安産灸とは

お灸は、数千年前の中国が発祥の国だと言われ、もぐさを皮膚のツボにくっつけて熱で温めることによって体の中の血の巡りを改善していく治療法です。安産灸には3種類の治療法があります。

一つ目は、胎動が始まったころからお産や陣痛の痛みを少しでも軽くするなど難産にならないようにするために、主に安産のツボと呼ばれている“三陰交”にお灸をする治療法です。

二つ目は、逆子を直すためのお灸で逆子の施術の時には「至陰」と言うツボにお灸をします。

三つ目は、つわりを少しでも軽くするためのお灸です。

安産灸の開始時期

安産灸の開始は、胎動が始まったころが目安と言われていますが、妊婦の方の体質も考慮して施術することが大切です。
日本での安産灸は、主に「女の一生と漢方」の著者であり、戦後の産婦人科医の石野信安先生の研究や鍼灸院の施術経験に基づいて施術方針が決められ、一般的に胎盤が安定して胎児の発育が軌道に乗るころになるとつわりも軽くなる妊娠5カ月~6カ月に開始されると言われています。

安産灸の効果

冷え症の妊婦の方の産道は、固くて出産に時間が掛かると言われています。この問題を解決するためにも安産灸によって冷え症を治療することで安産を目指していくという効果もあります。妊婦の方の産後の回復が良くなるだけでなく乳汁の分泌にも効果があることや妊婦の方が臨月に入っても陣痛が来ない時に三陰交にお灸をすると陣痛を促すと言われています。

安産灸とリンパマッサージの注意点

安産に三陰交の安産灸やリンパ・マッサージが良いとされています。
しかし、安産灸の施術を受けに鍼灸院に行く前に担当の産婦人科医に相談することをおすすめします。なぜなら妊婦の方の体質によっては、早産になってしまうリスクが高くなってしまうことや、特に初産の時には、妊婦の方の体質が分からないので気を付ける必要があります。
決して自分自身の判断のみで安産灸やリンパ・マッサージをするのではなく、念には念を入れながら産婦人科医や鍼灸師、その他専門家と相談を重ねて慎重に行動しましょう。

妊婦さんのむくみ解消法

妊娠中は体の変化によってむくみやすくなると言われ、特に妊娠5カ月~10カ月にかけてむくみについて悩む妊婦の方が多いようです。そこでむくみのメカニズムについて述べていきます。妊娠をすると一時的に全身の血液の量が増えます。なぜなら血液から胎児に栄養を運ぶための役割を行っているからです。全身の血液の量が増えることによって体の水分量も増えるので、むくみやすい体内環境になってしまいます。そのような体内環境で血液が増えて、血液の流れが悪くなることがむくみの原因です。また妊婦の方が妊娠中に良いことだと思って体に負担をかけないように、動かないで同じ姿勢でいることが意外とむくみの原因につながってしまいます。

2005年3月末ごろまで妊娠中のむくみは、妊娠中毒症と診断されていましたが現在では「妊娠浮腫」と診断されています。その他にも間違った食べ物の摂取をしていることが原因でむくみになることもありますので、食べ物の摂取について述べていきます。妊婦の方の塩分摂取量は8グラム以下です。むくみにならないようにするために、体の中の塩分を少しでも早く排泄する働きがあり、カリウムを多く含む食品を摂取することが効果的です。カリウムを多く含んでいるバナナ、トマトなどの果物や野菜、海藻を中心にしたバランスの良い食事をしていくことが大切です。

安産灸の費用

鍼灸院によって治療費が違ってくることや数回治療に通うということを考慮して治療前に相談することをおすすめします。鍼灸院によっては、初診料を請求する鍼灸院もあるので治療費は、5,000円~10,000円ぐらいが目安だと言われています。そして、担当産婦人科医とのきちんと連携した治療ができる鍼灸院がおすすめです。安産灸をすることが可能な鍼灸院はたくさんありますが環境が整っている鍼灸院を選択すると良いです。

おわりに

むくみの原因は、上記で述べていること以外にもいくつかあります。
妊婦の方の多くは冷え症がむくみの原因になっています。寝る時には足を高くして寝ることや体が冷えないように着圧ソックスを履いたり、体調が良い時は楽しみながらウォーキングをすることで体重増加にならないよう、工夫に努めていただくことをおすすめします。そして、体を締め付けない衣類を着て強度のストレスを抱え込まないことが大切です。

また、妊娠5カ月~7カ月に起こるむくみの10パーセントが妊娠高血圧症候群になる確率だと言われています。この妊娠高血圧症候群の前兆は、頭痛や体がだるい症状血圧が徐々に高くなる状態が言われ、重症化すると母子共に生命が危険な状態になる可能性があるので、早めに産婦人科医に相談し、安産を目指していただくことをおすすめします。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野 
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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