はじめに

最近では「pH」や「アルカリ性」などの言葉がよく聞かれるようになりました。
食べ物や飲み物、洗剤に温泉など様々な分野で表記されるようになり、私たちにより身近になった「pH」。

「アルカリ性」は、私たちの身体には無くてはならないものですが、どんな影響があるのでしょうか。今回はアルカリ性の飲み物にフォーカスして性質や効能について解説いたします。

アルカリ性の飲み物って具体的にはどんなもの?

pHって?

pHと呼ばれる単位があります。これは水溶性の物を対象とした質の判断に用いられるものです。数値は0から14まであり、7を基準に数値が大きければ「アルカリ性」数値が小さければ「酸性」となります。

人間の血液は7.4前後で弱アルカリ性となります。これは細胞が生きるため、活動するために必要な数値です。
私たちの身体がもし、酸性に傾いてしまったとすると生命維持は難しいと言われます。

アルカリ性の飲み物は体をアルカリ性にできる?

飲み物(食べ物を含め)のpHは、その現物にリトマス試験紙を当てて調べるものではなく、いったん燃やしたうえで灰を水に溶かして測定した物です。アルカリ性食品とは、その物自体がアルカリ性を示すのではなく、体内に取り入れた後、体内のpHがアルカリ性に傾くような食品という意味です。

*注意:酸とアルカリのバランスは元の状態に戻そうとする力が働きますので、血液をアルカリ性に戻したい時は、酸性食品を食べるようにすすめられるのはそのためです。

アルカリ性の飲み物を飲むとすぐに血液がアルカリ性になるかと言ったら、直接作用することはありません。
しかし食べ物や飲み物のpHは、尿にはそのまま酸性かアルカリ性で現れ、骨にも影響が出ると言われています。

血液のpHを操るということよりは、飲み物などのpHを意識してバランスよく摂取すると健康のバランスも整うといったものです。

アルカリ性の飲み物4つとその効果

pH7前後のアルカリ性の飲み物

野菜はアルカリ性ですが、野菜ジュースはアルカリ性の飲み物には含まれません。
また、梅干しは酸っぱいから「酸性」と思いがちですが、体をアルカリ性に傾けるため、アルカリ性食品になります。梅など酸が強い物の飲み物はアルカリ性が多いと思われます。

▪ 豆乳
製品によっては多少のpHは変わってきますがアルカリ性の飲み物です。
アルカリ性にこだわるだけではなく、大豆の効果として美容や整腸作用などにも、多くの効能が知られているため、体の中からバランスをとるという意味では大きな味方になりますね。

▪ 牛乳
中性からアルカリ性の飲み物です。
消化が悪い時には食前などに飲むと粘膜の保護にもなるという牛乳。
粘膜から身体の深部まで保護する役目としては欠かせない飲み物です。

▪ ポカリスエット
pHを測定するとpH5前後で中性よりももっと低い弱酸性となります。

▪ 水
ミネラルウォーターも製品によってはpHの数値が変わってきます。
また水道水も浄水地域では誤差がありますがアルカリ性の飲み物にあたります。

痛風予防など効果いろいろ

【痛風の予防や改善】

体が酸性に傾くと尿と一緒に尿酸が排泄されにくくなり体内に残ってしまい、足の指などに痛みを発する痛風となります。
肉は酸性の食品です。昔から「痛風は贅沢病」と言われるのはこういうメカニズムがあったからなのです。


【腎結石】

アルカリ性食品にはカルシウムやカリウムなどのミネラルが含まれます。
酸性になってカルシウムが不足すると結石ができやすく、腎結石や尿管結石などの病気となります。


【肝臓や腎臓の負担を減らす】

体は恒常性により弱アルカリ性に保たれています。酸性の飲食物が体内に入ってくると、排泄しようとする運動が高まって内臓に負担がかかってしまいます。
内臓の負担は色々な病気のリスクとなるのです。


【新陳代謝アップ】

酸性は血液がドロドロに、アルカリ性の飲み物などでアルカリ性に拍車がかかると、血液サラサラとなります。血行が良くなると新陳代謝も良くなり、ダイエットや美容効果に最高な条件となります。


【頭痛や不眠の予防】

体がアルカリ性に傾くと血流がよくなり、酸素や栄養素がたくさん脳へ運ばれることで、頭痛と不眠を解消してくれます。


【骨粗鬆症の予防と精神の安定】

体が酸性に近づくとカルシウム不足になります。すると骨からカルシウムが流れ出したり、神経も興奮してイライラ感が増強してしまいます。アルカリ性食品は骨も精神も落ち着かせる効果があるというわけです。


【疲労回復】

筋肉が疲れると乳酸という物質がたまりますが、アルカリ性食品により乳酸の分泌を抑制します。分泌を抑制します。体をアルカリ性に近づけ中和することで、早い疲労回復が望めるというわけです。

アルカリ性の飲み物にも注意点がある!

▪ 最近では自宅でもアルカリイオン水を使うことが定番になりましたが、アルカリイオン水で薬を飲むときには注意が必要です。
メーカーによってはさまざまなものがあり、その水の電位と薬がマッチングするかどうかということです。
薬は水か白湯で飲むほうが確実な効果を得られそうです。

▪ アルカリ性の飲み物の効能として結石予防を前述しましたが、アルカリ性食品や飲料ばかり過剰摂取だと、これも石の原因になります。
痛風でアルカリ性に依存すると体内のカリウムが増えすぎて、結石を作ってしまう場合があります。
過剰ではなくほどほどに留めることが大切です。

まとめ

アルカリ性の飲み物と一緒に体のpHに関する知識や、健康を維持するにはこんな部分にも注意することが大切だとご理解できたと思います。

最近の食べ物はインスタントや肉食中心なため体が酸性に傾きがちです。
食事を変えることは重労働ですが、中和する手段としてはアルカリ性の飲み物を利用すると手軽に健康維持できるのではないでしょうか。

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野 
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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