睡眠薬とは

睡眠薬とは中枢神経に作用し、睡眠を誘発する薬のことです。眠剤、睡眠導入剤、催眠薬などと呼ばれることもあり、医師が処方する薬です。
医師・薬剤師の指示に従って用法・用量を厳守し、服用する必要があります。
一時的な不眠に対し、薬局やドラッグストアにおいて手軽に購入できる睡眠改善薬もありますが、効果は弱く、睡眠薬とは異なるものです。

睡眠薬は不眠の症状がある場合に、精神科や心療内科で処方されます。以下のような様々な不眠の種類により、自分に合った睡眠薬を医師に処方してもらう必要があります。

・入眠障害:なかなか寝付けない
・中途覚醒:夜中に何度も目が覚めてしまう
・早朝覚醒:朝早過ぎる時間に目が覚めてしまう
・熟眠障害:十分に睡眠時間を確保しても熟睡感が得られない

不眠について医師に相談する場合は、これらの症状のうちどのような症状であるか、より具体的に話すようにしましょう。

睡眠薬の種類と効果

睡眠薬は作用時間によって超短時間作用型、短時間作用型、中時間作用型、長時間作用型に分類されます。
超短時間型、短時間型は効果時間が短いので、寝始めに効果があり、徐々に効果が和らいできます。寝付きが悪く、なかなか寝付けないという症状に適しています。
中時間型、長時間型は効果時間が長いので、途中で目が覚めてしまう、早朝に目が覚めてしまうといった症状に適しています。

また、睡眠薬は化学構造によりベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系、抗うつ薬、トリプタノール、テトラミド、アンデプレ、抗精神病薬フェノチアジン系などに分類されます。
ベンゾジアゼピン系は日本においては長年使われてきたものであり、睡眠薬の中でも最もポピュラーな種類です。
最近では、副作用をより軽減し、より自然な睡眠を誘発できる薬として、非ベンゾジアゼピン系が使用されることも多くなってきました。

睡眠薬の副作用

どんな薬も副作用がありますが、睡眠薬を使用する際は特に副作用が出やすくなるので、注意が必要です。
主な副作用として以下があげられます。

・耐性:飲み続けているうちに効かなくなってくる
・持ち越し効果:翌朝以降も睡眠薬の効果が持続してしまう
・ふらつき:睡眠薬の筋弛緩作用によりふらつきやすくなり、高齢者では転倒の原因となる
・記憶障害:睡眠薬を服用した後の記憶を忘れてしまう
・奇異反応:稀に抑制を欠いた行動をとることがある

睡眠薬を服用してこのような副作用が出た場合には、すぐに医師に相談しましょう。
薬の量や薬の種類を変更してもらう必要があります。

睡眠薬を飲むときの注意点

睡眠薬は使用方法を誤ると危険です。服用する際は、以下の点によく注意する必要があります。

・定められた用法・用量を厳守する
なかなか眠れないからと言って、勝手に飲む量を増やしてしまうと副作用が出やすくなり、危険です。必ず、医師・薬剤師に説明された通りの飲み方を守りましょう。

・飲んだらすぐに布団に入る
睡眠薬を飲んだ後に活動し、記憶障害やふらつきなどの副作用が出た場合、事故やケガの原因になることがあります。特に、車の運転は絶対にNGです。

・お酒と一緒に飲まない
アルコールと一緒に飲んでしまうと、睡眠薬の作用が強く出過ぎてしまうことがあります。

・自己判断で断薬をしない
症状が軽くなったからといって、自己判断で薬を減量したり、中断したりしてしまうと、その後不眠が悪化してしまうことがあります。

おわりに

睡眠薬と聞くと何となく、「依存しそう」、「副作用が怖い」、「自殺に使われる」などと、マイナスイメージを持つ人が多いかもしれません。
しかし、医療機関を受診し、医師・薬剤師の指示に従ってきちんと服薬することにより、不眠の症状を改善でき、より良い生活を送ることができるかもしれません。
正しい知識を持ち、自分に合った適切な治療を受けるようにしましょう。

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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