フォームローラーとは

『フォームローラー』はマッサージやストレッチに使用する円柱型のセルフケアアイテムです。
長さや太さ、硬さ、素材、などは商品によってさまざまですが、マッサージを行うときの筋肉への刺激を考慮し、表面に凹凸があるものが多く見受けられます。

自分では手が届きにくい部位や、広い範囲をマッサージしたい時に使用することで、効率よく筋肉をほぐしたり、血流を促したりすることができます。
そのため、アスリートなど身体のケアが頻繁に必要な方や多忙でマッサージ店などに通う時間が作れない方にとって、とても重宝するグッズです。

フォームローラーの効果

フォームローラーの主な効果をご説明します。

■筋肉の緊張を和らげる

立ちっぱなしや座りっぱなし、重労働などで日頃から身体に負担をかけていると、筋肉が過緊張状態(こっている状態)になってきます。
緊張している筋肉をフォームローラーでマッサージすると、筋肉の緊張が緩み、柔らかくなります。腰や首、肩などの苦しいこりや痛み症状を自分で改善することができます。

■血流を促す

フォームローラーを使用してマッサージを行うと、マッサージを行った周囲の血流が促されます。
血流がよくなることで、筋肉にたまった疲労物質が速やかに排出され、疲労が早く回復したり、手足の冷えやむくみが解消されやすくなったります。

■脂肪を柔らかくする

フォームローラーでマッサージを行うと、筋肉の表面にある皮下脂肪も同時にマッサージされます。
脂肪は柔らかくすることで燃焼されやすくなるので、運動とフォームローラーによるマッサージを合わせることで、ダイエットをしてもしぶとく残ってしまう固まった脂肪を燃焼させる効果が期待できます。

■姿勢を修正する

骨盤周りや背骨周りをフォームローラーでマッサージ・ストレッチすると、姿勢のくせをリセットし、正しい姿勢に導くことができます。フォームローラーを背中に当てて寝転がっているだけでも、徐々に胸周りの筋肉がストレッチされ、猫背矯正につながります。
姿勢を矯正したいけれど整体の施術など急激な力が加わることに抵抗があるという方、整体院に頻繁に通えないという方などにおすすめです。

■リラックスできる

筋肉の緊張が緩和して血流がよくなると、身体全体がぽかぽかと温まり、精神的な緊張も緩和してきます。
日頃から精神的ストレスがたまっている方は、身体自体も緊張が高まってしまうので、夜や週末にフォームローラーを使って緊張を緩和することで、ストレスの軽減につながります。

フォームローラーを使ったストレッチとマッサージ

実際にフォームローラーを使用して行うストレッチやマッサージの方法をご紹介します。

■背中マッサージ(縦置き)

頭からお尻までの長さ以上のフォームローラーを使用して行ってください。

1. 床にフォームローラーを置き、後頭部からお尻までがフォームローラーの上に乗るように寝転がります。
2. 両足は床の上にだらりと伸ばしておくか、膝を曲げて両足の裏が床につくようにし、両手は床の上にゆったりと下ろしておきます。
3. 全身の力をなるべく抜いた状態で、肩甲骨の間にあるフォームローラーを左右にゆっくりと転がしながら、背中をマッサージします。

■背中マッサージ(横置き)

身体の横幅以上長さのあるフォームローラーを使用して行ってください。

1. 床に横向きにフォームローラーを置き、肩甲骨の下部にフォームローラーが横たわるように寝転がります。
2. お尻を床に下ろして両膝を適度に曲げて立て、両腕はバランスを取りやすいように軽く左右に広げておきます。
3. 膝を軽く曲げ伸ばししながら、背中にあるフォームローラーを前後に転がし、背中から腰をマッサージします。

■胸郭ストレッチ

胸郭は、胸の中央にある『胸骨』、背中部分にある『胸椎』、それらをつなぐ『肋骨』で校正され、姿勢に大きく関与しています。
胸郭をストレッチすると胸が張りやすくなり、猫背の方の姿勢が改善します。
また、呼吸をするときには胸郭が動くので、ストレッチすることで呼吸がしやすくなります。

1. 床にフォームローラーを置き、後頭部からお尻までがフォームローラーの上に乗るように寝転がります。
2. 両足は床の上に伸ばしておくか、膝を曲げて両足の裏が床につくようにし、両手は床の上にだらりと下ろしておきます。
3. しばらくその姿勢のままゆっくりと呼吸を続け、胸部が伸張するのを感じます。
4. 慣れてきたら、寝転んだまま床に置いた腕を羽ばたくように動かします。

■脇の下マッサージ

野球などの投げるスポーツや重たいものを持つ動作など、肩に負担がかかることの多い方におすすめのマッサージです。五十肩の予防や治療にも効果的です。

1.マッサージする側の脇を下にして床の上に横向きに寝ます。
2.腕を頭の方向に伸ばして脇の下にフォームローラーが当たるようにします。
3.体を前後に動かしながら、脇の下をマッサージします。

■お腹マッサージ

お腹の脂肪が気になる方におすすめです。

1.お腹の前面をマッサージするときにはうつ伏せ、側面をマッサージするときには横向きに寝転がり、目的の場所にフォームローラーを当てます。
2.手足で補助しながら、体を前後に動かしてお腹をマッサージします。

■お腹ストレッチ

腰痛後などで腰が伸びにくい方などにおすすめです。
普段から伸ばし慣れていない方や腰痛の既往がある方は、注意してゆっくりと行ってください。ストレッチする時間を短めにしたり、一度起き上がったりするなど、様子を見ながら行うとよいでしょう。

1. 床に横向きでフォームローラーを置き、腰に当たるようにして仰向けに寝転がります。
2. 両手を上に両足を下に真っ直ぐ伸ばし、お腹をストレッチします。
3. そのままフォームローラーの上で回転して横向きになり、脇腹にフォームローラーが当たるようにします。
4. 上になっている方の手を頭方向に遠く伸ばし、脇腹をストレッチします。
5. 片側の脇腹をストレッチしたら、反対側も同様にストレッチします。

■太ももマッサージ

太ももの部分痩せを希望する方、下半身の筋肉にコリを感じる方におすすめです。

1.足を伸ばして床の上に座ります。
2.太ももの上にフォームローラーを置き、手で転がしながら太ももをマッサージします。

太ももの裏側をマッサージする場合は、このあとのふくらはぎのマッサージを参考に同じように行ってみてください。

■ふくらはぎマッサージ

ふくらはぎの膨隆(ししゃも足)が気になる方、ふくらはぎのこりを感じる方におすすめです。

1. 足を伸ばして床の上に座り、身体を少し後ろに倒し、身体の後方に手をつきます。
2. マッサージする側のふくらはぎの下にフォームローラーを入れ、反対側の膝を曲げ伸ばししながらフォームローラーを転がします。
3. 片側のふくらはぎをマッサージしたら、反対側も同様に行います。

■足底マッサージ

立ちっぱなしの姿勢や歩行量が多い方、足の裏に疲れを感じる方におすすめです。

1.足の裏がしっかりと床につく高さの椅子に座ります。
2.足元にフォームローラーを置き、足の裏で転がしながら足底をマッサージします。

おわりに

マッサージやストレッチなどセルフケアを行う際に便利なフォームローラーについて、効果や使い方をご紹介しました。

自分の手でマッサージを行うと、力が思うように入らなかったり、十分マッサージができる前に指が痛くなってしまったりすることがありますが、フォームローラーを使用すれば、簡単にマッサージを行うことができます。
長さや太さ、材質などさまざまな商品が開発されていますので、ご自分に合ったものを見つけ、自分自身で身体をケアして健康な状態を維持できるようにしてください。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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