はじめに

近年、スポーツ科学の進歩に伴い、効率のよいトレーニングを行えるマシンが数多く開発されています。
瞬発力系アスリート向け、持久力系アスリート向け、ボディビルダー仕様、高齢者の筋力維持に用いるマシンなど、さまざまな用途のマシンもあります。

トレーニングの際は、何に取り組もうとしているのか、現在どんなスポーツを行っているのか、ダイエットのため、健康維持のためなどの、目的に合わせたジムやマシン選びが重要なポイントです。

しかし、自宅や職場の近辺に望ましいジムがあるとは限らず、少々目的からずれていても、我慢するしかない場合もあります。
大会に向けた身体づくりのため最先端マシンのあるジムでトレーニングを重ねてきたのに、転勤や引っ越しで通えなくなることもあるでしょう。
こういったトラブルに対処するには、どこのジムにも設置されている、ポピュラーなマシン操作を会得しておくべきです。
長く愛されるポピュラーなマシンで、的確な動作を行えれば、最先端マシンにも引け劣りません。

今回は、腕、肩、胸、脚、背中など、身体の部位別に、ポピュラーなマシンとその使い方を紹介していきます。

トレーニングの歴史と進化

日本のスポーツ界の競技に対する基礎に「柔よく剛を制す」と言葉があります。
欧米人など体格的に太刀打ちできない相手に対し、しなやかさや技を磨きあげて対向する考えです。

しかし、今日では、日本人でもパワーリフティングやボディビルの世界チャンピオンに輝いています。
日本人、アジア系の民族は筋肉が付きにくいというのは、一昔前の考えなのかもしれません。

日本で筋力トレーニングの効果が高いと世に知らしめたのが、大相撲の千代の富士さんです。
相撲取りとしては小柄でしたが、徹底的な筋力トレーニングで筋肉の鎧を身にまとい、巨漢の外国人力士を豪快に投げ飛ばしました。

その後、スポーツ界全体が筋力トレーニングを見直し、パワーと技の融合を目指しました。

トップアスリートたちが、フリーウエイトトレーニングとマシントレーニングの併用で身体を鍛えるようになり、オリンピックや世界チャンピオンが次々と誕生しました。

また、十数年前から、筋力トレーニングが高齢者の健康な老後を支えることが証明され、高齢者施設などでも筋力トレーニングが推進されています。

高齢者のトレーニングやリハビリ、ダイエットには、安全性の高いマシントレーニングが採用されています。

身体の筋肉の名称

スポーツジムに入会して半年くらいは、「背中をすっきりさせたい」「太ももが太いのが悩み」「腰の下の方が痛い」など、日常生活で使う言葉で会話が成立するかもしれません。

しかし、中高度なトレーニングをしたり、身体のことを理解するためには、部位名を知ることが必要になります。
ジムでの仲間作りをするのにも、身体の部位名を覚えることはとても役立つのでご紹介します。
肩:三角筋
腕の付け根の表面を覆う筋肉です。フロント、サイド、リアの3つが合わさり、三角筋と呼ばれます。

胸:大胸筋
胸板をつくる筋肉です。胸筋上部、中部、下部が合わさり、大胸筋と呼ばれます。

背中1:広背筋
人体で最も大きい(大きくなる)筋肉で、背中の中央と下部に広がっています。

背中2:大円筋
脇の下にある筋肉で、広背筋の動きを補助します。

背中3:僧帽筋
首から肩甲骨あたり、そして背中の上部にある筋肉です。
名前の由来は、僧侶の帽子が垂れ下がるところに似ているからと言われています。

腕1:上腕二頭筋
俗にいう力こぶのことです。短頭、長頭の2つが合わさっています。

腕2:上腕三頭筋
力こぶの裏側の筋肉で長頭、外側頭、内側頭の3つが合わさっています。

脚1:大腿四頭筋
大腿直筋、中間広筋、外側広筋、内側広筋の4つが合わさった、太ももの前面の筋肉す。

脚2:大腿二頭筋
長頭、短頭の2つが合わさった、太ももの外側後面の筋肉です。
英語名のハムストリングで呼ばれることが多いです。

ふくらはぎ:下腿三頭筋 
英語名のカーフで呼ばれることが多いです。腓腹筋、ヒラメ筋が合わさっています。

お尻:殿筋
お尻の筋肉を言います。代表的な筋として大殿筋、中殿筋の2つがあります。
トレーニングにおいて重要な筋肉なので覚えておきましょう。

部位別トレーニングマシンでの鍛え方

身体の部位、筋肉に合わせたトレーニングマシンの使い方をご説明します。

大胸筋:チェストプレスマシン

ダンベルやバーベルが充実したジムなら、ベンチプレスが何台か設置されていますが、ダイエットやフィットネス志向が高いジムには、代わりにチェストプレスマシンが設置されていることが多いです。
ベンチプレスは寝た状態で行い、チェストプレスは腰掛けた状態で行います。
安全面を考えた場合は、チェストプレスで軌道を身体に覚え込ませてからベンチプレスに挑戦するのも良いでしょう。

1. ベンチプレスのベーシックなグリップ幅は、肩幅より拳1つ分外です。
チェストプレスの場合は、左右のレバーが決められたポジションにあるので、中央部分を握りましょう。

2. シートにしっかりお尻をつけ、腰部分にテニスボール1個分の空間を作ってブリッジの姿勢になります。
腰が過度に反りすぎないように注意しましょう。

3. バーを握り、胸を張って肩甲骨を寄せた状態から1秒間で押し出します。

4. 2~3秒間かけて戻します。

バーを押し出した時に、腕を少し曲げておくのがコツです。腕を伸ばし切ってしまうと、肩が前に出て肩甲骨の寄りが解け、負荷が大胸筋から肩に移ってしまいます。こうなると、効果が薄くなってしまうので、押し出した時の腕の角度は160~170度と工夫してください。

広背筋・大円筋:ラットプルダウン

とても人気のあるマシンで、女性の背中の引き締めや男性のたくましさを増すマシンです。
広背筋と大円筋は同時に動作する筋肉なので、ラットプルダウンを行っていれば2つの筋肉が鍛えられます。

1. グリップ幅は、肩幅プラス拳1つ分外を握ります。

2. 息を吐きながら、バーを胸方向に下ろし、しっかりと顎辺りまで引き付けます。引き付ける時に、身体の反りをあまり使わず、肩甲骨を寄せるイメージを持つと、広背筋に刺激が強く伝わります。

3. 腕を伸ばし切らないよう、170度くらいまで伸ばしたら、バーを元に戻します。

三角筋・僧帽筋:ショルダープレスマシン

僧帽筋は背中の筋肉群で紹介しましたが、三角筋トレーニング中にも、同時に動作する筋肉です。
ショルダープレスマシンの動作で三角筋が疲労してくると、補助の役割で動きます。

1. 肩の位置より肘が下になるようにバーを握ります。

2. 息を吐きながら、肘が伸びきるまでバーを頭上に上げます。

3. 息を吸いながら、ゆっくりとバーを下ろして最初の位置に戻します。

上腕二頭筋:アームカールマシン

上腕二頭筋(二の腕の内側)の力で巻き上げて行き、手首の力を使わないのがコツです。
アームカールマシンがない場合は、バーベルやダンベルで代用できます。

1. パッドに肘を置き、バーを握ります。

2. 肘をパッドから離さないよう、息を吐きながらゆっくりとバーを持ち上げます。

3. 息を吸いながら、ゆっくりとバーを戻します。

上腕三頭筋:トライセプスエクステンション

トライセプス用のケーブルシステム(マシン)がない場合は、ラットプルダウンやダンベルで代用できます。

1. 肩幅でロープを握り、片足を前に出します。

2. 肘を固定したまま、息を吐きながら、ロープを下に押し下げていきます。

3. 息を吸いながら、ゆっくりとロープを元に戻します。

大腿四頭筋:レッグプレスマシン

形状が少しずつ異なりますが、ほとんどのジムに設置されているマシンです。

1. シートに背中をつけます。肩幅よりやや狭めに足を置き、つま先を15度くらい外に開きます。

2. 息を吐きながら1秒間でプレートを押し出します。

3. 息を吸いながら、3秒間ほどかけてゆっくりと戻します。

大腿二頭筋(ハムストリング):レッグカールマシン

このマシンも形状が少しずつ異なりますが、どのジムにも設置されています。
無理な重量で行わず、動作時にパッドがお尻に触れるまで、しっかり巻き上げるのがコツです。

1. 足首のくぼみを引っ掛けるパッドの位置を、脚の長さに合わせて調整します。

2. 両手でハンドルを握り、両足を伸ばします。

3. 息を吐きながら、胴体が動かないよう膝を曲げます。

4. 息を吸いながら、ゆっくりと膝を元に戻します。

おわりに

スポーツジムにある基本的なマシンとその使い方をご紹介しました。
実際に使う際は、無理のない重量設定で的確なフォームを意識しながらトレーニングしましょう。
徐々に重量を増やすことが、筋力アップと美しい・かっこいい身体づくりのポイントです。
焦らずコツコツと積み重ね、素敵なトレーニングライフをお過ごしください。

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野 
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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