ローテーターカフとは?

ローテーターカフとは、肩甲骨から上腕骨(腕の骨)についている、以下の4つの筋肉の総称をいいます。
・棘上筋(きょくじょうきん)
・棘下筋(きょくかきん)
・小円筋(しょうえんきん)
・肩甲下筋(けんこうかきん)

この4つすべてには、肩を安定させる役割があります。
肩関節には、骨と筋肉をつなぐ靭帯が少なく、補強が不十分であるため、ローテーターカフによる安定性の向上は、大切な役割となっています。

ケアしないと五十肩や投球障害に?

ローテーターカフは、腕を内側や外側に回旋させる働きがあるため、『回旋筋腱板』とも呼ばれます。
ローテーターカフの中でも、上部にある棘上筋の負担は、他の3つに比べて大きいと言われています。
そのため、腱が骨と骨の間に挟まれてしまったり、『滑液包炎』という骨と腱の間のクッション役を務める滑液の炎症や腱鞘炎などを起こしてしまうことがあります。(これらをまとめて『インピンジメント症候群』と呼びます)

野球選手に起こる投球障害や回旋筋腱板損傷、年齢を重ねると起こしやすい五十肩などの症状は、ローテーターカフの使い過ぎや消耗が原因となっていることが多いです。

ローテーターカフのトレーニングのメリット

ローテーターカフは五十肩の痛みの原因となっているため、トレーニングすることにより、五十肩による痛みを解消することが期待できます。
筋力が弱くなったり、動きが固くなったりしたローテーターカフをトレーニングすると、肩の動きがスムーズになるのです。

また、スポーツのパフォーマンスを向上させることも期待できます。
特に、野球の投球では、ローテーターカフをトレーニングすることにより、球速アップや遠投距離の延長が図れます。

ローテーターカフのトレーニングの注意点

ローテーターカフのトレーニングは、自宅で簡単に行うことができます。
しかし、いくつかのポイントを意識しないと、しっかりとした効果が出ません。
ここでは、3つのポイントをご紹介します。

1. 背中を伸ばす

背中が丸くなった姿勢では、肩甲骨が外側に開いてしまい、ローテーターカフがうまく働きません。
背中を伸ばし、肩甲骨を内側に寄せた状態を維持して、トレーニングを行いましょう。

2. 低負荷で行う

ローテーターカフはインナーマッスルであり、大きな力を発揮する筋肉ではありません。
そのため、鍛えようと高負荷で行ってしまうと、肩の他の筋肉が働いてしまい、ローテーターカフが働きません。
チューブを使用するか、もしくは何も使用せず、腕の重みだけで行いましょう。
低負荷で行うかわりに、50~100回ほど動作を行うと、効果が期待できます。

3. 肩甲骨を動かさない

ローテーターカフのトレーニングに慣れないと、肩を動かす時に肩甲骨も一緒に動いてしまいます。
肩甲骨を固定することを意識することにより、ローテーターカフがうまく働きます。

ローテーターカフのトレーニング方法

1. 親指を下にして、斜め前方に引っ張る

①立位姿勢で手の甲を正面に向け、肘を伸ばして身体の横に置きます。
②親指を下にした状態(順手)で、斜め前方に腕を上げていきます。
③45度くらいまで斜め上に上げたら、①の姿勢に戻ります。

2. 親指を上にして斜め前方に引っ張る

①立位姿勢で手のひらを正面に向け、肘を伸ばして身体の横に置きます。
②親指を上にした状態で、斜め前方に腕を上げていきます。
③45度くらいまで斜め上に上げたら、①の姿勢に戻ります。

3. 小さく前ならえの姿勢から回旋させる

①立位姿勢をとり、小さく前ならえをするように肘を90度に曲げます。
②脇を閉じて肘の位置をキープしたまま、外側へ手を開きます。
③45度くらいまで開いたら、①の姿勢に戻ります。

ローテーターカフのストレッチとケア

ローテーターカフはインナーマッスルなので、ストレッチによる気持ちの良い伸長は、感じにくいですが、ゆっくり行うことで、しっかりとストレッチ効果を得ることができます。
ストレッチの時もトレーニングの時と同様に、背中を伸ばすことでより高い効果が現れます。

①椅子に座ります。
②ストレッチする側の腕を真っ直ぐに伸ばし、後方に引きます。
③斜め45度くらいまで引いたら、その位置で腕を右方向にねじります。
④位置を変えずに、今度は腕を左方向にねじります。
⑤左右に5回ずつ行いましょう。

ローテーターカフ以外の肩の筋肉が緊張していると、ストレッチ効果を引き出すことができません。濡れタオルをレンジで温めてホットタオルを作り、肩に当てて筋肉の緊張をほぐしたり、肩周りの筋肉をストレッチしてから、ローテーターカフのケアを行うのも良いでしょう。

おわりに

ローテーターカフを鍛えても、なかなか外見には効果が現れにくいですが、怪我予防やスポーツのパフォーマンスの向上には、欠かせないトレーニングです。

トレーニングに慣れていないと、姿勢が崩れてしまって効果が現れにくいので、鏡を見ながら姿勢に注意してトレーニングすることをおすすめします。
まずは、注意点に気をつけながら、繰り返しローテーターカフのトレーニングやストレッチを行い、身体にしみ込ませていきましょう。

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

関連する記事

関連するキーワード

著者