肩こりの原因

肩こりには、血液の流れが大きく関わっています。
血液には、栄養や酸素を身体全体に運んだり、老廃物を体外へ排出するために運んだりする役割がありますが、日常生活のさまざまな影響で血液の流れが悪くなると、老廃物が運ばれなくなり、血管を圧迫して痛みや筋肉の緊張を感じるようになります。

ここでは、血流を妨げて肩こりを引き起こす原因となる、日常生活の習慣をご説明します。

1. スマートフォンの操作

多くの方が持っているスマートフォンは、使うときの姿勢が悪かったり、長時間使っていたりすると、肩こりの原因になります。

頭部の重さは体重の10%ほどを占めるため、成人では約5kg以上あります。頭を前に出して下を向き、長時間スマホの操作をしていると、首の筋肉に大きな負担がかかります。
この負担が、首や肩、背中の筋肉の緊張を起こし、肩こりを引き起こします。

2. 長時間の同じ姿勢

スマートフォンと同様に、デスクワークや裁縫などで長時間同じ姿勢を続けていると、筋肉の緊張が起こり、肩こりが生じます。
特に、背中が丸くなった姿勢は、肩や首の筋肉に負担が係るため、注意が必要です。

3. 運動不足

筋肉には、『筋ポンプ作用』という心臓のように血液の流れを促す役割があります。
運動不足で筋肉を動かすことが少ないと、筋ポンプ作用が十分に働かず、血流が悪くなるため、こりにつながってしまいます。

4. 偏った荷物の持ち方

ショルダーバッグなどの肩にかけるタイプの荷物を持っている時は、肩からバッグが落ちないように肩の筋肉を強く働かせています。

長時間持っていると、筋肉が緊張して血流が滞り、肩こりの原因になります。
また、いつも同じ方の肩にカバンをかけていると、姿勢が傾いて同じ場所に過度の負担がかかり、肩こりの原因になります。

肩こりを解消する体操

上記したような運動不足や同じ姿勢が続くことによって起こる肩こりを解消にするには、筋肉を働かせることが大切です。
肩や肩甲骨を意識的に動かし、血液を流しましょう。

1. 背中・腕伸ばし

① 立位または座位で背筋を伸ばし、両手を身体の前で組みます。
② 息を吸いながら、組んだ両手の手のひらが天井に向くように、両腕を上に伸ばします。この時、首も上へ向け、上げた手を見るようにしましょう。
③ 息を吐きながら、組んだ手をほどいてゆっくりと体側に下ろします。
④ 手順②、③の動きを10回繰り返しましょう。

2. 肩回し

① 立位または座位で左右の手の指先をそれぞれの肩に当て、背筋を伸ばします。
② 肘で円を描くように、ぐるぐると5周後ろに回します。
③ 同じように、ぐるぐると5周前に回します。

3. 肩すくめ

① 立位または座位で両腕の力を抜き、身体の側面におきます。
② 肩先を耳たぶへ近づけるように、肩をすくめます。
③ ゆっくりと力を抜き、肩を下ろします。
④ 手順②、③の動きを5回繰り返しましょう。

4. 後ろへの伸び

① お尻の後ろで両手を組み、背筋を伸ばします。
② 肩甲骨を内側へ寄せるように意識し、両手をおしりから離すように後ろへ引き上げていきます。
③ 気持ちよく伸びを感じるところで5秒間止め、ゆっくりと手を戻します。
④ 手順②、③の動きを5回繰り返しましょう。

体操の頻度と注意点

体操の頻度

デスクワークなどの同じ姿勢で長時間作業をする場合は、1時間に1回は身体を動かすようにしましょう。
日数を空けてしまうと、効果は現れにくいので毎日行うようにしましょう。すべての体操をする時間がない場合は、1種類でもいいので継続してください。

体操の注意点

身体に強く負荷がかかる体操ではないですが、力んで呼吸を止めないようにしましょう。気持ちよいと感じる程度の強さで、楽に呼吸をしながら行ってください。

また、体操中や体操後に強い痛みがある場合は、実施を中止しましょう。この場合は、骨や筋肉、神経などに異常があることも考えられるので、専門の医療機関で相談してください。

おわりに

肩こりを引き起こす日常の習慣と、肩こり解消に効果的な体操をご紹介しました。

不良姿勢や運動不足が原因で起こる肩こりは、血流を促すことで解消される場合が多いです。今回紹介した4種類の体操などを行い、肩や首周りの筋肉を積極的に動かし、血流を促して肩こりを改善しましょう。
仕事や家事のすきま時間に1種類ずつ行う程度でも良いので、毎日継続してください。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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