サーキットトレーニングとは

『サーキットトレーニング』とは複数の種目のトレーニングを短時間ずつ続けて行うものです。

インターバル(休憩)は、全くとらないか短時間(1分以内)とします。

トレーニング内容は筋力トレーニングのみを数種類行うこともありますが、筋力トレーニングなどの『無酸素運動』と、ジョギングといった『有酸素運動』を組み合わせると、より効果が高まるといわれています。

同じ部位に負荷がかかるものは、続けて行わないようにメニューを組むのが一般的ですが、常に全身に負荷がかかる状態が続くため、トレーニングの組み方次第では心拍数がかなり上がることもあります。

こういった特徴から、サーキットトレーニングはグラウンドや大きなトレーニングルームではなく、自宅やジムの一室でも比較的負荷の高いトレーニングを行うことができます。

サーキットトレーニングの効果

筋持久力の向上

『筋力』というと一般的には一度でどれだけの力を発揮できるかという『最大筋力』のことを言います。

それとは違った筋肉の機能として『筋持久力』という言葉があります。
『筋持久力』とは、同じ筋肉をどれだけ持久的に使い続けることができるかという力のことを言います。

サーキットトレーニングは一つ一つのトレーニングを時間や回数で区切りながら、ある程度の時間継続するため、筋力の中でも筋持久力を高める要素があります。
マラソンなどの長距離走はもちろん、サッカーやバスケットボールなどの種目でも、瞬発的な筋力だけでなく、良い状態でプレーし続ける筋持久力が必要です。
そのため、サーキットトレーニングを行うことは、それらの競技でのパフォーマンスのアップにつながります。

心肺機能の向上

運動には無酸素運動と有酸素運動の2種類がありますが、サーキットトレーニングは種目によってどちらも含まれています。
通常、ジョギングなどの有酸素運動では、途中でペースを変えない限り一定の心拍数を保った状態になり、さほど心拍数は上がりません。
しかし、休憩なく前後に無酸素運動である筋トレが入ることにより、心拍数が上がりやすくなります。
同じジョギングでも心肺機能により負荷をかけることができるため、心肺機能を効率的に向上させることにつながります。

ダイエット効果

運動によるダイエットを行う際には、基本的に脂肪を燃焼するための有酸素運動が必要になります。
加えて、脂肪を燃焼するだけでなく、体に筋肉をしっかりとつけることで、基礎代謝が上がって痩せやすい体を作ることができます。
筋トレを行うこともダイエットのためには大切です。
サーキットトレーニングはその両方を同時に行うため、効率的にダイエットを進めることができます。

ジムで行うサーキットトレーニングのメニュー

ジムで行うサーキットトレーニングには、どのようなメニューがあるのか、具体的な例をご紹介します。

ポイントは、有酸素運動と無酸素運動が含まれていること、上半身、下半身、体幹部にバランスよく負荷がかかりながらも、同じ部位への負荷が続かないようにすることです。

書いてある順番でトレーニングを一通り行うと、全身十分に鍛えることができます。

① エアロバイク

エアロバイクはトレーニングや健康器具として使用される固定型の自転車です。

サーキットトレーニングの最初に行うことで、ウォーミングアップとして心拍数をあげることができます。
製品によって異なりますが、ペダルの重さを調整できるものが多いので、重くすればするほど負荷が強くなり、心拍数が上がりやすくなります。

また、回転数が表示されるものもあるので、回転数を一定に保持するようにすると、運動負荷を一定に調整できます。
ウォーキングやジョギングなどと異なり、座った状態で行うため、膝や股関節痛のある方でも小さい負担で行うことができます。

② ベンチプレス

上半身の中でも、特に胸板をつくる『大胸筋』や腕の前側にある『上腕二頭筋』、後ろ側にある『上腕三頭筋』を鍛えられます。

1. 専用のフラットベンチの上に仰向けになり、しっかりと床に足をつきます。
2. 肩甲骨を軽く内側に寄せたら、ラックにかけてあるバーベルを両手で持ちます。手は順手で手の甲が自分に見えるようにします。
3. 肘を伸ばしてバーベルを押し上げるようにラックから外し、ゆっくりと肘を曲げながら胸の前まで下ろします。
4. バーベルのバーが胸につく一歩手前まできたら、ゆっくりと肘を伸ばしてバーベルを持ち上げます。

筋トレのみで最大筋力を強化する際には、バーベルの重量を限界まであげます。
しかし、サーキットトレーニングでは、その前後のトレーニングのことも考慮し、本来自分ができる最大重量よりはいくらか下げて複数回行うのが一般的です。

③ スクワット

下半身の筋肉の中でも、大腿四頭筋や大殿筋などの抗重力筋を主に鍛えるトレーニングです。

1.立位で足を骨盤の幅に広げ、両足を平行にしてつま先が進行方向を向くようにします。手は身体の横に自然に置いておくか、頭の後ろに組む、もしくは腰の後ろで組むようにします。
2.ゆっくりと股関節、膝関節を曲げて重心を落とします。このとき、股関節と膝関節が同じくらいの角度で曲がるようにし、重心が前後しないように気を付けましょう。
3.膝関節が90度程度になる(ハーフスクワット)まで、もしくは太ももが床と平行になる(フルスクワット)ところまで重心が下がったら、ゆっくりと足を伸ばして最初の姿勢まで戻ります。

スクワットは自分の体重を負荷として行うこともできますが、物足りない場合には両手にダンベルやバーベルを持って行うと、より負荷が上がります。

④ ラットプルダウン

体幹部の筋肉を鍛えられるトレーニングで、特に背部に広がる『広背筋』や、首と肩甲骨をつなぐ『菱形筋』、背骨の周りにある『脊柱起立筋』が鍛えられます。

1. 上の写真のようなラットプルダウン用のマシンに背筋を伸ばして座り、胸あてに胸をあてたら、両手で持ち手を持ちます。
2. 下腹部を軽くへこませるようにして体幹を安定させた状態で、ゆっくりと持ち手を引き、左右の肩甲骨を寄せるようにします。
3. 手が身体に近づくところまで引いたらゆっくりと持ち手を戻します。

⑤ マシンヒップアブダクション

下半身の筋肉の中でも姿勢を保持するための『抗重力筋』や、お尻の上部にある『中臀筋』を鍛えるトレーニングです。

1. 上の写真のような専用のマシンに乗り、両膝の外側をパッドに当てます。
2. 股関節を開くことを意識しながら、パッドを外側に押し出すように足を動かします。
3. 開ける限界まで股関節を開いたら、ゆっくりと力を緩めながら元の位置に戻ります。

⑥ トランクカール

腹筋トレーニングの基本で、主に腹部正面にある『腹直筋』を鍛えます。
専用の器具がある場合は器具の傾斜を使用することで負荷が上がりますが、ない場合でも床に寝転んで行うことができます。

1. 両足を足かけに引っ掛けた状態で仰向けに寝ます。両手は胸の前や頭の後ろに組むか、太ももの上に置きます。
2.息を吐きながらおへそを覗き込むように頭、肩甲骨、腰の順番でゆっくり上体を起こしていきます。
3.完全に起き上がったら反対に腰、肩甲骨、頭の順番でゆっくり下ろしていきます。

反動をつけると簡単にできますが、腹筋への効果を高めるためには反動を使わずにゆっくり起き上がるようにしてください。

⑦ ジョギング

最後にもう一度、有酸素運動であるジョギングを入れます。
一定のペースで行っても構いませんし、最後の種目ということでペースを上げて追い込んでも良いでしょう。そうすると、心肺機能や筋持久力にさらに刺激を加えることができます。

おわりに

今回は、サーキットトレーニングについて、その効果やメニューの具体例をご紹介しました。

健康維持、ダイエット、スポーツパフォーマンス向上など、様々な目的でサーキットトレーニングを行うことができます。
目的や可能な運動レベルが違っても、個人に合わせたメニューを作ることができ、効果の高い優れたトレーニング方法だと思います。

最初からご自身で自分に適したメニューを組むことは難しいと思いますので、是非気軽にトレーニングジムのスタッフに声をかけて挑戦してみていただけたらと思います。

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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