ダイエット効果もある?加圧トレーニングのやり方

ダイエットは多くの人にとって永遠のテーマ。
でも実際には、「痩せたいけど時間が無い!!」「きつい運動は続かない!!」

そう感じていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。 仕事が終わってから、がっつりトレーニングをするのって簡単ではないですよね…......。

そこで今回は、短時間そして低負荷でもダイエットやトレーニングに効果が期待できる「加圧トレーニング」についてご紹介したいと思います。

加圧トレーニングとは

加圧トレーニングとは、文字通り身体に圧を加えた状態で行うトレーニングのことです。
腕と脚の付け根を専用のベルトで締めて、適度に血流を制限した状態でトレーニングを行います。
加圧をした状態で運動を行うことで、通常のトレーニングと比べて体に掛かる負荷が大きくなるため、軽い運動であっても激しい運動をした時と同じくらいの効果が得られるのです。

なぜ加圧によって高強度の運動時と同じ効果が得られるのでしょう。
それには、「体内の乳酸濃度」と「成長ホルモン」が関係しています。

ベルトで血流量を制限することにより、血液が腕や脚に溜まりやすくなり乳酸濃度が高まります。
乳酸とは筋肉の疲労に関する物質なのですが、この乳酸の濃度が高まると脳の「下垂体」と呼ばれる部分から、脂肪の分解や筋肉を大きくする働きがある成長ホルモンが分泌されるのです。

つまり、加圧をすることで実際に行っているのが軽い運動でも、激しい運動をしている時と同じくらいの乳酸濃度を体内に作り出すことができ、その結果、脂肪を分解したり、筋肉を大きくする働きがある成長ホルモンの分泌を促進するのですね。

加圧トレーニングの仕組みはなんとなく分かってきましたか??

もちろん、ダイエットだけで無くアスリートのトレーニングなどにも使われています。

次の項目から加圧トレーニングの効果やメリットについて詳しくご紹介します。

加圧トレーニングのメリット

血流量の制限」を利用した加圧トレーニングには、どのような効果やメリットがあるのか説明していきます!

1. ダイエットにも効果的

加圧トレーニングにより成長ホルモンの分泌が増加することで、脂肪の分解が促進されます。

ダイエット目的で行う場合には、加圧トレーニング後にジョギングなどの有酸素運動をあわせて行うことが非常に効果的です。
また、筋肉が増えることによって基礎代謝が上がります。
基礎代謝とは、何もしていない時にも呼吸などによって消費しているエネルギーのことです。
この基礎代謝が上がることで、一日の消費カロリーが増えるため、脂肪燃焼のしやすい身体になります。
まさに一石二鳥ですね!

2. 新陳代謝が良くなる

成長ホルモンは、筋肉の合成や脂肪の分解など新陳代謝を活発にする、組織の再生や修復に無くてはならないホルモンです。
新陳代謝が良くなると、肌や身体の組織の作り変えが活発になるため、疲労回復美肌への効果が期待できます。
また、骨にも働きかけてくれるので骨が丈夫になり、女性に多い骨粗しょう症の予防にも効果があるといえます。

3. 血流が改善する

ベルトで制限していた血流が一気に戻ることで、血管内にたまった老廃物が流され、血行が良くなります。
肩こりや冷え症などの改善も期待できますね。
また、加圧と徐圧を繰り返すことで血管に弾力がよみがえります。

4. 短時間での筋肥大(筋力アップ)がのぞめる

加圧トレーニング1回30分、週1〜2回行うと、通常の筋肉トレーニングを1回2時間、週2~3回行うのと同じくらいの効果が期待できるといわれています。
また、加圧トレーニングを行うと、乳酸濃度の高まりによって1回あたり通常の約290倍もの成長ホルモンが分泌されると言われています。
成長ホルモンには、筋たんぱくを合成して筋肉を成長させる働きがあるため、通常の半分以下の時間でもより効果的にトレーニングができるのです。

5. トレーニングを低負荷で行える

加圧トレーニングは血流を制限することで筋肉にかかる負担を大きくしているため、低負荷で少ない反復回数でも大きな効果が期待できます。
軽い負荷でトレーニングが行えるメリットとしては、重いものを持ち上げる必要がないため、筋力のない方やトレーニングに慣れていない方、怪我をしている方でも簡単に身体を鍛えることができます。
また、トレーニング中におこる怪我のリスクも少なくなります。

加圧トレーニングのデメリット

ここまで加圧トレーニングのメリットをお伝えしてきました。
効率がよく効果のあるものですが当然それだけではありません。
加圧トレーニングのデメリットやリスクもご紹介していきます!

1. だるさや痛みが伴う

これまでの説明から、加圧トレーニングは「短時間で低負荷で行える=楽なトレーニング!」と思われた方が多いのではないでしょうか。
しかし実際には血流を制限しているためだるさや痛みの伴う、きついトレーニングです。

血圧を測っているとき、腕の締め付けで指の方に怠さやピリピリ感を感じたことはありませんか?
同じような感覚が加圧トレーニングでも起こります。
加圧トレーニングではベルトで締め付けるため、血圧の測定時より強いだるさや痛みを感じる場合も。
もちろん痛みが出ない範囲での負荷からトレーニングを開始するのですが、通常のトレーニングには無い不快感を伴う可能性があります。

2. 血流の制限には注意が必要

高強度トレーニングをした状態へと近づけるために、血流をあえて低下させていくため、もとから血流量が少ない人は貧血症状が出る可能性があり、注意が必要です。

自己流で行った場合、長時間の締め付けや過剰な圧迫によって静脈血栓や痺れなどの症状が出るリスクも高まります。
専門の資格を有したトレーナーについてもらい、トレーニングをすることをオススメします。

3. 価格が高い

専用のベルトを使用したり、トレーナーについてもらうことで通常のトレーニングジムより割高になってしまいます。
また、トレーニングを受けるたびに費用がかかってしまう場所が多いようです。
しかし、前述したように大きなメリットがある分、知識のないまま行うとリスクの伴う方法ですので、安全にトレーニングをして効果を出すためには必要な出費になるのではないでしょうか。

加圧トレーニングのやり方

では、実際に加圧トレーニングのやり方を簡単に説明したいと思います。

1. 専用ベルトでの加圧

腕は上腕のつけ根(力こぶの手前あたり)を、脚は太もものつけ根をベルトで加圧していきます。
ベルトは圧力センサを内蔵した特殊なベルトを用いますが、この時の圧力の強さがとても重要になります。
圧力をかけると筋肉への血流が低下するため、腕や脚が赤黒っぽく変色しますが、指先が青白くなってしまっていると圧迫が強すぎているという証拠です。
圧迫が強すぎると貧血や血栓、痺れや皮下出血などのリスクが高まるため、自宅で行う場合にも最初は専門の資格をもつトレーナーの指導を仰ぎましょう。
また、腕と脚を同時に行うことは血流の制限が強すぎてしまい大変危険なため、必ず分けて行いましょう

2. 負荷設定

加圧トレーニングでは、1RMの40%以下の負荷を目安に使用します。

1RMとは1回だけあげることのできる重さ、つまり自分があげられる最大の重さになります。

例えば通常のスクワットで、100㎏のバーベルをギリギリ1回だけ上げられる!という方は、「1RM=100㎏」です。
加圧トレーニングでは40%以下の負荷が推奨されているので、40㎏以下の重さでトレーニングを行いましょう。

本当にこれでトレーニングになるのか?と思うような軽さですがリスク管理の観点からも、そのくらいの負荷にしましょう。
負荷設定ができたらトレーニング開始です。
5分程の短いトレーニングを休憩をはさみながら3〜4セット繰り返しましょう。
所要時間は、腕と脚それぞれ15〜20分ほどになるため、全体で30〜40分程度。
これなら仕事終わりにでも時間が取れそう!と思う方も多いのではないでしょうか。

3. 実際のトレーニング内容

では、実際にトレーニングジムではどのようなメニューが行われているのか、ご紹介したいと思います。

先ほど説明したように、負荷が大きすぎると痺れなどの症状が現れるリスクとなりますので、腕と脚のトレーニングは必ず分けて行いましょう。
それぞれ、どのように行われているのか実際のトレーニング種目について解説していきます。

トライセプスキックバック
トライセプスとは上腕三頭筋のことで、「二の腕」の部分にあたります。
肘を伸ばすときに使う筋肉ですので、ダンベルなどの重りを持ち肘を伸ばす動作をしていきます。
たるんだ二の腕が特に気になるという方はここを鍛えて引き締めましょう!

ボックススクワット
スクワットは太ももやお尻周りを中心に下半身全体を使うトレーニングです。
通常のスクワットに比べ、ボックスに座る動作を利用しているため、負荷も軽くスクワットの基本姿勢作りにも効果的。
スクワット姿勢がうまくできない方、慣れていない方はボックススクワットから始めてみましょう。

このように、腕と脚のメニューを分けて行っていきます。
上記の種目以外にも、マシーンを使用したものやゴムチューブ、ボールを使用したものなどさまざまな種目があります。
初心者の方は、重りを使わずに自分の体重を利用した腕立て伏せやランジ動作など、負荷の軽い種目からスタートして少しずつ強度を上げていきます。
筋肥大を目指したい!」「シェイプアップをしたい!」など今後の目標を決め、現在の自身のレベルに合わせたメニューを組んでもらいましょう。

加圧トレーニングの費用と場所

加圧トレーニングは病院整骨院エステスポーツクラブなどで受けることができます。
料金は施設によってまちまちで、1回3,000円~15,000円くらいです。
病院で行う場合でも保険外診療にあたるので、だいたい同じくらいの費用がかかります。
スポーツクラブの場合は、会員制の場合もあるので事前に問い合わせてみてください。

先にも述べたように、加圧トレーニングではインストラクターの指導能力がとても重要です。
会員になる前に、体験入会などで試してみてから入会したほうが良いでしょう。

おわりに

加圧トレーニングは、通常のトレーニングに比べて、短時間で軽い重さでも効果の期待できる方法です。
トレーニングに長い時間をかけられない方も、これなら短時間で集中して行えるので、継続しやすいのではないでしょうか。
また、基礎代謝アップによって太りにくい身体になるだけでなく、血流の改善による肩こりや冷えなどの症状緩和、成長ホルモンの分泌による美容や健康への効果も見込めます。
健康に体を鍛えられて、ダイエットにも効果的なんて女性には嬉しいことばかりですね。
しかし、血流を制限して身体に負荷をかけている分、方法を間違えるとリスクも伴います。
正しい知識のあるトレーナーの指導のもと、安全にトレーニングを行って痩せやすく引き締まった身体を目指していきましょう。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

関連する記事

関連するキーワード

著者