頭痛の種類と症状

頭痛は『一次性頭痛』と『二次性頭痛』に分けられます。

一次性頭痛とは頭痛の原因となる病気がなく、頭痛そのものが問題となるものをいいます。
一次性頭痛には主に3つの種類があります。

二次性頭痛とは、なんらかの疾患があり、その症状として頭痛を伴うものをいいます。
頭痛の原因となる疾患には、二日酔いや風邪など一時的な軽いものから、脳腫瘍や脳血管障害など命に係わる重篤な疾患までいろいろあります。

今回は、一次性頭痛の中でも代表的な3つの頭痛をご紹介します。

■緊張性頭痛

緊張性頭痛は、身体や心の緊張が続くことで血行が悪くなって起こる頭痛です。
後頭部や首にかけて締め付けられるような鈍痛が、毎日続くのが特徴です。特に、パソコン作業や読書など、同一姿勢を長時間続けている最中や続けた後に症状が悪化します。
肩や首のこりや目の疲れを伴うことが多く、めまいがすることもあります。
お風呂に入ったり、肩や首を温めたりすると、症状が改善することも緊張性頭痛の特徴です。

■片頭痛

片頭痛は、季節の変わり目やストレスなどが原因となり、脳内の血管が拡張しすぎて炎症を起こすことで生じる頭痛です。
若い女性に多く、こめかみから目の奥がズキズキと脈打つように痛みます。
数時間で終わることもあれば、数日間続くような頭痛が何日かに1回、何か月かに数回など不規則に起こります。
片頭痛が起こる前には、『閃輝暗点(せんきあんてん)』という目の前に星などのキラキラしたものが舞っているように見える症状や、めまい、生あくびといった前兆が見られることもあります。
こめかみあたりを冷やすことで改善しやすいので、緊張性頭痛との判別としても使えます。

■群発性頭痛

群発性頭痛は、決まった時間や決まった時期になると、まとまって起こる頭痛です。
男性に多く、目の奥をえぐられるような強い痛みが起こります。
症状が続くのは数時間ほどですが、一度症状が出だすと、数週間から数か月にわたって痛みが繰り返します。
痛みは頭の左右どちらかに起こり、頭痛とともに発汗、鼻水、鼻づまりといった症状を伴うこともあります。

頭痛の原因

代表的な一次性頭痛の原因となりうる要素をご紹介します。

■緊張性頭痛

緊張性頭痛の主な原因は、肉体的または精神的ストレスによって血流が悪くなることです。
パソコン作業や読書、洋裁など、一定の姿勢を保って行うような作業を長期間続けていると、肩や首の筋肉の緊張が高まり、肉体的なストレスとなります。
また、職場や学校、家庭内での人間関係が悪く、常に精神的ストレスがかかっている状態が続くと、身体の緊張が高まります。それとともに血管が収縮し、頭部の血流も悪くなってしまい、緊張性頭痛を起こすことがあります。

■片頭痛

片頭痛は頭部の血管が拡張して炎症を起こすことで痛みを生じるので、温度変化が原因となることがあります。季節の変わり目は気温が急激に変化しやすいため、片頭痛を起こしやすくなる傾向があります。
ほかにも内的要因として、ストレスから解放されたときなどに、収縮していた血管が拡張して一気に血流がよくなり、片頭痛を起こすことがあります。
また、エストロゲンという女性ホルモンも片頭痛に大きく影響しており、生理周期に合わせて片頭痛が起こるという方も多々いらっしゃいます。

■群発性頭痛

群発性頭痛が起こる原因は、目の後ろを通っている『内頸動脈』が拡張して炎症を起こすためとされています。
疲労や睡眠不足が続いたり、不規則な生活によって体内時計が崩れたりすると、起こりやすくなります。
また、群発性頭痛の直接的な原因がアルコールというわけではありませんが、発症しているときにアルコールを摂取すると症状が悪化しやすいため、アルコールによる血管の拡張も引き金となる場合があります。

頭痛の予防・対処法

一次性頭痛は原因によってそれぞれ対処法や予防法が異なります。
間違った対応をしてしまうと症状を悪化させてしまうこともありますので、ご自身がどの頭痛なのかをある程度判断してから、対処方法を決定するようしてみてください。

■緊張性頭痛

緊張性頭痛はストレスによって血流が悪くなることで起こるので、基本的に身体を温めて血流をよくすることが効果的です。ゆっくり入浴したり、温かい飲み物を飲んだりして身体を温めるほか、ウォーキングやジョギングなど、適度な運動をすることも血流改善につながります。
また、パソコン作業などが多い方は、長時間同じ姿勢でいることを避け、定期的に休憩をとりましょう。簡単な体操をしたり、トイレに行くなど軽く身体を動かしたりすることも大切です。

緊張性頭痛は身体的なストレスだけでなく精神的なストレスも大きな要因となります。
自分なりのストレス解消法を見つけ、自分の時間がとれるときは趣味の時間に使ったり、友達や家族と話したりするなど、リフレッシュできるように心がけましょう。

■片頭痛

片頭痛は緊張性頭痛とは逆に、血管が拡張して血流がよくなりすぎることで起こるため、温めるよりも冷やす方が症状改善につながります。
症状がでたときには、こめかみを冷やしたり、首の後ろに氷枕を巻いたりして頭部に近い部分を冷やしてみましょう。

また、血流を阻害する方法として、こめかみを指で押さえる方法もあります。強すぎないよう自分でいた気持ちいい程度の強さにコントロールしながらしばらく押さえてみてください。
横になって休むことも血流を抑制するのに効果的です。症状がでたときには静かな部屋でゆっくりと横になり、気持ちを落ち着けてみてください。

頭痛の予防法としてどの頭痛にも当てはまることですが、規則正しい生活を意識し、疲労やストレスをためすぎないように注意しましょう。

■群発性頭痛

群発性頭痛は疲労や睡眠不足などにより、体内時計が崩れることが原因となります。そのため、規則正しい生活を心がけ、体内時計を整えるようにすることが、予防の第一歩となります。

群発期には、アルコール摂取による血管拡張も、症状の増強につながってしまうので、群発期のアルコール摂取は控えるようにしましょう。
長時間の入浴も血流がよくなりすぎるので、短時間でさっと入るかシャワーのみとするなど工夫しましょう。
また、飛行機など気圧の変化にさらされるような場面も、できるだけ避けましょう。

ただし、適量のアルコールや入浴、飛行機での旅行は、ストレス解消や精神的な充実、安定につながる場合もあります。そのため、群発期以外に極端に避ける必要はなく、自分の体調に合わせてゆったりと楽しむようにしてみてください。

おわりに

今回は日常生活に支障をきたす頭痛について、種類や症状、原因、それぞれの頭痛の対処法や予防法をご紹介しました。

風邪などの病気をしていなくても、頭痛を起こす方は意外と多いです。日常生活に支障をきたさないよう、うまく付き合って行くためにも、ご自身の頭痛の種類や原因を判断して適切な対処や予防をしていただきたいと思います。

ただし、自分なりに対処してみても症状が改善しないときは、病院を受診して医師に相談することも検討してみてください。ご自身に合った内服薬の処方や生活へのアドバイスを受けられることもあります。

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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