冷え性の原因

ここでは、身体の冷えはなぜ起こるのか、冷え性とはどのような状態かなどの疑問に答え、冷えの原因を解説します。

女性に多い冷え性ですが、実は身体の中で重要な働きが起きている結果でもあるのです。
人間は恒温動物なので、身体のあらゆる臓器を守るために一定の体温を保つ必要があります。気温の低い環境下において、人は意識をしなくても体温調節機能を働かせようとします。

『間脳』という脳の一部分には、体温調節を司る『視床下部』という部位があります。
人が寒さを感じると体温を上げようとして、視床下部から身体の他の部位へ指令が下されるという仕組みになっています。
その指令をキャッチすると血管の収縮が起こり、血流量を減少させることで体温を逃がしにくくするのです。
身体の中心部には守らなければならない大切な臓器たくさんあるので、中心部の体温を保つため、手足から熱を逃がさないよう手先足先の血流は減少します。
これが末端の冷えの原因の一つと言えます。

手足の冷えは身体に堪えますが、自分の大事な部分を守るために身体が機能しているということでもあります。それと同時に、「自分の身体が冷え始めている」というシグナルでもあります。

冷え性改善に効果のある食材

身体を熱くするというと、真っ赤な色をした辛い食べ物を何となく想像してしまいますが、体内の血液循環を根本から良くするには、栄養バランスの取れた食事をすることが一番大切です。
その上で、血行を改善して冷え性に効果のあるおすすめ食材をいくつか挙げたいと思います。

1. 生姜

生姜には『ジンゲロール』と『ショウガオール』という辛味成分が含まれています。
生の生姜にはジンゲロールが多く含まれていますが、加熱したり、乾燥させたりすると、これがショウガオールへと変化します。

ショウガオールには胃腸を刺激し、身体を内部から温める効果があります。そのため、冷え性には加熱または乾燥させた生姜を食べることをおすすめします。
料理に生姜を刻んで入れても良いですし、生姜を薄くスライスして乾燥させて紅茶入れて飲むなどしても良いでしょう。

生の生姜に含まれるジンゲロールには、殺菌効果と発汗効果があります。よく風邪を引いた時に生姜が良いと言われるのは、ジンゲロールの殺菌効果からでしょう。

2. 玉ねぎ

玉ねぎには血液をサラサラにする効果があることを皆さんもご存知かと思います。

玉ねぎを切った時に涙が出る原因の『アリシン』や、『ケルセチン(ポリフェノールの一種)』には血液の流れを良くする作用があるので、冷え性の人におすすめの食材です。

玉ねぎは様々な料理に入れることができるだけでなく、電子レンジで軽く調理するだけで簡単に食事に取り入れられます。
ただし、水に長い時間さらしてしまうと、これらの成分が流れ出てしまうので注意しましょう。

3. タンパク質を多く含む食材

冷え性は男性より女性に多い症状です。
その理由の一つとして、男性より女性の方が一般的に筋肉量が少ないことが挙げられます。

筋肉は熱を産生する働きをするので、冷え性を改善するには、しっかりと筋肉量を維持することが大切です。
肉や魚、大豆製品などタンパク質を含む食材をしっかりと摂り、筋肉を維持するようにしましょう。

冷え性改善に効果のある生活習慣

冷え性改善にはどのような生活習慣を心がければ良いでしょうか。推奨するべき生活習慣をお伝えします。

1. 身体を温める

冷え性を改善するには、何と言っても身体が冷えないように温めることを心がける必要があります。

寒い冬には屋外でも室内でもきちんと防寒をするこが大事です。
また、適度な温度のお風呂にゆっくりとリラックスして浸かるようにするなど、全身がほどよく温まるように気を付けましょう。

50℃を超すようなサウナや岩盤浴で無理に身体を温める必要はありません。
身体を熱くし過ぎると、のぼせやふらつき、脱水症状を起こすリスクもあるので注意しましょう。

2. 適度な運動をする

適度な運動は身体の筋肉量を増やして、血液循環を改善するため冷え性に効果的と言えます。
特に、ふくらはぎの筋肉は『第二の心臓』とも言われ、血流をよくするポンプ機能を持っています。

ハードなトレーニングをする必要はありません。運動が苦手な人は1日15~20分間程度のウォーキングから始めるのが良いでしょう。
ふくらはぎの筋肉を積極的に使うような運動を取り入れてみてください。

おわりに

冷え性について、その原因や血行改善効果のある食材、冷え性改善に効果のある生活習慣について解説しました。

冷えが気になる人は、食事や運動、お風呂など、簡単なことから日常生活に取り入れてみましょう。
毎年厳しい冬の冷えに悩んでいる方も、今年こそは冷え知らずの元気な身体を手に入れましょう!

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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