はじめに

パーキンソン病とはどのような症状を発症するかご存じですか?
名前は知っていてもどのような病気か、どのように治療して行くのかなど詳しく知らないことがあるかもしれません。
本記事では、いざというときに焦らないようにするためにもパーキンソン病についてご紹介します。

パーキンソン病とは

パーキンソン病とは、いくつかの特徴的な症状を併発する、50歳以降の方に発症することが多い病気です。
そして徐々に進行していき、個人差はありますが発症してから約10年経過すると寝たきりになる方もいます。

脳は大きく分けると「大脳」、「小脳」、「脳幹」から成り立っています。

脳幹の中にある中脳の「黒質(こくしつ)」と、大脳の大脳基底核にある「線条体(せんじょうたい)」が異常をきたしている事が原因であると現段階では言われていますが、パーキンソン病の詳しい原因はまだ解明されていない事が多いです。

パーキンソン病は、黒質で作られるドーパミンの量が正常な人の20パーセント以下に低下し、黒質から線条体に向かうための情報伝達が上手く働かなくなることで起こります。

パーキンソン病になるとどのような症状が現れるかを見てみましょう。

ふるえ

「静止時振戦(せいしじしんせん)」と言われ、じっとしているのに手足が震えることが特徴です。
例えば、膝に手を置きじっと座っている状態で、膝に置いた手が震えだし、膝から手を放すと手の震えが消えます。

固縮

筋肉がこわばり、手足がスムーズに動かなくなり固く縮んだようになります。

無動

体の動きが異常に少なることを言います。
例えば、人より遅れて歩いたり、瞬きの回数が減ります。

姿勢障害

体の姿勢を変える動作をスムーズに行うことができなくなります。
例えば、立ち止まっている状態で人とぶつかりバランスを崩した時に、スムーズに元の姿勢に戻ることができなくなります。
これらの特徴的な症状の他にも、便秘や排尿障害、立ちくらみなど自律神経症状が現れます。
また、気分が落ち込んだりする「うつ」の症状も現れます。

パーキンソン病の予防法

パーキンソン病を予防する方法は、原因である脳から出るドーパミンの量を減らさないことが大切です。

パーキンソン病を予防する6つの方法をご紹介します。

運動をする

パーキンソン病の予防には運動が効果的だと言われます。
特にランニングや水泳、テニスなど少しでも体に負荷のかかる運動をすることでドーパミンの分泌量が増すため効果的です。
また、柔軟体操など激しくない運動でも、時間をかけてじっくり行うことで効果が出ます。

カフェインを取る

以前はカフェイン摂取に否定的な意見もありましたが、最近ではカフェインがパーキンソン病の予防に効果があると言われています。
手軽にカフェインを摂るためにはコーヒーがオススメです。
ただし、カフェインの濃度が高いものではなく、家などで手軽に飲めるコーヒーを1日2杯~3杯飲むことを目安にしてください。

ストレスをなくす

ドーパミンとは運動の他に幸福感などを感じた時にも出る物質です。
楽しいと思ったり、幸せを感じると脳の中から分泌されます。
そのためにはストレスを溜めないようにすることを心掛け、自分が楽しいと思ったことにチャレンジすることが大切です。

バランスのいい食事をする

偏った食事をするとどのような病気にもよくありません。
パーキンソン病を予防するためにも栄養バランスの整った食事を摂るようにしましょう。

明るい部屋で過ごす

暗い部屋にいると後ろ向きな考えを引き起こしやすくなります。
太陽の光を浴びたり、明るい部屋で過ごすようにしましょう。

五感を使う

人間は目、耳、花、口、手足の五感を使うことで、さまざまな刺激を得ることができます。自然散策などへ出掛けることで季節の変化を五感で感じることができるのでオススメです。

パーキンソン病の治療法

パーキンソン病の予防を日頃から心掛けていても発症してしまうことがあります。
もしも、パーキンソン病と向き合わなければならない日がやってきた場合、どのような治療を行うことになるのでしょうか。続いては、主な治療法についてご紹介します。

薬物療法

パーキンソン病の治療で特に行われるのは薬物療法です。
脳から出るドーパミンの量が減少して起こるのがパーキンソン病です。

つまり、薬を使って不足したドーパミン量を補ったり、ドーパミンの代わりとして作用する薬を飲むことによって不足したドーパミンを補います。

遺伝子療法

パーキンソン病で薬物療法の効果がなくなった方に行うのが遺伝子療法です。
体の中でドーパミンを作り出すために必要な酵素(AADC)の遺伝子を細胞に組み込み、脳の中に注入します。

手術療法

手術療法は完治させるものではなく、パーキンソン病によって運動にかかわる脳の細胞が破壊された場合に、電極を埋め込んで脳を刺激し、運動障害などの改善を図ります。
手術療法だけで行うのではなく、薬物療法と併行して行います。
パーキンソン病は完治させることはできませんが、ゆっくり進行していく病状を、薬などを使って遅らせることが治療法の基本です。

しかし、きちんとした治療を受けることで、発症前と変わりのない日常生活を送ることができるのです。

パーキンソン病の方への介護ポイント

パーキンソン病の方を介護するにあたり、いくつかのポイントがあります。

病気の進行状況によっても異なりますが、以下のポイントに気をつけて介護をしてください。

服薬に注意する

パーキンソン病の方の治療方法は主に薬物療法で行われます。
ですが、薬を飲むことによって吐き気や幻聴、幻覚をともなう妄想などの副作用が起きます。
また、薬の飲み忘れ、飲むことを避けることがあると「悪性症候群」という生命に危険を及ぼすようなリスクもあるので、症状によって処方された薬をきちんと服用することが大切です。

パーキンソン病の方が自分で薬の管理をしたり、調節するのは難しくなりますので、介護している周りの人が管理を徹底して服用させるようにしましょう。

歩行に注意する

パーキンソン病の方は進行度合によって歩行が不安定になり、介助を要することも出てくるため、転倒するリスクが増えてきます。
そのため介護をする方は、ケガを未然に防ぐためにも、歩行を見守ることが大切です。

介助する際、パーキンソン病の方と対面した状態で、両手を持って手引き歩行をします。
その時、1歩目がなかなか踏み出せないことや、スピードが速くなり小刻みで歩行することがありますが、介助する人が声をかけながらリズムをとり、ゆっくり動くことが大切です。

飲み込みに注意する

パーキンソン病の症状が進行していくと食べ物を飲み込むことが難しくなりますので、無理やり食べさせたりすると誤って気管に飲み込んでしまう誤嚥(ごえん)を起こしたり、誤嚥性肺炎を引き起こしたりします。
そのためにも介助する人がゆっくり食べさせたり、それを見守ることが大切です。
ゆっくり食べていてもむせたり、飲み込みが困難な場合は、とろみをつけたり、食事を固形から液状に変えてみましょう。

むやみに否定をしないようにする

パーキンソン病の方は薬の副作用によって幻聴や幻覚などの妄想が起こります。
そんなとき話を真向から否定すると興奮状態に陥りますので、むやみに否定をしないで一度受け止めて気持ちを落ち着かせるようにすることが大切です。
また、幻聴や幻覚から注意をそらせることで混乱させないようにすることもできます。
パーキンソン病の方は病気の進行速度は他の病気と比べて比較的遅いかもしれませんが、治療の段階で薬などにより副作用を起こすこともあります。また、進行度合によっては動作にも支障をきたします。

介護する方は常に症状を把握しながら介護することが大切です。

日常生活を快適に過ごすための工夫

パーキンソン病になると体にさまざまな障害が出て、日常生活に支障をきたすようになります。パーキンソン病の方も家族や周りの方も少しでも快適に過ごせるように、日常生活に関することを工夫しましょう。

衣類の工夫

パーキンソン病の症状が悪化すると着替えなども困難になってきます。
着替えなどを自分で行うことは運動の機能を高める訓練にもなります。
また、自分で着替えができることは自信にもつながりますので、症状の進行に合わせて工夫していくことが大切です。

・服のボタンをマジックテープにする
・ベルトを閉めることが困難であればゴムの入ったズボンに切り替える

食事の工夫

パーキンソン病の方は症状が進行していくと食べ物を上手く口に運べなくなり、大半の食べ物をこぼすようにようになります。
しかし、こぼすようになったからといって、早々にドロドロとした食べ物に切り替えてしまうことは食事を楽しみが半減し、気持ちが落ち込む原因にもなります。食事をひとつの楽しみにするためにも、なるべく自分で食べることも大切です。

・症状に合わせて噛みやすく飲み込みやすいような形状にして調理を工夫する
・滑り止めのついた動かない食器にする
・握りやすいスプーンやフォークにする

住宅の工夫

パーキンソン病になると動作に障害が出て上手く歩行できなくなります。
しかし、動くことはリハビリにもなりますので、できるだけ自立歩行ができ、転倒しないような工夫をすることが大切です。

・段差があるところに印をつける
・バリアフリーと呼ばれる部屋間の段差をなくす
・コード類にも転倒する可能性がありますので、歩行する場所にコード類を置かないようする
・お風呂の脱衣所に滑り止めマットを敷く

まとめ

いかがでしたか?
パーキンソン病は発症したからといってすぐに進行する病気ではありません。
きちんと医療機関で診察を受けて、治療を受けることが日常生活を快適に過ごすポイントです。
パーキンソン病の方は家族や周りの方のサポートが大切です。

監修

・総合診療医 院長 豊田 早苗

・総合診療医 院長 豊田 早苗

専門分野 
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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著者

ケアくるLINE@