アイアンガーヨガとは

アイアンガーヨガとは、B.K.S.アイアンガー師がインドで考案したヨガです。
アイアンガー師は1918年に、13人兄弟の貧しい家庭に生まれました。
幼い頃、身体が弱かった彼が、16歳の時にヨガに出会います。

以来、ヨガの探求を続け、アイアンガーヨガの考案に至りました。
そして、1966年に『ハタヨガの神髄』という本を発行すると、これをきっかけにアイアンガーヨガが世界中に広まりました。
現在、西洋で行われているヨガの基礎は、アイアンガーヨガにあります。

アイアンガーヨガの目的は、『アーサナ(ポーズ)』の習得にあります。
意識を自分の内側に向け、正しいアーサナを保つことに集中します。
さらに、解剖学に基づき、体軸を中心として体のバランスを見つけていきます。

そうすることで、体と心の歪みを取り、安定した強い心身を作ります。

アイアンガーヨガの特徴と体が硬くても大丈夫な理由

アイアンガーヨガの特徴

アイアンガーヨガの特徴は、長いホールド時間と、たくさんの補助機具を使うことにあります。

シンプルなアーサナを長い時間保つことで、体の歪みを取り、強い体を作っていきます。

ヨガ種類には活動的な『陽のヨガ』がありますが、アイアンガーヨガは落ち着いた『陰のヨガ』です。
『陰ヨガ』には動きが少ないイメージがありますが、アイアンガーヨガでは、立ちポーズも長時間保つので体幹や筋肉を強化することもできます。

体が硬くても大丈夫な理由

無理に床に手をつこうとすると、苦しくて息ができなくなってしまいませんか?
無理してアーサナをとろうとすると、怪我の原因にもなります。

アイアンガーヨガではたくさん補助機具を使うので、体の硬い人でも安心して練習することができます。
立った姿勢から前屈して手が床に届かない場合、ブロックを使い、手をブロックに乗せて前屈します。
無理やり関節を開いたり、筋肉を引っ張ろうとするのではなく、自分の体を観察しながらゆっくりと負荷をかけていきます。

補助機具を使って正しいアーサナを取ることができると、体や呼吸の変化に気づくこともできます。
ブロック以外にも、椅子や壁、ゴム紐、クッション、バランスボールなども使います。

また、アイアンガーヨガでは、個人のレベルに合わせて、インストラクターが指導してくれます。
アイアンガーヨガのインストラクターになるためには、5年以上トレーニングを受けなくてはならないため、インストラクターは皆、深い解剖学の知識とヨガの知識を持っています。
解剖学の知識があれば、筋肉と骨の動きがどのように作用するのか正確に分かるので、ケガも少なくなります。
そのため、安心してレッスンが受けられます。

アイアンガーヨガの効果

アイアンガーヨガの一番の効果は体の歪みが改善されることです。
正しく骨を配置してその姿勢を長く保つことで、正しい姿勢をキープするための筋肉が鍛えられます。
筋肉は骨と骨を繋いでおり、その伸縮運動によって骨が動き、さらには体が動きます。
偏った姿勢で生活していると、体のある部分は硬く、またある部分は緩んでしまいます。

アイアンガーヨガを継続して練習することで、この歪みを少しづつ改善することが期待できます。

また、アイアンガーヨガの動きで凝り固まった部分をほぐすことにより、リンパや血液の流れが良くなって詰まっていた老廃物が流れ出します。
リンパは筋肉の収縮によって流れるので、筋肉を鍛えることでさらにリンパの流れがスムーズになるのです。これにより、顔色が良くなる効果やダイエット効果が期待できます。

さらに、長い時間アーサナをキープするので、瞑想効果もあります。
集中力が増したり、判断力がついたりします。

このように、表面的に姿勢が良くなるだけでなく、内面的にも精神が安定するという効果があります。
心と体はつながっているので、体に効果があるものは、同じように精神面でも効果があります。

体の軸が整えば、同じように精神の軸も整ってくるでしょう。

アイアンガーヨガのポーズ

サイドアングルポーズの効果とやり方

上の写真は『サイドアングルポーズ』です。
サンスクリット語で、『ウッティタ・パールシュヴァコーナアサナ』とも言います。
ウッティタとは「伸ばす」という意味で、パールシュヴァは「横に」、コーナは「角」、アーサナは「ポーズ」という意味です。
すなわち、体側を伸ばすポーズです。

このポーズを正しく行うと、下半身が引き締まるといわれています。
股関節の柔軟性を高めることで、背骨が真っすぐに伸びます。

こうして姿勢を正すことにより、消化機能が高まったり、胸を開くことにより、深い呼吸ができるようになったりします。
さらに、疲労回復や不安緩和といった効果も期待できます。

【サイドアングルポーズのやり方】

①脚幅を肩より広くとって立ち、両方の脚に均等に体重をのせます。

②右足のつま先を前に向け、左足のつま先を45度に開きます。

③写真のように腰を左に開いたまま右膝を曲げて右の太腿を床と平行にし、左膝は伸ばしたままにします。
※この時筋力のない人は、右腿の下にバランスボールや椅子などを置いて無理のないようにしてから、右膝を曲げます。

④右手は床につき、左手は左足と一直線になるように遠くに伸ばします。前屈みにならないように、左の体側を伸ばします。
※右手がつかない場合は、右肘を右の腿にのせるか、床にブロックを置いてその上に右手をのせます。

このポーズで大切なことは、左の体側が左足首から伸びていると感じられることです。
他の場所が伸びていると感じたり、伸びが感じられなかったりしたら、補助機具を使って正しい位置に戻しましょう。

ポーズの注意点

アイアンガーヨガで大切なのは、解剖学的に骨と骨が正しく位置しているかということです。
骨は家で例えると柱です。
柱の組み方が悪いと、家は傷みやすく、壊れてしまします。
身体も同じでしっかりと骨が関節に入り、正しい角度に位置されていないと崩れてしまいます。
アイアンガーヨガでは、それらを補助機具を使いながら調整していきます。
前屈して手が床についても、背骨が丸まっていて、肩がすぼんでしまっていては効果が出ません。

体が硬くても正しい姿勢が取れていれば、効果が上がり、徐々に柔軟性もついてきます。
インストラクターの指事を聞き、補助器具などを使用して焦らずに自分のペースで練習しましょう。

アイアンガーヨガのできる教室

・アイアンガーヨガセンター
住所:〒353-0004 埼玉県志木市本町6-18-5医療ビル3F
電話:048-487-3119
Eメール:info@yogamarga.com
ウェブサイト:https://www.yogamarga.com/

札幌ヨガスタジオ
住所:北海道札幌市中央区北2条東1丁目5-2 E-Horizon 北2条 4F
Eメール:info@sapporo-yoga.jp
ウェブサイト:https://sapporo-yoga.jp/

アイアンガーヨガ相澤三千代スタジオ
住所:大阪府大阪市北区神山町2-10
Eメール:chakras@iyengar-yoga.net
https://www.iyengar-yoga.net/

おわりに

アイアンガーヨガはインドで生まれたとても伝統的なヨガですが、現代に適したヨガとも言えます。
毎日慌ただしく過ごす現代人は、自分と向き合う時間がなかなか持てません。

そんな中、ゆっくりと動くアイアンガーヨガは、私たちに自分と向き合う時間を与えてくれます。

自分の内面に意識を集中し、体を動かす時「身体に知性が宿る」とアイアンガー師は言います。
身体の柔軟性に関係なく、誰でも自分の内側を観察することは可能です。

陽である現代社会に生きてる私たちこそ、陰であるアイアンガーヨガで自分の内面を見つめ直してみるのも良いでしょう。

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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