改善には効果的です。

具体的なリンパマッサージの方法やポイントを説明していきます。

末端部から中心部にむけて行う

リンパ管は、体の末端部分から中心部分に向けて一方通行で流れています。
血管のように心臓と細胞を往復はしていません。

リンパマッサージでは、末端部分に留まりがちなリンパ液を心臓付近まで送ることを目的としています。
末端→中心という一方通行のマッサージになるように行います。

リンパ節の場所を意識する

リンパ管の中で特に流れが悪くなってしまうのが、合流部であるリンパ節です。

リンパ節は、体中には何百も存在していますが、特に大きく重要な部分がいくつかあります。

・首の後ろ
・鎖骨周辺
・脇の下
・ヒジ
・おへその下
・足の付け根
・ヒザ

この部分のリンパ節を意識的にほぐすことで、リンパ詰まりの解消を図ることができます。

リンパマッサージの順番

リンパマッサージでは、どのような順番でマッサージを進めていくかが大切です。

下半身のむくみを解消し、ほっそり美脚を目指すためには、
「脇の下・鎖骨→足首→ふくらはぎ→ヒザ→太もも→足の付け根→おへその下」の順にマッサージを行うと良いでしょう。

まずは心臓に違いリンパ管の最終部分の流れを良くし、足先から徐々に心臓近くに向けてリンパを流していくイメージです。

脇の下・鎖骨のマッサージ

①胸を張って、背筋を伸ばす
②軽く脇を開き、ヒジを曲げる
③ヒジで円を描くように、脇の下や肩甲骨の動きを意識してゆっくり腕をまわす
④腕を上げ、脇の下→鎖骨にむかって掌で優しく押すようにさする

足首→ヒザまでのマッサージ

①足首をクルクルとまわす
②ふくらはぎを足首→ヒザ方向に下から上に優しくさすったりもんだりする
③ヒザの裏を下から上にもみあげる

太もも→足の付け根のマッサージ

①太ももをヒザ→足の付け根に向かってもみあげる
②椅子や壁につかまって立つ
③足の付け根と太ももが気持ちよく伸びるくらいまで足を後ろに伸ばす
④太ももの付け根を、掌で半円を描くように下から上にマッサージする

お腹のマッサージ

①おへその下に両手を置く
②胃のほうに向けて掌でやさしく押し上げる

リンパマッサージの注意点

リンパマッサージを効果的なものにするためには、正しく行うことが何より重要です。
リンパマッサージを行う際には、こんな点に注意してください。

一方通行でマッサージする

通常のマッサージとは違って、リンパマッサージはリンパの流れに沿うことが大切です。
太もも→ヒザなど、リンパの向きと逆方向には行わないしましょう。

強すぎる力で行わない

リンパ管はとてもデリケートにできています。リンパマッサージの基本は「優しくさする」です。
効果を高めようと、力いっぱいゴリゴリ行うのは逆効果になってしまいます。

筋肉痛や関節痛、皮膚トラブル時などは避ける

筋肉や関節、皮膚などにトラブルがある状態でのマッサージはお勧めできません。リンパのマッサージが、筋肉などに負担をかけてしまうからです。痛みなどの状態ががよくなるまでは、リンパマッサージはお休みしてください。

おわりに

体の老廃物や不要な水分がたまってしまうことでおこるのが、足のむくみです。
リンパの流れをスムーズにしてあげることで、足のむくみを改善することできます。

下半身のむくみ解消に有効なのがリンパマッサージです。

リンパマッサージはむくみだけでなく、冷えや肌荒れなどの改善も期待できる、まさに「女性のためのマッサージ」です。

数分間で簡単に行えますから、一日の疲れを取る意味でも、ぜひ取り入れてみてください。

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野 
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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