ピラティスとは

ピラティスは、世界中で行われている、歴史あるエクササイズです。
まずは、ピラティスの成り立ちと種類について解説します。

ピラティスの成り立ち

ピラティスは、ドイツ人従軍看護師のジョセフ・ヒューベルトゥス・ピラティス氏により、1920年代に発案されました。
筋肉と精神のコントロールを目的とするため、もともとは、『コントロロジー』と名付けられ、負傷した兵士のリハビリ用エクササイズとして活用されていたようです。

1926年に渡米した彼は、それを広めるため、ニューヨークでスタジオを開設し、富裕層やアスリートを中心にアメリカ全土へ広めました。
現在では、ドイツやアメリカだけでなく、日本を含む全世界でピラティスとして親しまれています。

ピラティスの種類

ピラティスは、負傷者がベッドで行うことを目的に発案されたので、マット1枚あれば行えるようにプログラムされています。

一般に行われるピラティスは、マットを使用した『マットピラティス』と呼ばれるものです。
このほかに、50種類以上のエクササイズが可能な『リフォーマー』というマシンを使用した、『マシンピラティス』もあります。

ピラティスとヨガの違い

似たようなポーズがあったり、どちらもマットを使ったりして行うことかから、ピラティスとヨガは混同されがちです。
ここでは、目的、動きや呼吸などの視点から、ピラティスとヨガの違いをご説明します。

目的の違い

ヨガは、心と身体を安定させる目的で行われます。『アーサナ』と呼ばれるポーズをとりながら、呼吸と瞑想で心と身体を結びます。
さまざまな種類がありますが、精神面に重点を置いているのがヨガです。

一方、ピラティスは、前述したようにリハビリ用として開発され、筋肉、特に体幹のコントロールを目的とします。
ピラティスも精神面を強くしますが、しなやかな筋肉を得て、身体の歪みを治すことに重きを置いています。

動きや呼吸の違い

ヨガでは、腹式呼吸をしながら、一つのアーサナをキープして瞑想を行います。
お腹を意識して凹ませながら息を吐き、お腹を膨らませながら息を吸うのが、ヨガの呼吸です。
この呼吸により、安静時に優位になる『副交感神経』を働かせ、身体や心をリラックスさせます。

ピラティスでも、呼吸をしながら、流れるように身体を動かして歪みを治していきますが、呼吸方法は異なります。
胸をボールのように丸く全方向に膨らませるのが特長で、吸うときに胸を膨らませ、吐くときにお腹の力を利用してボールがしぼめるように胸をへこませます。

ピラティスの呼吸は『プラーナヤーマ』と呼ばれ、全身にある『気』の流れを促します。
さらに、活動時に優位になる『交感神経』を働かせ、身体や心を活発にしていきます。

ピラティスの効果

ピラティスでは、身体の軸となる『インナーマッスル』を主に鍛えることができます。
ここでは、インナーマッスルを鍛えることによって期待できる、3つの効果をご紹介します。

1. 歪んだ姿勢の改善

正しい姿勢を作るうえで重要な『脊柱(背骨)』は、普通S字カーブを描いています。
しかし、姿勢を意識していないと、日常生活で気づかぬうちにS字カーブが崩れ、『猫背』や『反り腰』になってしまいます。
また、骨盤や脊柱などは、カバンのかけ方やスポーツ歴、出産などが原因で歪んでしまうことがあります。

ピラティスでは、正しい姿勢の保持に必要な脊柱周りの筋肉や、お腹周りのインナーマッスルを鍛えることができます。
骨盤や脊柱を正しい位置にキープし、左右や前後の筋肉のバランスを整えることで、身体の歪みの改善が期待できます。

2. こりや痛み、冷えなどの改善

骨盤や脊柱の歪みがあると、肩・首こり、腰痛、冷え性、むくみなどを引き起こすことがあります。

ピラティスでは、胸式呼吸で胸部を広げたり、独特のポーズで筋肉を動かしたりするので、全身の筋肉の血流がよくなります。
これにより、コリや痛み、冷えやむくみを解消したり、柔軟性を高めたりする効果が期待できます。

3. 身体の気づき

普段、姿勢や身体のことを意識していない方でも、ピラティスを行うことで、自分の身体の癖や特長に気づくことができます。
左右・前後の傾き、猫背、骨盤の歪みなど、ピラティスを行うことで身体に興味を持ち、普段の生活でも意識するようになります。続けることで、身体の悪い癖や短所が改善していくのを楽しむことができます。

ピラティス教室の選び方

ピラティスは、大人数や個人でのレッスンがあり、大小さまざまな規模で開催されているので、どこに行けばいいか迷ってしまいます。
選び方のポイントは、目的とピラティスに対するモチベーションです。自分に合った場所で、自分のペースでピラティスを行いましょう。

ここでは、レッスンに参加する4つの方法と、レッスンの選び方を解説します。

1. ピラティス専門スタジオ

専門スタジオでは、レベルに応じたレッスンを選択できたり、リフォーマーを使用したマシンピラティスや個人レッスンにも対応したりしています。

ピラティスに強い興味を持ち、知識や動きを深めたい方や、継続して通ってレベルアップしたい方は、ピラティス専用スタジオがおすすめです。
レッスンにバリエーションがあるので、体験レッスンへ参加したり、ウェブサイトにて確認したりしてください。
会員費は地域やスタジオにより異なりますが、10,000円前後です。

2. スポーツジムのピラティスレッスン

スポーツジムのレッスンスケジュールを確認すると、ピラティスのレッスンを開催していることがあります。

運動が好きで、ヨガやエアロビクスなど、さまざまなトレーニングやエクササイズとともにピラティスも行いたい方におすすめです。会員になれば、トレーニングマシンやさまざまなレッスンに参加できます。
体験利用があるので、まずはスタジオの雰囲気や設備、レッスンの内容を確かめてみましょう。
会員費は、スタジオごとに異なりますが、5,000~10,000円が一般的です。

3. 公共施設で行われているレッスン

地域の健康促進事業などの一環としてピラティス教室を開いていることがあります。

1回1,000円ほどで参加できるレッスンもあるので、費用をかけずに、気軽にピラティスを行いたい方におすすめです。
レッスン情報は地域広報紙や体育館にあるチラシなどに、レッスンの情報が掲載されています。
ピラティスを深めたくなったら、専用スタジオに通っても良いでしょう。

4. 不定期のワークショップ

ピラティスを専門とする先生が、不定期でワークショップを行っていることがあります。

お気に入りの先生がいる、開催地が近くで行きやすい、たまに身体を動かしたいなどの場合におすすめです。
インターネットやSNSで情報を共有していることが多いので、調べてみると良いでしょう。
内容や時間により異なりますが、1回2,500~5,000円ほどで受講できます。

おわりに

ピラティスの歴史や効果、ヨガとの違いに加え、ピラティス教室の選び方をお伝えしました。
これを知っておくだけでも、どちらが自分にあっているのか把握できるかもしれません。

ピラティスには、日常生活で歪んでしまった骨格や、崩れた姿勢を改善する効果が期待できます。
また、身体と心をリラックスさせるヨガとは異なり、活動的にさせる働きがあります。

初めてピラティスを行う方は、初心者用や体験用レッスンを選択し、まずは動きの流れやレッスンの内容を確認してみると良いでしょう。
ご自身の目的に合ったレッスンを選び、ピラティスを楽しんでいただければと思います。

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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