夏バテの症状

夏バテには様々な症状がありますが、ここでは、代表的なものを4つご紹介します。

■疲労感

夏バテの症状で多いのが、疲労やだるさを感じることです。
高い気温や強い直射日光の下では、不快感を得るだけでなく、体力も非常に消耗します。
暑い日が続くと、休日にゆっくり身体を休めても、疲労が取れずにどんどん蓄積されていきます。

■睡眠不足

日中の暑さはもちろんですが、真夏で問題になるのが熱帯夜です。室内に熱や湿度が残ったまま寝ようとすると、寝つきが悪かったり、途中で目が覚めてしまったりします。
睡眠不足が続くと、疲れが取れず、日中の疲労感やだるさにつながります。

■自律神経の乱れ

厚い屋外と涼しい室内を行き来していると、体温調節に体力を使ったり、過度にストレスがかかったりします。
その結果、循環器や消化器、呼吸器の活動をつかさどる『自律神経』が乱れてしまします。

■食欲低下

消化器の働きを調整する自律神経が乱れることにより、食欲が低下します。
単に食べたくなくなるだけでなく、飲み物を大量に摂ってしまったり、食べやすいメニューばかりを選んでしまったりすることで、栄養のバランスも崩れます。
また、食欲の低下は、疲労感やだるさにもつながり、さらに食べることが億劫になってしまいます。

夏バテの原因

夏バテは、単純に暑いだけでなるわけではありません。
ここでは、夏バテの原因となる問題を、いくつかご紹介します。

■高温多湿な環境

日本の夏の特徴は、高い気温と湿度です。
高温多湿の環境で長く過ごすと、大量の汗によって汗腺がつまりやすくなり、結果として発汗がスムーズに行えなくなります。発汗は体温調節に欠かせないため、滞ると体温調節がうまくできなくなってしまいます。

また、暑い場所や直射日光の当たる場所で長時間過ごすと、発汗が促進され過ぎてしまいます。その結果、多量の体内の水分が体外へ放出され、水分不足による夏バテを引き起こします。

■水分・栄養分の偏った食事

暑いときには、冷たい飲み物を飲み、そうめんやうどんなどの麺類を食べることが増えます。
冷たい飲み物をたくさん飲むと、胃や腸などの消化器官が冷えてしまい、消化能力が低下します。
その結果、食欲が低下し、栄養バランスが崩れます。

また、麺類だけで食事を済ませてしまうと、ビタミンやミネラルが不足してしまうため、栄養バランスも崩れます。

■温度差ストレス

夏には、室内をエアコンで冷やしますが、このことにより室内と室外の温度差が高くなります。
高い温度差で繰り返し体温調節を行うと、身体に大きな負担(ストレス)がかかり、自律神経が乱れたり、体力を消耗したりしてしまいます。

夏バテに効く食べ物

夏バテに効く栄養素には、以下の4つがあげられます。

●たんぱく質……筋肉の維持や造血、エネルギーの生産に欠かせません。冷たい食材を摂りがちな夏には、不足しやすい栄養素でもあります。
●ビタミンB群……たんぱく質、脂質、糖質などの分解を助けます。特に、ビタミンB1には、疲労回復の効果が期待できます。
●ビタミンC……ストレスを軽減したり、風邪のウイルスと戦ったり、免疫力を高めたりしてくれます。
●ミネラル……内臓や組織を整え、スムーズに働かせてくれます。

これら4種類の栄養素が多く含まれた食べ物を摂取することにより、夏バテに効果が期待できます。

■うなぎ

うなぎは昔からスタミナ食として親しまれている、夏バテに効果的な食材です。

他の栄養素の分解を助けるビタミンB群が豊富に含まれているので、栄養が吸収されやすくなり、効率的に栄養が摂取できます。

■レバー

レバーには、たんぱく質、鉄分、ビタミンB群、ミネラルなどが豊富に含まれています。

食中毒の危険性があるので、調理をするときは、必ずしっかりと火を通すようにしましょう。
自宅での調理が不安な場合は、レストランやスーパーの総菜コーナーにある、レバニラ炒めや串焼きを選ぶと良いでしょう。

■豚肉

ビタミンB1が多く含まれているため、疲労回復に効果があります。

料理のバリエーションも豊富なので、比較的簡単に栄養を摂取できます。ニンニクやニラと一緒に炒めて食べると、ビタミンB1の吸収の効率が上がります。

■長芋

ムチン(ミネラル)、ビタミンB群、ビタミンCが豊富に含まれています。

ムチンは加熱に弱いため、すりおろして『とろろ』にしたり、短冊切りにしてサラダにしたりして食べるのがおすすめです。

夏バテ解消のために気を付けること

■肌着をつける

暑いからといって薄着になりすぎると、気温を直接感じてしまい、体温調節に体力を消耗してしまいます。
暑い夏こそ、肌着を1枚着用しましょう。暑い時に汗を吸収したり、エアコンの冷気から守ってくれたりするため、無理なく体温調節を行えます。

■湯船に浸かる

夏は入浴せずシャワーのみで済ませることも増えますが、体温の調節や疲労回復のためには、温かい湯船につかることがおすすめです。
身体が温まってリラックスでき、安眠にもつながります。

■睡眠環境を整える

疲労回復には、やはり睡眠が効果的です。
だからといって、低温の冷房をつけたまま寝てしまうと、身体が冷えて休まらなかったり、風邪を引いてしまったりします。
夏用の涼しい寝具やパジャマなどをうまく活用し、適度な温度で快適な睡眠を得られるようにしましょう。

おわりに

夏バテになる原因はひとつではなく、様々なことがつながって起こります。今回、解説した原因や症状を意識し、普段の生活を見直してみてください。

また、食事によって夏バテを予防することもできます。たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどを積極的に摂取し、体調を整えましょう。

夏を楽しく乗りきるために、できることから実践してみてください。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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