座ると痛い!?デスクワークによる腰痛の原因と予防方法について - 【ケアクル】
運動不足やデスクワークなどは腰痛の原因になります。筋力が低下して腰を痛めてしまったり、パソコン作業などは集中すると同じ姿勢を保ったままになり、腰に負担がかかります。デスクワークの多い方は腰に負担がかからないように工夫しましょう。座りすぎによる腰痛を防ぐための仕事環境の整え方についてお話します。
良い姿勢とは?
姿勢を改善するには、まず、良い姿勢から考えなくてはいけません。
一般的にいわれる良い姿勢は、『矢状面(横から身体を見た面)』における重心線が、耳たぶ、肩の先端、脚のつけ根、膝蓋骨(俗にいう「膝の皿」)、くるぶしの前方を通ります。
これは、BrauneとFischerというドイツの研究者により、19世紀に正常姿勢と定義された立位姿勢です。
一般的にいわれる良い姿勢は、『矢状面(横から身体を見た面)』における重心線が、耳たぶ、肩の先端、脚のつけ根、膝蓋骨(俗にいう「膝の皿」)、くるぶしの前方を通ります。
これは、BrauneとFischerというドイツの研究者により、19世紀に正常姿勢と定義された立位姿勢です。
姿勢チェックの方法
姿勢チェックは素足になって壁を背にし、壁に踵から背中が接するように立ちます。この時に、腰に手が入る程度のスペースがあり、頭が壁に少し接する程度の位置にあれば、理想的な姿勢に近いといえます。
逆にこの姿勢を逸脱するような姿勢になっていたら、悪い姿勢となります。
逆にこの姿勢を逸脱するような姿勢になっていたら、悪い姿勢となります。
悪い姿勢とは?
1. 猫背
悪い姿勢の代表例が、『猫背』ではないでしょうか。
猫背だと、上記の良い姿勢と比べて頭部が前方に位置するため、壁と頭部の間の距離が広くなります。
さらに、背骨が丸くなる位置によっては、腰のスペースがなくなり、壁と腰の間に手を入れるスペースがなくなります。このタイプの猫背は、お尻が落ちている(骨盤が後傾している)ことがほとんどです。
猫背の主な要因は、背骨の周りにある『脊柱起立筋群』、太ももの前側にある『大腿直筋』、お尻に大きく広がる『大殿筋』の筋力不足や運動不足があげられます。
また、腹筋群と太ももの裏側にある『ハムストリングス』の過度に緊張し、短縮した状態にあることも原因の一つです。
猫背だと、上記の良い姿勢と比べて頭部が前方に位置するため、壁と頭部の間の距離が広くなります。
さらに、背骨が丸くなる位置によっては、腰のスペースがなくなり、壁と腰の間に手を入れるスペースがなくなります。このタイプの猫背は、お尻が落ちている(骨盤が後傾している)ことがほとんどです。
猫背の主な要因は、背骨の周りにある『脊柱起立筋群』、太ももの前側にある『大腿直筋』、お尻に大きく広がる『大殿筋』の筋力不足や運動不足があげられます。
また、腹筋群と太ももの裏側にある『ハムストリングス』の過度に緊張し、短縮した状態にあることも原因の一つです。
2. 反り腰
『反り腰』とは、前項の姿勢チェックで、腰と壁の間のスペースに手が2個分以上入るような状態のことをいいます。
実際には、それほど反り腰になる方は多くないように感じますが、座り、立ち上がりや歩行などの動作の中で反り腰のような状態になる『隠れ反り腰』の方がいます。
医師の診察や、理学療法士や柔道整復師の検査によって反り腰かどうかが判断できますが、身体を反らした際に腰痛が出やすい場合は、隠れ反り腰の可能性があります。
主な要因は、腹筋群とハムストリングスの筋力不足や運動不足です。
また、脊柱起立筋群と大腿直筋の過度の緊張や短縮状態も原因にあげられます。
実際には、それほど反り腰になる方は多くないように感じますが、座り、立ち上がりや歩行などの動作の中で反り腰のような状態になる『隠れ反り腰』の方がいます。
医師の診察や、理学療法士や柔道整復師の検査によって反り腰かどうかが判断できますが、身体を反らした際に腰痛が出やすい場合は、隠れ反り腰の可能性があります。
主な要因は、腹筋群とハムストリングスの筋力不足や運動不足です。
また、脊柱起立筋群と大腿直筋の過度の緊張や短縮状態も原因にあげられます。
歪んだ姿勢の悪影響
1. 運動時の呼吸効率が悪くなる
お尻が落ちて(骨盤が後傾して)猫背になった状態だと、深呼吸した際に呼吸効率が悪くなるという研究結果があります。
(※参考1)
そのため、スポーツのときなど、普段使わない筋肉を使って呼吸をする場合は、不良姿勢によってパフォーマンスに悪い影響を及ぼす可能性があります。
また、年齢を重ねるにつれ、胸の骨格の運動機能が低下しやすくなります。横隔膜の機能低下を助長することで、疲れやすくなったり、老化を促進してしまったりする可能性もあるかもしれません。
(※参考1)
そのため、スポーツのときなど、普段使わない筋肉を使って呼吸をする場合は、不良姿勢によってパフォーマンスに悪い影響を及ぼす可能性があります。
また、年齢を重ねるにつれ、胸の骨格の運動機能が低下しやすくなります。横隔膜の機能低下を助長することで、疲れやすくなったり、老化を促進してしまったりする可能性もあるかもしれません。
2. 腰痛の引き起こす・助長する
ある研究で、『スウェイバック姿勢』と言われる猫背の一種が、腰痛に関与しているという結果が出ています。
スウェイバック姿勢では『胸椎(胸の高さにある脊椎)』、『腰椎(腰の高さにある脊椎)』の部分が曲がって猫背になり、骨盤が後傾して膝も曲がります。
この姿勢では、体幹と股関節にある『表層筋』の活動を増加させ、逆に、姿勢保持の安定に関係する『深層筋』の活動を低下させていまします。これにより、腰や骨盤に加わるストレス増加が懸念されます。
さらに、反り腰では、歩行全般で背筋群の活動が増加し、腹部の深層筋の活動が低下することが確認されています。
これは腰痛患者における歩行時の特徴と合致しており、このことから、姿勢の悪さが腰痛の発生や重症化に関係しているといえます。
(※参考2)
スウェイバック姿勢では『胸椎(胸の高さにある脊椎)』、『腰椎(腰の高さにある脊椎)』の部分が曲がって猫背になり、骨盤が後傾して膝も曲がります。
この姿勢では、体幹と股関節にある『表層筋』の活動を増加させ、逆に、姿勢保持の安定に関係する『深層筋』の活動を低下させていまします。これにより、腰や骨盤に加わるストレス増加が懸念されます。
さらに、反り腰では、歩行全般で背筋群の活動が増加し、腹部の深層筋の活動が低下することが確認されています。
これは腰痛患者における歩行時の特徴と合致しており、このことから、姿勢の悪さが腰痛の発生や重症化に関係しているといえます。
(※参考2)
3. 肩こりや頭痛の原因となる
首すじ、首のつけ根、肩、背中にかけ、張ったり、凝ったり、痛みがでたりすることがあります。これらに伴い、頭痛や吐き気がすることもあるでしょう。
首や肩こりに関係する筋肉はいくつもありますが、首の後ろから肩、背中にかけてある『僧帽筋』の張りが大きく影響しているといわれています。
僧帽筋の張りの原因の一つに、不良姿勢(猫背・前かがみ)があります。もしかしたら、現在悩んでいる肩こりや頭痛が、猫背からきている可能性もあるのです。
首や肩こりに関係する筋肉はいくつもありますが、首の後ろから肩、背中にかけてある『僧帽筋』の張りが大きく影響しているといわれています。
僧帽筋の張りの原因の一つに、不良姿勢(猫背・前かがみ)があります。もしかしたら、現在悩んでいる肩こりや頭痛が、猫背からきている可能性もあるのです。
猫背改善の筋トレ
猫背の改善に効果的な筋力トレーニングを2つご紹介します。
セット間のインターバルを1~3分に設定し、10~40回程度を3セット行います。負荷が足りないと思ったら、ペットボトルやダンベルなど、自宅にあるもので負荷を増やしましょう。
セット間のインターバルを1~3分に設定し、10~40回程度を3セット行います。負荷が足りないと思ったら、ペットボトルやダンベルなど、自宅にあるもので負荷を増やしましょう。
1. スクワット(大腿直筋と大殿筋に効かせる筋トレ)
① 足を肩幅に開き、やや親指側に重心を置きます。
② 背筋を伸ばし、膝関節と股関節を曲げながら、腰を落としていきます。
③ しゃがみ込むようにお尻が下がったら、そこからジャンプする感覚で立ち上がります。
手順②のときに背筋を伸ばすことで、脊柱起立筋群に効かせることができるので、姿勢に注意して行いましょう。
② 背筋を伸ばし、膝関節と股関節を曲げながら、腰を落としていきます。
③ しゃがみ込むようにお尻が下がったら、そこからジャンプする感覚で立ち上がります。
手順②のときに背筋を伸ばすことで、脊柱起立筋群に効かせることができるので、姿勢に注意して行いましょう。
2. バックエクステンション(脊柱起立筋と大殿筋に効かせる筋トレ)
① うつ伏せになり、万歳をするように両腕を真っすぐ頭上に伸ばします。
② 顎を引いた状態で上半身と下半身をゆっくり上げていきます。
③ 逆エビ反りのような姿勢になったら、それを7秒間キープします。
④ ゆっくりと元のうつ伏せ状態に戻ります。
② 顎を引いた状態で上半身と下半身をゆっくり上げていきます。
③ 逆エビ反りのような姿勢になったら、それを7秒間キープします。
④ ゆっくりと元のうつ伏せ状態に戻ります。
反り腰改善の筋トレ
反り腰の改善に効果的な筋トレを2つご紹介します。
猫背改善の筋トレと同時に、セット間のインターバルを1~3分に設定し、10~40回程度を3セット行いましょう。負荷が足りないと思ったら、ペットボトルやダンベルなど、自宅にあるもので負荷を増やしましょう。
猫背改善の筋トレと同時に、セット間のインターバルを1~3分に設定し、10~40回程度を3セット行いましょう。負荷が足りないと思ったら、ペットボトルやダンベルなど、自宅にあるもので負荷を増やしましょう。
1. 変則クランチ(腹筋に効かせる筋トレ)
① 仰向けになり、両手を頭の後ろで組みます。
② 足を閉じて伸ばしたまま、天井方向に上げていき、床から45度くらいのところで止めます。
③ 上体を肩甲骨のあたりまで持ち上げ、身体全体でV字を作ります。
④ そのまま3秒間キープしたら、脚と上体を下ろしていきます。
⑤ 足と頭を床から少し浮かした状態で止め、このまま床に着かずに手順②に戻ります。
② 足を閉じて伸ばしたまま、天井方向に上げていき、床から45度くらいのところで止めます。
③ 上体を肩甲骨のあたりまで持ち上げ、身体全体でV字を作ります。
④ そのまま3秒間キープしたら、脚と上体を下ろしていきます。
⑤ 足と頭を床から少し浮かした状態で止め、このまま床に着かずに手順②に戻ります。
2. レッグランジ(ハムストリングに効かせる筋トレ)
① 足を肩幅に開いて立ち、手を腰の側方(横っ腹)に当てます。
② 片方の足を大股で一歩前に出します。
③ 膝が90度に曲がるくらいまで腰を下げます。
④ 出した足を手順①の位置まで戻します。
⑤ 足を変え、同じように出して戻します。
② 片方の足を大股で一歩前に出します。
③ 膝が90度に曲がるくらいまで腰を下げます。
④ 出した足を手順①の位置まで戻します。
⑤ 足を変え、同じように出して戻します。
ストレッチをする前に
ストレッチは主に『スタティックストレッチ(静的ストレッチ)』といわれる方法で行います。
以下の点に気を付けながら行ってください。
・軽い痛みや多少のきつさを感じる程度に伸ばしましょう。ストレッチしている部位以外に痛みが出た場合は、すぐに中止してください。
・勢いをつけずに、ゆっくりと静かに伸ばします。
・1つのストレッチを30秒~1分間を目安に行ってください。
以下の点に気を付けながら行ってください。
・軽い痛みや多少のきつさを感じる程度に伸ばしましょう。ストレッチしている部位以外に痛みが出た場合は、すぐに中止してください。
・勢いをつけずに、ゆっくりと静かに伸ばします。
・1つのストレッチを30秒~1分間を目安に行ってください。
猫背改善のストレッチ
1. 腹筋ストレッチ
① うつ伏せになり、両手を胸の横に置きます。
② 肘を伸ばして体を起こしながら、背中を反らせます。
③ 背中が限界まで反ったら、無理のない範囲で顔を上に上げます。
④ この姿勢を維持して腹筋を伸ばします。
※背中を反らした時に背部や腰部に痛みが出たら、すぐに中止してください。
② 肘を伸ばして体を起こしながら、背中を反らせます。
③ 背中が限界まで反ったら、無理のない範囲で顔を上に上げます。
④ この姿勢を維持して腹筋を伸ばします。
※背中を反らした時に背部や腰部に痛みが出たら、すぐに中止してください。
2. ハムストリングのストレッチ
① タオルを持って仰向けに寝ます。
② 足を持ち上げて胸に近づけ、つま先にタオルを引っ掛けます。
③ ゆっくりと膝を伸ばし、脚を身体に近づけます。
④ 少しきついと感じる程度のところで止め、その姿勢を維持します。
② 足を持ち上げて胸に近づけ、つま先にタオルを引っ掛けます。
③ ゆっくりと膝を伸ばし、脚を身体に近づけます。
④ 少しきついと感じる程度のところで止め、その姿勢を維持します。
反り腰改善のストレッチ
1. 大腿直筋のストレッチ
① マットや座布団の上で正座をします。
② 手で上体を支えながら、上半身をそのまま後ろに倒していきます。
③ 仰向けになれる方は仰向けに、なれない方は手で支えてできるところまで上半身を倒します。
② 手で上体を支えながら、上半身をそのまま後ろに倒していきます。
③ 仰向けになれる方は仰向けに、なれない方は手で支えてできるところまで上半身を倒します。
2. 脊柱起立筋群のストレッチ
① 仰向けに寝ます。
② 脚、お尻、腰を天井の方向に持ち上げていきます。
③ 脚が床と垂直になったら、脚を頭の方に倒していき、つま先を頭の上に持ってきます。
④ つま先が床につく方はつけ、つかない方はできるところまで脚を倒して維持します。
② 脚、お尻、腰を天井の方向に持ち上げていきます。
③ 脚が床と垂直になったら、脚を頭の方に倒していき、つま先を頭の上に持ってきます。
④ つま先が床につく方はつけ、つかない方はできるところまで脚を倒して維持します。
おわりに
姿勢は気付かぬうちに悪くなっていることが多いと思います。姿勢が悪いことによって健康に悪影響を及ぼすことはさることながら、老けてみられてしまう要因にもなります。
良い姿勢にするために少しのストレッチと筋トレを行ってみてください。最初は1週間に1回だけでもOKです。
また、日々の生活の中で姿勢が悪いことに気付いたら、直すようにしましょう。3ヶ月も続ければ、変化を感じられると思います。
良い姿勢にするために少しのストレッチと筋トレを行ってみてください。最初は1週間に1回だけでもOKです。
また、日々の生活の中で姿勢が悪いことに気付いたら、直すようにしましょう。3ヶ月も続ければ、変化を感じられると思います。
参考文献
※参考1
https://ci.nii.ac.jp/naid/130004692276
姿勢が胸郭の運動に与える影響について
【著者】中西 純菜、木藤 伸宏、仲保 徹、松岡 さおり、冨永 渚、日野 敏明、原口 和史
【出版社】J-STAGE
※参考2
https://ci.nii.ac.jp/naid/130005248680
不良姿勢が歩行に与える影響:脊柱-骨盤の筋活動比較から
【著者】藤谷 亮、治郎丸 卓三、大西 均、伊坂 忠夫
【出版社】J-STAGE
https://ci.nii.ac.jp/naid/130004692276
姿勢が胸郭の運動に与える影響について
【著者】中西 純菜、木藤 伸宏、仲保 徹、松岡 さおり、冨永 渚、日野 敏明、原口 和史
【出版社】J-STAGE
※参考2
https://ci.nii.ac.jp/naid/130005248680
不良姿勢が歩行に与える影響:脊柱-骨盤の筋活動比較から
【著者】藤谷 亮、治郎丸 卓三、大西 均、伊坂 忠夫
【出版社】J-STAGE
総合診療医
経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。
資格
医師免許
所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会