生理前・生理中に起こる腰痛の原因

生理前や生理中に腰痛が起こるのは、生理中に生成される『プロスタグランジン』という物質が関係していると言われています。

女性の体では、約1ヶ月に1回のペースで排卵(卵巣から卵子を排出)が起こります。
排卵に合わせて子宮内膜が厚くなり、受け入れ態勢を整えて受精卵を待ちますが、卵子が受精しなかった場合、準備した子宮内膜は必要なくなります。
不要になった子宮内膜は、剥がれ落ちて血液と一緒に子宮口から膣へ送り出され、体外へ排出されます。
この時、子宮を収縮させるために盛んに生産されるのが、プロスタグランジンです。

プロスタグランジンは、子宮を収縮させることで経血の排出をスムーズにするホルモンですが、同時に痛みを悪化させる可能性のある物質でもあります。
また、血管を収縮させる作用もあるので、腰痛やだるさ、体の冷えなどを引き起こす原因になると言われています。

生理前・生理中に腰痛が起こりやすい人の特徴

■10代~20代前半の方

生理前や生理中に腰痛が起こりやすいのは、一般的に10代~20代前半の方が多いと言われています。
これは、生理が始まったばかりで子宮の入り口が狭かったり、子宮の収縮が過度に行われたりしてしまうことが原因であるとされています。

■自律神経やホルモンバランスが乱れている方

自律神経やホルモンバランスが乱れている方も、生理前や生理中に腰痛が起こりやすいと言われています。
これは、自律神経やホルモンバランスが乱れることにより、腰痛の原因となるプロスタグランシンが通常より多く生産されたり、広範囲に作用したりしてしまうためです。

自律神経やホルモンバランスの乱れには、「加齢(更年期)」や「不規則な生活」、仕事や家庭などでの「ストレス」が大きく影響していると考えられています。
これらの特徴に当てはまる方は、自律神経やホルモンバランスの乱れから、生理前や生理中に腰痛になる可能性があります。

腰痛以外にも、自律神経やホルモンバランスが崩れることで、頭痛や肩こり、むくみ、肌荒れ、爪割れ、疲れやすさ、だるさ、イライラなど、身体面にも精神面にも影響を与えることがあります。

生理前・生理中に起こる腰痛の対処法

ここでは、生理前や生理中に起こる腰痛の対処法を4つご紹介します。

■腰やお腹を温める

骨盤周りの血行が悪くなると、子宮の収縮が弱くなり、収縮を促すために多くのプロスタグランシンが生産されると言われています。前述したように、プロスタグランジンは腰痛を引き起こす原因となる物質です。

これが原因で痛みが出ている場合には、腹巻きやカイロを使用し、腰やお腹を温めることが効果的です。

■湯船に浸かって入浴する

湯船に浸ることは、全身の血行を良くするだけでなく、リラックス効果もあるので、生理中の腰痛緩和を促すと言われています。
特に、炭酸入浴剤には血行促進の効果があると言われているため、入浴中に使用すると、より腰回りの血行の促進につながります。

■適度に運動する

生理前や生理中は、だるさや眠気が出たり、体調が崩れやすかったりするため、寝込んだり休んだりすることが多いかもしれません。
しかし、生理中こそ適度に身体を動かすことで、全身の血行を良くしたいものです。

おすすめは、ヨガやストレッチです。入浴後や就寝前のちょっとした時間に無理のない範囲で行うことで、血行がよくなって腰回りの筋肉がほぐれ、腰痛の軽減につながります。

■ストレスの軽減

腰痛の原因の一つである自律神経やホルモンバランスの乱れは、不規則な生活やストレスからくることが多いです。そのため、それらをできるだけ改善することが、生理前や生理中に起こる腰痛の改善にもつながります。

仕事で朝7時に起きないといけないのであれば、頑張って0時までには眠りにつくなど、規則正しい生活と睡眠のリズムを習慣づけましょう。
また、ストレス軽減のためには、アロマをたいたり、ゆっくりと入浴したりするなど、リラックスすることが重要です。

おわりに

生理前や生理中に起こる腰痛の原因と対処法に加え、起こりやすい人の特徴をご説明しました。

腰周りを温めて血行不良を改善したり、規則正しい生活を送って自律神経やホルモンのバランスを整えたりすることで、生理前・生理中の腰痛改善につながります。
薬を使わずに対処できるので、生理に伴う腰痛にお悩みの方は、ぜひ今回ご紹介した方法を実践していただければと思います。

執筆

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はり・きゅう師 村中 僚太
専門分野
鍼灸、介護、メディテーション、海外鍼灸

経歴
2008年 はり・きゅう師免許取得
2012年 国立大学法人筑波技術大学臨床研修課程終了
2013年 英国spa会社 Steinerにて豪華客船鍼灸師としてのキャリアをスタート、6年で約4,000人の外国人を治療
2019年 コーカサス地方のジョージアという国でJapanese Acupuncture Tbilisiを開業

資格
はり、きゅう師、ケアマネージャー

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗
専門分野
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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