はじめに

脳梗塞という病気は非常に多くなって、言葉だけなら聞いたことがあるという人がほとんどではないでしょうか。

最近では発症する年齢層が若くなり、現役で活動している芸能人や運動もしっかり行っていそうなスポーツ選手などにも発症しています。

もはや他人ごとではない病気の一つです。
脳梗塞の病気、原因、対処法のわかりやすい解説です。しっかり把握してしっかり予防しましょう。

脳梗塞って本当はどんな病気?

日本人にはとても多い病気です。脳出血などを含めた脳卒中のなかでも80%が脳梗塞です。
脳に分布している血管が、さまざまな原因で異物(血栓)による閉塞や、血管自体の太さが細くなってしまう(狭窄)ことで生じる病気です。

運び込まれるはずの酸素や栄養物が途絶え、その部分の細胞が死んでしまいます。これが麻痺や機能低下という形で残ってしまう後遺症というものです。

脳梗塞の種類3つ

【ラクナ梗塞】

脳梗塞のうち3割を占めるラクナ梗塞、大きな主要血管ではなく脳の奥深い部分の細い血管が閉塞を起こしたものです。
年齢に伴って血管も硬くなりますがそれに高血圧などの重圧で知らず知らずのうちに進行しているケースが多く見られます。
意識消失などの症状はなく、ある日突然手足のしびれや言葉が発しづらいなどの症状であれば大きいほうで、無症状で見つかることもあります。


【アテローム血栓性脳梗塞】

血管の内部に血管内のコレステロールなどがお粥のような硬さの状態で蓄積することで、血管の内腔が狭くなったり、その蓄積された場所に血栓が作られたり、または剥がれ落ちたアテロームが流れて他の場所で閉塞を起こして起こる梗塞です。
首からの頸動脈や頭蓋内に位置する比較的大きな血管に生じやすい特徴があります。


【心原性脳塞栓症(しんげんせいのうそくせんしょう)】

不整脈が原因として心臓の血管内で血栓ができます。その血栓が血流に乗って大動脈を通過して脳動脈にたどり着き閉塞を起こすものです。

脳梗塞の根本的な原因はこれ!

脳梗塞は血管内に生じた血栓を作ってしまうことが原因です。
血管は酸素や栄養分を運ぶ道路で毎日毎日働きます。
長く使っていると血管の壁ももろくなったり、ゴミの蓄積も起こります。

このゴミにあたるものがコレステロールです。
このコレステロールなどが血管の壁に少しづつ蓄積されて血管を固くかつ厚くしてしまうことが動脈硬化です。これこそが血栓を作る主要原因となります。

動脈硬化に導く、または促進させる病気が糖尿病、高血圧、脂質異常症、心臓病です。
さらにこの病気を引き起こす最初の原因が日常生活にあり、肥満、運動不足、偏食などです。

脳梗塞、こうして発見!こうして治療!

脳梗塞かな?って思ったら

脳梗塞の恐ろしさは、発症した時の症状というよりはその後の後遺症で苦しむことです。
脳の血管が閉塞してから、その部分の脳細胞が復帰できなくなる時間は発症後3~4時間と言われています。早期発見することで脳細胞の壊死を食い止めましょう。
以下のような症状が出た時はすぐに救急車を呼び、病院で診察してもらいましょう。

▪ 手に力が入らず物をつかめない、落としてしまう

▪ 片足を引きずったような歩き方になる

▪ どちらか片方の手足がしびれる

▪ 言葉が思うように出てこない

▪ ろれつが回らない

▪ 話をしてもボーっとした様子で理解力に欠ける

▪ ふらふらしたり、思うようにまっすぐに歩けない

▪ ものが二重に見えたり片目だけの視野に雲がかかったように見えづらい

脳梗塞の治療法

【経静脈血栓溶解療法】

血栓(閉塞の原因である塊)を溶かす作用のt-PAという薬剤を点滴の中に入れて投与する。


【血管内治療】

カテーテルを血管内に挿入し、直接血栓を引き出してくる治療。
先端がコルク状になっている「メルシーリトリーバー」は血栓を絡めて引き出す。
先端に吸引作用が備わっている「ペナンブラシステム」で血栓を吸い出す。


【抗血栓療法】

閉塞原因の血栓に対してそれ以上固まらないように、損傷エリアが拡大しないように防ぐため抗血小板薬、抗凝固薬、抗トロンビン薬を投与していく。


【リハビリテーション】

自身で身体を動かせない状態であれば、関節を他動的に動かす訓練から、徐々に座位、立位に向かって可動域を増やしていく。

脳梗塞の予防は日常生活のなかで

食事

▪ バターや肉の脂身などの動物性脂肪、魚卵、鶏卵などのコレステロールの多いものはできるだけ控える
▪ インスタント食品やスナック類、糖分の多い菓子類、糖分の多い飲料水は控える
▪ 小魚、大豆製品、乳製品などカルシウムを多く含んでいる食品を積極的に摂る
▪ 抗酸化作用、食物繊維成分の多い緑黄色野菜をしっかり摂る

水分

脱水症状が原因で血液の流れが悪くなります。人体の70%が水分、汗や尿で出ていく分を考えて1日に1.5~2.0リットルは必要です。
年齢が多くなればなるほど、身体の水分が不足しますので、高齢の方は意識しながら摂取しましょう。一度にたくさんではなく小まめに摂る、また喉が渇いた後よりは予測がつくならばその前に摂ることが望ましいです。

生活習慣

▪ ウォーキングやジョギングなど継続できる有酸素運動を取り入れる
▪ 飲酒は適量でとどめる(ビールでは中瓶1本、日本酒では1合程度)
▪ タバコは血圧や心拍数を上げ、血管に負担を与えるため、禁煙!
▪ 塩分は控える(通常1日10g未満、高血圧症の人は1日6g未満)
▪ 高血圧を指摘されている人は、薬をしっかりと内服していく

まとめ

高齢化社会の現代では、健康で元気に暮らすことが一番重要です。
そういう意味では、脳梗塞予防は決して無視できません。
脳梗塞になると、命はとりとめても後遺症が大きく元気に暮らすことができないケースが多く見られます。
脳梗塞にならないように努力していくこと、もう一つは脳梗塞を発症してしまった場合は時間との勝負です。早期発見、早期治療です。

監修

・千葉大学医学部附属病院 宮山 友明

・千葉大学医学部附属病院 宮山 友明

専門分野 
循環器内科

経歴
1998年 千葉大学医学部医学科卒業。
2008年 千葉大学大学院医学薬学府環境健康科学を専攻し、医学博士号を取得。
現在 千葉大学医学部附属病院循環器内科医員として、心臓専門医として診療、研究。

資格
医師免許

活動:
日本抗加齢医学会専門医としてアンチエイジング医学、日本医師会認定健康スポーツ医としてスポーツ医学にも取り組み、各種メディアで活動中。

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