はじめに

病院へ行くほどでもないけど腰が痛い。
そう感じている人は非常に多いのではないでしょうか。

または、長年続く腰の痛みに関してナーバスになっている人にも
今回のお話は是非読んでいただきたい内容になっています。

意外に知らない腰痛に関するお話をしたいと思います。

整形外科に来院する腰痛の8割は原因不明?

プライマリケア・レベル(医療機関で受診)の腰痛の約80%は明確な診断がつかないと言われています。

椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など、明確に定義が確立されている病態はごく一部で、医療機関に来る腰痛のほとんどは、便宜上つけた診断名による原因の特定できない痛みなのです。

今回は、この診断がつかないような慢性的な腰痛に関して、意外に知られていないお話を皆さんにご紹介致します。

年齢と腰痛の相関関係はない?

「歳のせいですね」なんてレントゲン写真を見ながら変形した骨を見せられると「もう歳だからしょうがないんだな」と思い込んでしまいますよね。

しかし、骨の変形は加齢に伴って増加していくのに対して、腰痛の発症割合は50代、60代をピークにその後の有病率の増加が認められません。

そのため、骨の変形と腰痛が直結した関係にはないということがわかります。

画像では痛みを確認することはできない。

レントゲン写真で骨に変形が見つかったり、ヘルニアが見つかったりしても、そこから痛みがあるかどうかは必ずしも判別することができないのです。

腰が痛くて病院へ行ってレントゲンを撮るので、ヘルニアが見つかれば「これが原因だと思われます」ということになるのですが、腰は全く痛くない状態(別の症状)でレントゲンを撮った人の腰にヘルニアが見つかることもあるのです。

ヘルニア自体が消失することがある

さらにはヘルニアが痛みの原因を作っている場合でも時間が経てばヘルニアの約9割が自然に消失すると整形外科の専門医が公式に伝えているのです。

つまり、日常生活が送れないほどの強い痛みがない限り、ヘルニアの手術をしなくてもいつのまにかヘルニアが消えてしまうことの方が圧倒的に多いわけです。

手術をしてもしなくても5年後の症状が同じ!?

面白い追跡調査があります。

医師と患者が納得して手術をすることに決め、その後患者側から手術を断ったケース(怖くなって逃げたなど)から50例の追跡調査の結果、9割以上が生活に支障なしの状態になっていました。

同じような追跡調査では、切っても切らなくても良い程度の椎間板ヘルニア患者126人に対し、その予後の比較検討した結果、5年経つと手術したグループと手術しなかったグループではハッキリとした違いがなくなってしまったというものもあるのです。

腰痛は安静にしても改善しない

腰が痛いときは安静にしておいた方が良いような気がしますよね。

しかし慢性的な腰痛に関して安静が効果的であるという科学的な根拠はなく、最近の研究ではむしろ積極的に動いた方が腰痛が軽減するというのが常識となっています。

もちろん痛くて全く動けない人に動けとは言いませんが、軽い運動をした方が痛みが減っていくことが分かって来ています。

それじゃあどうすればいいの?

腰痛エクササイズ動画

さて、ここからが具体的なアドバイスになります。

慢性的な腰痛に悩んでいる人は是非参考にしてみてください。

まず、最も重要なのは「動く」ことです。
これは激しい運動ではなく、日常生活の中で安静にすることなく生活を過ごすことです。

よくこういった記事には「エレベータを階段に」とか「一駅手前で降りて」などと歩くことを増やすようなアドバイスが多くありますが、そもそも同じ姿勢でじっとすることが腰には負担がかかります。

つまり、椅子に座っている時にじっとする時間を減らすことに注目することから始めてみましょう。

手軽なエクササイズ1「ペルビックティルト運動」

椅子に座って背すじを伸ばしてみましょう。

ここからおへそを身体の中に押し込むようにして腰を丸めます。
すると座面に接地しているお尻の面積が後ろへ増えていくのがわかるでしょうか。

これを「骨盤後傾」と呼びます。

この状態で腰の筋肉が軽くストレッチされたら、今度は再び背すじを伸ばして頭の高さをなるべく高くするような姿勢を取りましょう。

お尻の後ろ側が椅子の座面から離れて、太ももの裏とお尻の骨(坐骨)によって座っている感覚が出れば正解です。

これらを繰り返すことで腰回りの筋肉が動き、血流を良くしてくれます。

手軽なエクササイズ2「テーブル押し運動」

今、目の前に机がある人は両手をその机に置きます。

そのまま両手で机を床に向かって押し付けると、腹筋に力が入るでしょうか。

この際に首や肩にだけ力が入ってしまい、お腹に力が入らない人は腰を痛めやすい傾向にあります。

初めはゆっくり力を入れてみて、お腹が反応する机の押し方を探していきましょう。

手軽なエクササイズ3「ドローイン」

あばら骨に手を当ててゆっくり息を吐き切ってみましょう。

あばら骨が身体の中央に寄って、お腹が凹んでいくことを確認したら、そのままのお腹で呼吸ができるように挑戦してみましょう。

あばらの下あたりからおへその下までお腹がしまっている感覚があれば成功です。

手軽なエクササイズ4「IAPを高める」

今後注目される呼吸エクササイズの方法になります。

まずは、腹式呼吸が出来るか調べてみましょう。
息を吸った時に肩が上がらずに、お腹が膨らむような呼吸ができれば正解です。

胸が先に持ち上がったり、肩が先に動いたりするような呼吸しかできない場合、腹腔内圧(IAP)が高まらず、腰を守る身体の使い方ができない状態です。

腹式呼吸で慣れてきたらお腹が横にも後ろにも膨らむように息を吸えるか挑戦してみましょう。

お腹が360度膨らんでいるまま椅子から立ち上がったり座ったりが出来るようになると、腹圧を上手に使えるようになった証拠です。

※腹式呼吸がうまくできない場合は仰向けに寝て膝を直角程度に曲げ、お腹に携帯電話など少し重みのあるものを乗せて腹式呼吸の練習をしましょう。これは息を吸った時にお腹を膨らませるための練習として病院などで使われる方法です。

まとめ

これらが一つでも継続して出来ることで、いつもよりも身体が動きやすくなり、腰への負担が減っていきます。

近年では腰痛は脳の病気だとも言われており「痛いのが当然」「歳だから当たり前」「治らないもの」などと思っていると痛みがなかなか取れず「動けば良くなる」「年齢は関係ない」「治るもの」と考えるようになるだけでも痛みが減っていくことがわかっています。(認知行動療法)

今できる簡単な運動と、良くなるという希望を持って、日々を生活していくことで慢性的な腰痛を小さくしていきましょう。

※痛みが強い場合、痺れがある場合は専門的な医療機関へご相談ください。

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