ボクササイズとは

ボクササイズとは『ボクシング』と『エクササイズ』を合わせた造語で、ボクシングの練習メニューを取り入れた運動の商標名です。
最近はお腹周りのダイエット効果が高い事でも有名になりました。
一括りにボクササイズといえど、様々な形態があります。大きくは2つに分類され、『ボクシングに近いエクササイズ』か『エクササイズに近いボクシング』です。
テレビで話題になったおかげで、どちらも若い女性の参加者が多く、女性や初心者でも気軽に始められるようになりました。

『ボクシングに近いエクササイズ』とは

ボクシングに近いエクササイズは、ボクシングジムやキックボクシングジムで、実際にグローブを付けてトレーナーのミットを目掛けてパンチするエクササイズです。
トレーナーが個別で指導してくれるので、ボクサーの本格的なパンチの技術を習得でき、護身術にもなります。また、体力に合わせて限界近くまで追い込んでくれるので、ダイエット効果や体力増進が期待できます。
指導してくれるトレーナーは元選手が多いので、減量を経験したことがある方が大半です。そのため、減量に効果的な食事方法も相談に乗ってくれる場合が多いようです。

『エクササイズに近いボクシング』とは

エクササイズに近いボクシングは、スポーツジムや専門スタジオで、音楽に合わせてサンドバックをパンチしたり、シャドーボクシングをしたりするものです。
スポーツジムのスタジオ内で実施されるので、他のエクササイズと合わせて行ったり、やりたいときに参加したりできます。
また、音楽に合わせて複数人でエクササイズをするため、飽きにくく楽しめるのがメリットといえます。

ボクササイズは有酸素運動?無酸素運動?

有酸素運動と無酸素運動の違い

運動はエネルギーを作り出す材料により、『有酸素運動』と『無酸素運動』の2種類に別けられます。
無酸素運動では、酸素を使用せず、筋肉内の糖分やクレアチンリン酸などからエネルギーを作り出しています。ウェイトトレーニングや100m走など、負荷が強くて短時間の運動が、無酸素運動の例にあげられます。

一方、有酸素運動では、糖分や脂肪や酸素を材料にエネルギーを生産しています。これが、脂肪燃焼に有酸素運動が良いといわれている由縁です。運動強度が低めで、長時間運動するランニングなどが有酸素運動の一例です。

ボクササイズは有酸素運動と無酸素運動のいいとこ取り!

ボクササイズは無酸素運動と有酸素運動が組み合わさった運動といえます。個人の体型や運動時間、運動のやり方でも変わりますが、おおまかには、フットワークの時間が有酸素運動、パンチを打つ時が無酸素運動と考えられます。

筋トレなどの無酸素運動を行った後に有酸素運動を行うと、中性脂肪が分解されて効率よくエネルギーに変わると言われています。
ボクササイズは有酸素運動だけでなく、強めの無酸素運動も兼ねているため、脂肪燃焼に有効な運動といえます。

ボクササイズの消費カロリー

運動の消費カロリーは、以下の式で計算することができます。

簡易計算式 消費エネルギー量 (kcal) = 1.05 × メッツ × 運動時間 × 体重

『メッツ』というのは運動強度の指標です。
ボクシングの運動強度は、サウンドバックを叩くレベル(エクササイズに近いボクシング)だと5.5メッツ、スパーリングの様に動きながらパンチを出す(ボクシングに近いエクササイズ)だと7.8メッツとなります。

例えば、体重50kgの方がスパーリングの様に動いてパンチを打つトレーニングを30分行うと、約205 kcal消費することになります。
1.05 × 7.8メッツ × 0.5時間 × 50kg = 消費エネルギー 204.75 kcal

7.8メッツというのは、時速8㎞でランニングする強度と大体同じになります。ボクササイズは優秀な有酸素運動でありながら、運動強度も申し分ないようです。

ボクササイズのダイエット効果

ダイエットでは、ただ体重を落とすだけなく、ボディシェイプにも気をつけたいものです。スタイル良く、健康的に痩せるためには、お腹周りや脇から背中にかけてのラインの脂肪がなくなり、逆三角形の体型に近づけるのが理想的ではないでしょうか。

ボクササイズで『くびれ』と『逆三角形』が手に入る?

実は、ボクササイズはお腹周りや脇から背中にかけての脂肪を落とすのに適しているといえます。
例えば、パンチを打つ動作では、足の回転運動を体幹に伝え、体幹を回転させています。この体幹の回転で使う筋肉が、横腹にある『内・外斜腹筋』と背中から腰を覆う『広背筋』です。

横腹はお腹周りで特に脂肪が蓄積しやすく、脂肪が増えるとくびれのない寸胴体型になってしまいます。ボクササイズでしっかりと内・外腹斜筋を使う事で、ウエストがシャープになり、くびれができてきます。
広背筋はボクシング界では『パンチ筋』と言われるほど、パンチに重要な筋肉です。広背筋は肩から背中や腰に至る広い範囲に付いている筋肉です。この筋肉を鍛える事で脇から横腹の脂肪を撃退し、逆三角形のシルエットと、美しい背中のラインの実現に近づけます。

また、ボクササイズは全身運動でもあるので、身体全体の脂肪を燃焼する効果も期待できます。

ボクササイズのメニューと流れ

ボクササイズのやり方は、スポーツジムやボクシングジムのトレーナーによって違いがあります。ここでは、実際のボクササイズがどんなものかイメージしやすいように、一例として、ボクササイズの流れとメニューをご紹介します。

① ウォーミングアップ(20分間)

ストレッチなどを行います。その後、歩きながらパンチを出したり、足を上げたりするストレッチを兼ねた動的なウォーミングアップを行います。
その他、シャドーボクシングを行ったりすることもあります。

② ミット打ち(20分間)

実際にパンチを打つ前に、トレーナーがパンチ(キックボクシングであればキック)のフォームやコンビネーションを確認してくれます。そこで、パンチフォームの修正やコンビネーションを覚えます。
その後、3分間のミット打ちを行います。インターバルを1分おいて5ラウンドほど行います。

③ 追い込みとクールダウン(20分間)

練習最後には、男性であればボディにパンチを受け続けたり、強度の高い筋トレを行ったりして追い込みます。
女性の場合は腹筋運動や腕立て伏せなど、シェイプアップ効果の高い運動を行って追い込みます。
その後、ストレッチとクールダウンを行います。

ボクササイズの頻度

ボクササイズは週1回行えば十分運動効果が実感できるでしょう。慣れてきたらトレーナーと相談し、回数や時間を増やすこともできます。

ボクササイズはマンツーマンで行うところもあれば、時間が決まっていて集団で行うところもあります。
上記のメニューを見て「きつそう」と思った方もいらっしゃるでしょう。しかし、トレーナーが各自の体力に合わせて無理なく指導してくれるので、心配せずに興味のある人はチャレンジして欲しいと思います。

おわりに

ボクササイズの消費カロリーやダイエット効果、メニューや流れをお話ししました。ボクササイズにはスタイルアップや脂肪燃焼の効果が期待できます。
しかし、ボクササイズの魅力はそれだけでなく、楽しみながらできるという事です。音楽に合わせてパンチを打つのも、ミットに合わせてパンチを打つのも、ストレス解消になり、運動後は心も体もスッキリとします。
ストレスや運動不足解消、ダイエットなど、さまざまな目的で行えるので、興味ある方は是非ともチャレンジしてみてください。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

関連する記事

関連するキーワード

著者