はじめに

皆さんは、「ダイエットしてもなかなか続かない。」「ダイエットに成功したのにリバウンドしてしまった。」という経験をした方は多いと思います。実は、その原因の1つは皆さんの脳の機能にあるのです。脳の機能を知り、正しいダイエットの方法を知りましょう。

なんで3ヶ月という期間なのか

1 無理なく進められる期間

急激なダイエットはかなり無理をしないと成し遂げる事が出来ません。期間によっては目標体重にするために断食に近いような状態になってしまいます。

そのため、例え痩せる事に成功しても体調が良くない、肌の張りが無くなる、リバウンドしてしまうなどデメリットのリスクが大きくなります。

しかし、3ヶ月という期間なら緩やかに体重を落とす事が出来るので、多少の我慢は必要ですがリバウンドや体調不良のリスクは非常に低くなります。

ボディービルダーやヒィジークのプロ選手達もコンテストに向けて皮下脂肪を落として、筋肉が美しく見えるように減量する期間も3ヶ月位で行っています。

2 脳の機能

体は体温を維持するために、気温が下がり体温が下がるとホルモンや筋肉により熱を作り出し体温を上げます。気温が高くなれば汗をかいて体温を下げようとします。この体温を含めた体の中の状態を常に一定に保つための機能を「恒常性維持機能」といいます。

実は、脳の活動である思考にも恒常性維持機能があります。例えば、普段はお寿司屋さんと言えば回転寿司に行くような人が、高級寿司店に行ったら何となく落ち着かなくなりませんか。

これが、思考の恒常性維持機能です。普段の生活と違った事をすると「これは何かおかしいぞ!!」と脳がいつもの生活に戻ろうとするのです。逆に高級寿司店に行くような人が回転寿司屋に行っても同じ現象が起こります。

もし、ダイエットして痩せたり、いつもと違う生活習慣を取り入れると脳は「いつもと違う!!」と感じてしまい以前の生活や体格に戻そうとしてしまいます。この新しいダイエット習慣や痩せた体に脳が違和感なく、慣れるのに要する期間が約3ヶ月と言われています。

3ヶ月ダイエット習慣を続ける事で脳が、元の生活に戻ろうとする事がないためリバウンドなく上手にダイエットできる最適な期間設定なのです。

3ヶ月ダイエットに必要なものとは

1 食事を変える

最も重要なのは炭水化物を減らす事です。食事量を減らす前に必ず炭水化物を減らします。完全になくすのでなく減らすのです。医学的権威のある「ランセット」という医学雑誌にも糖質制限の健康効果は認められています。

しかし、急激に炭水化物を減らすと体調不良になる人もいます。そのため、計画的に炭水化物を制限していきます。まず、1ヶ月目で1日の食事の中で1食をパン、ご飯、イモ類をやめて炭水化物制限します。お勧めは朝食から卵やバターコヒーなど高脂肪の朝食をとる事です。これにより空腹感なく脂肪を燃焼させます。

ちなみに、良質な脂肪であれば摂取する事でダイエット効果が得られます。(トランス脂肪酸は避ける)次に2ヶ月目で1日の食事の中で2食を炭水化物制限します。

3ヶ月目で1食摂取している炭水化物の量を小さいお握り程度に変えます。お菓子やおせんべいなど間食は基本的には禁止してみてください。食べるとしても計画的に楽しむようにします。

2 短時間で強度の高い運動をする

1週間に1回程度、強度の高い運動を15~20分程度行います。(インターバルも含む)ダイエットで最も効率的な方法は筋肉を付ける事です。最近では、海外のモデルは強度の筋力トレーニングを行っています。筋力がつけば基礎代謝が上がり、ホルモンの分泌も促進されます。基礎代謝が上がれば炭水化物制限の効果がより発揮され、美しく綺麗に痩せられます。

3 書き込めるカレンダーを準備する

このカレンダーが3ヶ月ダイエットでは重要なアイテムになります。この3ヶ月ダイエットの予定をカレンダーに書き込んでいきます。

先程説明した炭水化物制限の予定、運動をする予定を書き込みます。1ヶ月の中で友達とスイーツを食べに行くなど、ダイエットの息抜き日も書き込むと食事制限に慣れるまでの励みになります。

計画通りにできたら花丸などを付ける事もダイエットの継続につながります。色々なダイエット方法がありますが、どの方法もきちんと実践し、継続できれば痩せられると思います。ただ痩せることができないのは、ダイエットを習慣化できないからです。

そのため、ダイエット方法やサプリメントを工夫するより、新しい生活を習慣化できる事に重点を置くことがダイエットのカギとなります。そのためにこのカレンダーの書き込みは有効です。

3ヶ月ダイエットを成功させるカギと気を付けるポイント

1 失敗を成功に変える

ダイエットをしていると付き合いなどで、食事制限に上手くいかな日もあると思います。運動だって面倒な日もあります。

しかし、そんな日があっても今までダイエットしてきた日々が無駄になる訳ではありません。出来ない日があってもそこに「しまった!!」とか「やっぱ私ってダメな人間だ!!」などの感情は持たない事です。失敗を繰り返してしまった時にそれらの感情によりダイエットを続けるモチベーションが落ちてしまいます。

「しまった!!」と思ったら、カレンダーに記入した花丸を見て「今まで頑張ってきたのだから、私なら明日からまたダイエットが続けられる。」と思いましょう。

そうやって失敗もダイエットのうちの一つと考えて続けると、思考の恒常性維持機能は次第にダイエットし続けるのが当たり前になるため、食事制限が上手くいかない日や、運動しない日があっても次の日には必ず継続できるようになり、3ヶ月ダイエットが一生の習慣になる可能性が高まります。

2 成功を体験してエネルギーに変える

よく、太った人が昔履いていたジーパンなどの洋服を目のつくところに飾り、「この服を着られるようになる!!」というモチベーションにしてダイエットを成功させている人の話を聞きます。

これは脳というのは臨場感を感じる方を現実と思う特性を利用しています。現在太っていても、脳内でスタイルの良い自分を想像している時は、脳にとってスタイルの良い自分が本当の自分と勘違いを起します。

そうすると、思考の恒常性維持機能はスタイルの良い私が本当の私と判断するため、現実の太った自分を見た時に「あれ?おかしいぞ。なんでこんなに太っているんだ?」と脳が違和感を持ち、「痩せなきゃ」と強く感じるようになるため、痩せるための食事制限や運動の習慣を強化してくれます。

そのため1日1回くらいは、痩せてスタイルの良くなった自分を想像したり、水着を着て好きな人とデートしている所を想像してみたりとダイエットに成功した自分をリアルに想像して体験することで、ダイエットのモチベーション維持に役立ちます。

おわりに

ダイエットで皆さんが最も苦労するのは、ダイエット習慣を続ける事だと思います。

人間は進化の過程で「現状を維持する」という機能を持つことで生存の確立を高めてきました。
しかし、自分を変える時はこの「現状を維持しようとする力」が弊害になってしまいます。前述のカレンダーを使い3カ月かけてダイエットする事で、この弊害を少なくすることが出来ます。是非、試してみて下さい。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野 
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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