ストレッチの効果

ストレッチとは、筋肉を伸ばして柔軟性を高める体操のことです。
ストレッチの効果は多くありますが、ここではポイントとなる3つをご紹介します。

1. 柔軟性を高める

仕事や家事で同じ姿勢を続けたり、激しいスポーツを行ったりすると、筋肉が緊張して柔軟性が低下してしまいます。柔軟性が低下すると、あらゆる動きがスムーズに行えなくなったり、疲れがたまりやすくなってしまいます。

ストレッチを行うと、筋肉が伸ばされて柔軟性が高まります。こうなると、日常の動きが難なく行えるようになるだけでなく、競技パフォーマンスを向上させることにもつながります。

2. 疲労回復

ストレッチを行うと、血流が促されて疲労物質が溜まりにくくなります。
さらに、身体のさまざまな臓器を管理する『自律神経』の中でも、安静時に働く『副交感神経』が優位になります。こうなると、身体がリラックスし、疲労回復につながります。

ストレッチを行わないと、身体が興奮した状態が長くなり、心身ともに疲労が溜まっていきます。

3. ケガの予防

関節は筋肉によって動かされているので、筋肉が緊張すると、関節の動きが制限されてしまいます。
しかし、ストレッチを行うと、筋肉が伸長されるため、柔軟性が高まって関節の可動域も広がります。こうすることで、関節炎などの疾患や捻挫などのケガも防ぐことができます。

運動前後でストレッチを行いますが、タイミングによってストレッチの種類が異なります。
運動前は、心拍数や血流を促進させるために、動きながら行う『動的ストレッチ』をメインに行いましょう。
反対に、運動後は緊張している筋肉をリラックスされるため、筋肉を伸長して行う『静的ストレッチ』をします。
どちらも、ケガを予防するには欠かせないストレッチです。

身体の柔軟性チェック方法

ストレッチを行う前に、まずは、身体の柔軟性をチェックしてみましょう。
ストレッチは継続することが大切です。時々、柔軟性をチェックをしてストレッチの成果を確かめることで、モチベーションを保ちやすくなると思います。

1. 肩周り

①立位姿勢になり、両足を肩幅に広げます。
②片手を下から背中側に回し、手の甲が背中に当たるようにします。
③指先が肩甲骨に触れれば、柔軟性に問題ありません。
④反対の手も同じようにして柔軟性を確認しましょう。

2. 背中

①立位姿勢で、両足を肩幅に広げます。
②腕を肩の高さで前に出し、左右の手のひらが、外側に向くようにします。
③アルファベットの「X」を描くように交差させます。
④肘の部分まで交差することができれば、柔軟性に問題ありません。
⑤腕の上下を入れ替え、どちらもできるか確認しましょう。

3. 太もも裏側

①仰向けになり、両膝をたてます。
②両手で片方の太ももの裏側を持ち、膝関節を伸ばして足裏を天井に向けるようにします。
③床と垂直になるまで膝関節が伸びきれば、柔軟性に問題ありません。
④反対側の脚も同じように柔軟性を確かめましょう。

4. 太もも前側

①うつ伏せになります。
②片方の膝を曲げ、同じ側の手で足首をつかみ、踵をお尻に引き寄せます。
③踵とお尻の距離が5~10cmほどであれば、柔軟性に問題ありません。
④反対側の脚も同じように柔軟性を確かめましょう。

5. 脚のつけ根

①あぐらをかくように床に座ります。
②両方の足裏を合わせ、両手で足の甲を包みこむように持ちます。
③床と膝の距離をこぶし1~2個まで近づけることができれば、柔軟性に問題ありません。

ストレッチの方法

先ほどのチェックで柔軟性が足りないとわかった方は、以下に紹介するストレッチを行ってみてください。
柔軟性に問題がない方も、今ある柔軟性を維持したり、さらに高めるために日々ストレッチを継続すると良いでしょう。

1. 肩周り

①座位または立位姿勢で両足を肩幅に広げます。
②右手を上げて胸の高さで前ならえし、手のひらは自然に内側に向けます。
③両腕で十字を作るように、左手で右肘を下から抱え、身体の方へ引き寄せます。
④ゆっくりと呼吸をしながら、10~20秒間肩の外側をストレッチします。
⑤手を下ろし、逆側の腕も同じようにストレッチします。

2. 首や背中

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①立位姿勢で両足を肩幅に広げます。
②両手を胸の前で組み、そのまま前に伸ばして背中を少し丸めます。
③肩甲骨を左右に広げ、背骨一つ一つの間にスペースを作るようにイメージしながら、ゆっくりとした呼吸で10~20秒間ストレッチします。

3. 太もも裏側

①椅子に浅く座り、背筋を伸ばします。
②右足の膝を伸ばして前に一歩出し、踵を床に着けて爪先をあげます。(上の画像の左を参考にしてください)
③背筋を伸ばしたまま、身体を前に倒します。
④太もも裏側が伸びていることを感じながら、ゆっくりとした呼吸で10~20秒間ストレッチします。
⑤身体を起こし、反対の太ももの裏側も同じようにストレッチします。

4. 太もも前側

①両脚を前に伸ばし、床に座ります。
②正座をするように右膝のみを曲げ、身体を後ろに倒します。
③太もも前側が伸びていること感じながら、ゆっくりとした呼吸で10~20秒間ストレッチします。
⑤身体を起こし、反対の太ももの前面も同じようにストレッチします。

5. 脚のつけ根

①あぐらをかいて床に座り、背筋を伸ばします。
②両方の足裏同士をくっつけ、背中を伸ばしたまま、身体を前に倒します。
③股関節内側が伸びていること感じながら、ゆっくりとした呼吸で10~20秒間ストレッチします。
④身体を起こし、繁多の脚も同じようにストレッチします。

ストレッチの頻度と時間

身体は毎日緊張したり、ストレスを感じたりしているため、ストレッチは毎日行うことが望ましいです。

1日1回と限らず、オフィスや自宅で時間を見つけてこまめに行っても良いでしょう。身体がかたまっている起床時や、仕事中に疲れを感じた時、お風呂上りや就寝前などに行うとより効果的です。
テレビや本を観ながら行ったり、歯磨きやドライヤーなどをしながら行えるものもあるので、特別にストレッチの時間を取らなくても大丈夫です。
固くなっている部位を中心に、1日10分間ほどでいいので、継続して行ってみてください。

おわりに

ストレッチの効果、各部位の柔軟性のチェック方法とストレッチ方法をご紹介しました。

ストレッチには特別な道具がいらないので、日常的に行うセルフケアに向いています。継続して行えるよう、時折柔軟性を確認し、モチベーションを保ちましょう。
ただし、無理に行うと、ケガやストレスを引き起こしてしまうので、ゆっくりとリラックスして行うようにしましょう。

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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