はじめに

テクノロジーの発達で、10代からパソコンやタブレット端末など使用する機会が増えてきました。特にノート型パソコンなどは手軽に使用できることからベットなどに寝転がって使用している方もいるはずです。10代は成長も著しい年代ですが、パソコンなどの使用以外にも腰などにも負担がかかることがあります。今回は10代がかかりやすい腰痛の原因を男女別に調べました。

10代に多い腰痛とは

腰痛と言えば、立ち仕事が多い職業やデスクワーク、または中高年者がかかりやすい症状だと考えられていますが、10代でも腰痛にかかることがあります。10代ではどのようなことで腰痛が起こるのでしょうか。

成長による腰痛

10代は成長期など体に変化が起こり身長なども伸びてきます。骨の成長に合わせて筋肉もついてきますが、筋肉が骨の成長に追いつかず、腰に負担がかかり腰痛が起こるこがあります。身長が伸びきる過程で腰の動きが鈍くなり痛むことがあります。

スポーツ

10代と言えば、部活動などスポーツ活動が盛んな年代でもあります。スポーツにはさまざまな種類がありますが、骨や関節などに負担がかかった結果「腰椎分離症」という症状が起こることがあります。

この症状は、骨が完全に形成できていない10代に起こりやすく、スポーツなどで腰のひねりや捻りなどの運動を行うことで骨や筋肉に負担がかかり腰椎分離症となります。

スマートフォンなどの端末使用

近年は、10代からパソコンやタブレットなどの端末を使用するようになりました。姿勢が悪い状態でパソコン作業などを行うと腰の筋肉や骨にストレスが加わり腰痛となります。またテレビを見る時に前かがみになっている場合も腰痛の原因となります。姿勢の悪さは、血流が悪くなり、疲労物質が溜まることから腰痛になってしまうことがあります。

10代に多い腰痛の原因(男性編)

骨の成長

10代男性の成長は著しく、身長なども急激に伸びてきます。骨の成長に伴い体の筋肉なども発達しますが、骨の成長と筋肉の発達のバランスが取れないと腰の筋肉に負担がかかり、腰痛となります。

腰椎分離症

腰椎分離症は、腰の骨が疲労骨折した状態を言います。10代と言えば部活動などのスポーツも多く、体をひねったり、反るなどの動作を行うことがあります。特に野球やサッカーなど男子に人気のスポーツで起こりやすい症状です。反る、ひねるの動作を繰り返し行うことで腰の骨の一部に負担がかかり結果として折れてしまいます。

急性腰椎症

急性腰椎症はぎっくり腰のことを言います。重たい荷物を持ち上げた時やスポーツ中にも起こります。若い男性は重たい荷物を持ち上げる動作も多く、急性腰椎症を起こしやすいと言えます。

スポーツ

スポーツは男女共にありますが、男性の方が成長が著しいため骨と筋肉の成長のバランスの関係で、スポーツによって腰を痛めてしまうことがあります。

10代に多い腰痛の原因(女性編)

偏った栄養

10代の女性は太ることを嫌い、サラダだけを中心とした食事のみや1日の食事の回数を減らすなどダイエットに夢中になってしまう方がいます。10代は成長期なので野菜以外にも穀物や肉類というようなタンパク質をバランス良く摂取することが大切です。栄養が十分でないと疲れやすくなったり、腰の筋肉の血行が悪くなり腰痛となることがあります。

ストレス

人間関係や勉学などで悩みやすい10代はストレスにより姿勢が悪くなってしまうことがあります。悩みなどがあると自然と前かがみの姿勢になってしまいます。前かがみの姿勢は、腰が曲がり、腰の骨や筋肉に負担がかかります。

不規則な生活

前かがみや寝転がった状態でテレビをみたり、スマートフォンやタブレットをいじっている方はいませんか?このような姿勢は腰を反った状態で、腰痛を起こすことがあります。ベット上で作業などはせず、早めに寝るようにしましょう。

10代に多い腰痛の対処法

姿勢を良くする

学校の授業を受ける時や自宅で勉強する時に前かがみになって机に座ると慢性的な腰痛に悩まされてしまいます。両足は床にしっかりつけて両方の太ももを合わせて前を見て座るようにします。うつ伏せで授業を受けたり、ノートに文字を書いたりするのはやめましょう。

運動の前には準備体操を行う

部活などで過激な運動をする前にいきなり運動を始めてしまうと腰の筋肉や骨を傷めやすくなります。ストレスやラジオ体操など軽く行い、筋肉などを徐々に慣らしてあげて下さい。

腹筋を鍛える

腰椎分離症は、体を反ったり、ひねったりする動作により、骨が折れてしまう症状です。腰椎分離症を放置してしまうと腰の骨が前に滑り出て神経や関節に痛みを起こす腰椎変性すべり症を起こしてしまうことがあります。

腰椎変性すべり症を防ぐには、体の軸を鍛える腹筋運動が最適です。腹筋でも体の中に存在する筋肉を鍛えます。

仰向けの状態で膝を立て、ゆっくりと息を吐きながら約20秒くらいかけてお尻を浮かしていきます。このようなエクササイズや股関節のストレッチを行うと効果的です。

栄養バランスの摂れた食事

成長期に過激なダイエットをすると栄養バランスが偏って疲労物質が溜まりやすくなります。栄養が行き渡らないと血流も悪くなり、疲労物質が腰に溜まり腰痛の原因となります。1日3食、タンパク質やカルシウム、各種ビタミン類など栄養バランスの摂れた食事を摂取するようにします。

ベット上で作業は行わない

スマートフォンやノートパソコンをベットに寝た状態で操作すると腰が反った状態となり骨や筋肉にストレスがかかります。またベットに寝転んでテレビを見るのもぎっくり腰の原因となります。テレビを見る時やパソコン、スマートフォンを操作する時は、椅子などにこしかけて正しい姿勢で行うようにしましょう。

コルセットの着用

腰椎分離症など診断された方はコルセットを着けて腰を保護するようにします。腰椎分離症は骨折に分類されるためコルセットを着けるように言われることがほとんどです。

おわりに

腰痛と言ったら働いている方や中高年の方の方をイメージされる人は多いと思います。しかし腰痛は10代の若者にも起こる可能性があります。

その原因として成長や過激な運動、不規則な日常生活などが関係して腰痛を引き起こしてしまうことがあります。

そこで腰痛を防ぐために、準備体操を行ったり、日頃から姿勢を正して生活することを心がけ、腰痛を起こさないようにしましょう。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野 
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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