首こりの症状

首こりと一口に言ってもその症状は人によって千差万別です。
単純に首が痛い・首が凝るという症状だけでなく、それに伴う様々な症状が現れる場合が多いのではないでしょうか。

首は頭と体をつなぐ重要な部位で、首の内部には身体にとって非常に重要な血管や神経が通っています。
それにより、首こりは単に筋肉の問題だけでなく、あらゆる自律神経症状を引き起こす場合もあります。
頭痛や頭が重い感覚、胸やけや吐き気、食欲低下、手の痺れ、疲労感、倦怠感、多汗症、不眠、抑うつなどの症状は、もしかすると首こりからきているのかもしれません。

気になる症状がある方は、一度自分の首周りを観察したり、医師や専門家に相談してみましょう。

首のこりや痛みの主な原因

首は日々、頭の重さを支えているため、負荷がとてもかかりやすい部位です。
人間の頭の重さは体重の約8%、体重60kgの方だと約5kgにもなります。例えて言うと、11ポンドのボウリングの球を首に乗せているようなものです。

負担のかかる姿勢を長時間続ける

長時間、頭を下げているような姿勢を長時間とっていると、重力の影響で首に負担がかかりやすくなります。デスクワーク、車の運転、そして最近はスマートフォンや携帯電話の画面を見るなどの時間が長い方は、首こりが起こりやすいと言えるでしょう。

首に負担がかかると、肩から首、頭部にかけての筋肉が硬く、血行も悪くなり、首のこりや痛みが発生します。
さらに、身体の調子を整える働きをしている自律神経系にも影響を及ぼし、前述したような様々な症状を引き起こすのです。

現代人に多く見られる『ストレートネック』

首の骨は『頸椎(けいつい)』と言い、7つの骨が積み重なり本来は自然な湾曲を描いています。
首から背骨にかけての骨の重なりが湾曲を描いていることで、骨や筋肉にかかる負担を軽減できるようになっています。
しかし、現代人の生活習慣も影響しているのか、近年この湾曲が少ない方が多くみられます。湾曲が少ない首を『ストレートネック』と呼び、これもまた首こりの原因と言えるでしょう。

自宅でできる3つの首こり解消法

首の痛みやこりの症状を解決したいと思う方は多いでしょう。
ここでは、自宅で誰でも行える、首こりのケアの方法をご紹介します。

1. 首の周囲を温めて血行改善

マッサージやストレッチを行う前に、少し温めておくと血行の改善に効果的です。

心地良いと感じる程度の温度で、15分から長くても30分間ほど温めます。
お風呂でゆっくりお湯に浸かったり、ヘアサロンでよく行われるように蒸しタオルを首に当てたりするのも良いでしょう。
最近はドラッグストア等で、首や肩を簡単に温める商品も販売されているので、それらを活用してもOKです。

ただし、温め過ぎには注意してください。
首には太い動脈が通っているため、温め過ぎると体温が上昇して、ほてりやのぼせ、めまいなど身体の不調をきたすことがあります。

2. マッサージで筋肉をほぐす

上の写真の赤い部分は頸椎(首の骨)を示しています。
首こりのある方は、頸椎の周りの筋肉が凝り固まっているので、ここをもみほぐしましょう。

まず、頸椎の一番下にある『隆椎(第7頸椎)』を見つけます。第7頸椎は、首を前に曲げた時に一番突き出ている部分です。
隆椎の当たりから頭の方に向かって、両方の手の平で少し圧をかけるようにしてマッサージをします。

首こりの方は大抵肩こりも持ち合わせていることが多いので、少しずつ位置を変えながら首から肩にかけての筋肉をほぐしていきましょう。
両手で行いにくい場合は、右手で左側の肩と首をほぐし、左手で右側をほぐすようにして片方ずつ行うのも良いでしょう。

3. 首のストレッチを行う

ここでは、首のストレッチ方法をご紹介します。
前述したように首は大事な血管や神経が通りデリケートな部位です。
ゆっくりと1つのストレッチに20秒程度時間をかけて優しく行うようにしましょう。

①両手を頭の後ろに当てます。

②首を下に向けて両手で補助しながらじんわりと首の後ろを伸ばします。

③次は頭を右に傾けて、左側の首筋を伸ばします。この時、右手で補助するようにするとよく伸びます。

④左側へも同様に傾けて、右側の首筋を伸ばします。

⑤最後にぐるりとゆっくり首を回しましょう。右回し・左回しと交互に行ってください。

おわりに

首こりの症状や原因、解消方法についてご説明しました。
首こり解消のマッサージやストレッチは、仕事や家事の合間にぜひ試してみてください。

ただ、どれだけマッサージやストレッチを行っても、原因となる姿勢を取り続けていると、またすぐに首こりは発生してしまいます。
スマートフォンを見る時間を減らす、背筋を伸ばしてうつむかずに姿勢よく座るなど、生活習慣にも気を付けて、首こり知らずの身体を手に入れましょう。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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