冷え性のタイプと症状

冷え性のタイプには、大きく分けて、『手足末端型冷え性』、『内臓型冷え性』、『下半身型冷え性』の3タイプがあります。
まずは、それぞれの症状について、説明します。

手足末端型冷え性

手足末端型冷え性の方の場合、体温は正常ですが、手足の指先が異常に冷えてしまいます。ひどい場合には、痛みを感じたり、寝つきが悪くなったりします。
また、冷えにより、あかぎれやしもやけが起こることもあります。

内臓型冷え性

手足の冷えは少ないですが、お腹が冷えてしまっている状態です。冷えをあまり感じないので、『隠れ冷え性』とも呼ばれます。
内臓が冷えて新陳代謝が滞り、便秘や風邪になりやすくなるなど、身体に様々な悪影響を及ぼします。

下半身型冷え性

下半身型冷え性の方は、腰から足が冷えやすく、手は温かいことが多いです。下半身は冷えていても、上半身は冷えることなく、汗をかいている場合もあります。
腰痛がある男性の方も、下半身型冷え性になりやすく、30歳以降に多くみられるのも特徴です。

冷え性のタイプと原因

冷え性のタイプを紹介しましたが、それぞれのタイプで原因も異なります。
原因を知ることで、効果的な対策ができます。

手足末端型冷え性

①筋肉量の不足
血液の主な役割は、身体全体に酸素や栄養を運んだり、二酸化炭素や老廃物を回収したりすることですが、もう一つの大事な役割に熱を身体全体に伝えることがあります。
筋肉には、血流を促進させる効果があるため、筋肉量が多いと、全身に熱が伝わります。しかし、筋肉量が不足すると、十分に血液を送ることができず、身体が冷えてしまいます。
特に、女性は筋肉量が少ないため、男性と比較し、冷え性になりやすいです。

②寒い環境
気温が低いと、自律神経が反応し、身体を温めようとします。
寒いときに手や足が震えるのは、身体を温めるためですが、他にも手足の末端の血流を滞らせることにより、生命維持に大切な内臓を温めようとします。
そのため、寒い環境では、生命維持を優先させるため、手足が冷えてしまうのです。

③ストレス
身体はストレスを感じると、筋肉を緊張させます。大事なスピーチの前に緊張して肩が力んだことがあると思いますが、精神的なストレスも、身体に現れます。
ストレスを抱えていると、気づかないうちに長時間筋肉が緊張します。その結果、血流が滞って身体に冷えが起こります。

内臓型冷え性

①運動不足
長時間のデスクワークや運転などによって身体を動かさないと、血流が滞り、お腹や腰周りが冷えてしまいます。
特に、猫背の方は腹筋を有効的に働かせていないため、お腹の血流が滞りやすくなります。

②冷たい飲み物や食事の摂りすぎ
冷たいものを摂取しすぎると、胃や腸が強く刺激されます。この刺激は、胃や腸の血管を収縮させ、血流を滞らせます。
このことにより、内臓に冷えが起こります。

下半身型冷え性

内臓型冷え性と同様に、長時間座っていることにより、下半身の血流が滞り、冷えが起こります。
また、下半身は心臓から遠く離れており、重力の関係でむくみが生じやすいため、冷えやすくなっています。

冷え性に効くツボ

冷え性の対策には、自宅やオフィスで簡単にできるツボ押しがおすすめです。特別な道具も必要ないので、ぜひ試してみてください。

八風(はちふう)

足の甲側で、各足の指の付け根にある、関節の手前のくぼみにツボがあります。

4本の指をそれぞれのツボに当て、皮膚に対して垂直に押します。同時に押すのが難しい場合には、親指で一つずつ押すようにしましょう。

湧泉(ゆうせん)

5本の足指を曲げたときに、足の裏にできるくぼみの真ん中にツボがあります。

指で刺激する以外にも、椅子に座り、ツボにボールを当てて体重をかける方法もあります。

築賓(ちくひん)

ふくらはぎの内側で、内くるぶしから膝の内側まで結んだ線の下から2/5の位置で、すねから指幅2本分離れたところに、ツボがあります。

ふくらはぎの後ろから、足をつかむようにして親指をツボに当て、足の中心に向かって押します。

胞盲(ほうこう)

骨盤の中心にある逆三角形の部分を『仙骨』といいます。仙骨の中心から左右に指幅4本分の位置に、ツボがあります。

膝を立て仰向けになり、ボールの上にツボがくるようにして体重をかけます。

おわりに

ツボ押し以外にも、ストレッチやウォーキングなどの運動、温かい飲み物、しょうがや根菜類などを食べることにより、冷え性を予防することができます。

また、シャワーで済ませるのではなく、浴槽へゆっくり入ることにより、身体を芯から温めることができます。身体を、芯から温めた状態で就寝すると、リラックス効果もあり、冷え性の予防につながります。

これらの対策を、ツボ押しに合わせて行うことにより、効果的に冷え性を予防できますので、ぜひお試しください。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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