ルーシーダットンヨガとは

「ルーシーダットン」とは

日本では新しいルーシーダットンですが、タイでは古くから伝わり、2500年の歴史があるタイ国保健省に正式に認められている伝統医学です。

ルーシーとはタイ語で「仙人」を意味し、ダッは「曲げたり、伸ばしたり、ひねったりする動作」、トンは「自分で」という意味です。つまりルーシーダットンとは、「自己整体法」です。ルーシーが厳しい修行により疲弊した体をほぐすために考えられた健康体操なのです。

タイの伝統医学では、脚をとても大切にします。足は大地に繋がっており、大地からエネルギーを受けられると考えられています。脚を通る「セン」と呼ばれる血管やリンパが集まるエネルギーラインを活性化することで、エネルギーが体全体に行き渡ります。

ルーシーダットンヨガの特徴

ルーシーダットンの特徴は、呼吸法とセンです。
ルーシーダットンでは息をゆっくり吸いながらポーズを取り、ポーズのピークで息を3秒ほど止めます。口から息を吐きながらゆっくりとポーズを緩めていきます。この動作を3~5回繰り返します。

ポーズのピークで息を止めることで、血液やリンパが圧迫されてセンを刺激することができます。息を吐きながら圧していた血管とリンパに気を流していきます。タイ古式マッサージでは、このセンを押すことによって刺激を与えますが、ルーシーダットンは呼吸に合わせて自分で体を曲げたり、伸ばしたり、ひねったりすることでセンに刺激を与えます。

センは目で見ることができませんが、体内に7200本あると言われています。また、ルーシーダットンのポーズは全部で214にもなります。

タイ式ルーシーダットンヨガとインド式ヨガの違い

インド式ヨガでは、ヨガ自体が修行の一環とされています。長時間瞑想できる身体を作るためにヨガをします。
ヨガをしている間は精神を集中し、正しいポーズを追求するのが目的とする場合があります。股関節周りを開くことによって、長時間楽に坐れるようになったり、肩回りを緩めることで、深い呼吸ができるようになったりすることで集中しやすくなります。呼吸を使いながら、心と体を繋いでいくのです。全体の流れをとても大切にし、精神を集中させるために身体を整えていきます。

それに対し、ルーシーダットンは修行で疲れた身体をほぐすために行われるもので、ルーシーダットン自体は修行ではありません。
ポーズを深めたり、精神を統一したりする必要はなく、ポーズは比較的簡単で誰でも行うことができます。全体の流れもそれほど大切ではないので、身体の気になる部分に効くポーズだけを選んで行うこともできます。自己整体のためのものなので、筋肉を使ってバランスを取るポーズや、複雑なひねりのポーズもなく、インド式ヨガに比べて怪我のリスクは低くなっています。

ルーシーダットンヨガの効果

私たち現代人は非常に忙しく、十分な睡眠時間が取れなかったり、食事が偏ってしまったりすることが多々あります。病気とまではいかなくても、なんとなくだるい、肩や腰が痛いなどという身体の不調にルーシーダットンは効果的です。

呼吸を使って身体を動かすので、内臓のマッサージ効果があり、腸の働きを良くします。消化を助けて便秘を改善するだけでなく、腸の働きが活発になることで免疫力も高くなります。

身体を流れるエネルギーラインであるセンを刺激するので、リンパ流れや血行を良くする効果も期待できます。それにより、老廃物が排出されやすくなり、お肌のくすみが取れて美肌にも良いとされています。

また、センを刺激することで基礎代謝が上がるので、脂肪の燃焼も助けてくれます。中でも、下半身にはセンがたくさん流れているため、ルーシーダットンでは下半身を鍛えるポーズがたくさんあります。下半身を鍛えることで脚の代謝が上がり、脚痩せや、お尻・お腹周りのダイエットに効果的です。

下半身太り解消に効果的なルーシーダットンヨガのポーズ

タイの国技である「ムエタイ」はご存知ですか?格闘技の一種で、タイ式キックボクシングというと想像しやすいと思います。
ここでは、ムエタイで前蹴りするようなイメージで行う、「パーマーカッ」と呼ばれるポーズをご紹介します。お尻から太腿にかけてのたるみに効果的なポーズです。

①片足で立ち、もう片足は前にできるだけ真っすぐ出します。持ち上げているほうの脚は床に平行になるようにします。膝が曲がっていても大丈夫なので、無理のない範囲で行います。
②出した足の裏を両手で持ちます。
③息を吸いながら立っている方の膝を曲げられるところまで曲げます。
④息を止めて3秒保ちます。
⑤息を吐きながら膝を伸ばし、①に戻ります。
⑥この動作をそれぞれの足で3回ずつ行います。

お尻からももの後ろを通っているセンを刺激することができます。普段のオフィスワークや車の運転で座ってばかりいると、お尻や腿の後ろが硬くなってしまいます。身体のこの部分が硬くなると、腰痛を招きやすくなるばかりか、内臓機能も下がってしまいます。
このポーズを練習することで、内臓機能が上がり、下半身だけでなくお腹周りもスッキリするでしょう。

まとめ

前述したとおり、タイの伝統医学では、脚をとても大切にします。
脚にはたくさんリンパや血流が通っていて、これが滞ると下半身太りを引き起こし、冷えやむくみなどの原因にもなります。
ルーシーダットンを通して下半身を中心に、全身の健康効果を感じてみてください。
気軽に始められるので、隙間時間を生かして1つ、2つポーズを取るだけでも効果が期待できます。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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