身体が硬い人用のストレッチの種類

身体が硬い方も簡単安全にストレッチを行うことは可能です。
健康維持に直結する重要なストレッチをご紹介します。

1. 下腿三頭筋(ふくらはぎ)のストレッチ

ふくらはぎの筋肉をストレッチすることで足首の動きが柔らかくなります。
地面から一番近い関節である足首が柔らかくなると、衝撃吸収力が高まり膝や股関節、腰に対する負担が減ります。
また、歩行時には足首を大きく動かせることで推進力が得られるため歩行効率もあがり疲れにくくなります。

2. ハムストリングス(太もも裏)のストレッチ

太もも裏の筋肉をストレッチすることで身体の前屈がしやすくなったり骨盤の前後傾を正しい位置にもってくることができます。
しゃがんだり腰をかがめたりすることが楽になるだけでなく、腰への負担を減らし腰痛を予防することができます。

3. 大臀筋(お尻)のストレッチ

お尻の筋肉をストレッチすることで股関節を大きく使えるようになります。
日常生活動作では、しゃがみ動作や前かがみがしやすくなり、スポーツ動作では陸上競技やサッカーなどで足を大きく振る動作の可動域が拡がります。
結果として腰への負担が軽減でき、腰痛予防や改善につながります。

4. 広背筋(腰)のストレッチ

広背筋は腰背部の筋肉の中で最も大きい筋肉です。
広背筋のストレッチをすることで長時間の座り仕事や重たい物を持つ仕事など、腰部にかかった負担を緩和することができます。

5. 大胸筋(胸)のストレッチ

胸の筋肉のストレッチをすることで、猫背姿勢を改善することができます。
呼吸に大きく関与する胸郭周りのストレッチにもなるので、呼吸器に問題のある方にもおすすめのストレッチです。

6. 三角筋(肩後面)のストレッチ

肩の後面をストレッチすることで肩の可動域を維持・改善することができます。
五十肩や六十肩の予防にも効果的です。

身体が硬い人用のストレッチのやり方

前にご紹介したストレッチの具体的なやり方をご説明します。

1.下腿三頭筋(ふくらはぎ)のストレッチ


1.壁や机など手をついて寄りかかることのできるものの前に立ちます。
2.両足のつま先を進行方向に向けて両足を前後に開き、後ろの足の膝を伸ばしたまま膝を曲げた前の足の方に体重を移動していきます。
3.後ろの足のふくらはぎに伸張感を感じ、踵が床から離れないぎりぎりまで前に体重を移動したところでその姿勢を保持します。
4.片方のふくらはぎがストレッチできたら、左右の足を入れ替えて両方ともストレッチを行ってください。

2.ハムストリングス(太もも裏)のストレッチ


1. 両足を閉じて直立した姿勢から膝を伸ばしたままゆっくりと前におじぎをします。
2. 手がなるべく床に近づくようにし、太ももの裏に伸張感を感じたところでその姿勢を保持します。
※太ももの裏の伸張感を感じる前に腰の痛みなどを伴う場合は、中止してください。

3.大臀筋(お尻)のストレッチ


1. 両膝を伸ばした状態で仰向けに寝ます。
2. 片方の膝を両手で抱えるようにしてできる限り自分の胸に近づけ、お尻の筋肉に伸張感を感じたらその姿勢を保持します。
3. 片方がストレッチできたら曲げる足を変えて左右ともストレッチを行ってください。

4.広背筋(腰)のストレッチ


1. 足が床につく椅子に座り、両足を軽く広げて踏ん張りやすい状態にします。
2. 背中を背もたれから離して背筋を伸ばしたら、片方の手首をもう片方の手でつかみ、掴まれている腕を遠くへ伸ばすようにそのまま身体を倒します。
3. 倒した方の反対側の腰に伸張感を感じたらその姿勢を保持します。
4. 片方がストレッチできたら身体を倒す方向を変え、左右ともストレッチを行ってください。

5.大胸筋(胸)のストレッチ

1. 両膝を立てて仰向けに寝ます。
2. 左右の手を肩の真横に開き、立てた両膝をそろえて左右どちらかの床につくように倒します。
3. 膝を倒した方と反対の胸の前の筋肉に伸張感を感じたらその姿勢を保持します。
4. 片方がストレッチできたら膝を倒す方向を変え、左右ともストレッチを行って下さい。

6.三角筋(肩後面)のストレッチ

青の背景に分離されたスポーティなアジアの女性の肖像画

青の背景に分離されたスポーティなアジアの女性の肖像画

1. 立位または座位で背筋を伸ばします。
2. 片方の手で反対側の肩を触るように顔の前を通して反対側に持って行きます。
3. 反対の手で顔の前を通した肘を押さえるようにして肩の後面を伸ばし、その姿勢を保持します。
4. 片方がストレッチできたら左右の手を変え、左右ともストレッチを行って下さい。

身体が硬い人用のストレッチのコツ

身体が硬くストレッチが苦手な方が、より効果的にストレッチを行うためのコツをお伝えします。

1. ゆっくりとした呼吸で行う

筋肉の伸張感が強かったり、普段とらないような無理な姿勢をとろうとすると呼吸が止まりがちになってしまいますが、呼吸が止まってしまうと身体の力も抜きにくくなり筋肉を伸張しにくくなってしまいます。ストレッチ中は意識してゆっくりとした呼吸をするようにしてみてください。

2. 姿勢を保つ長さ

ストレッチを数秒でやめてしまうと、十分に筋肉を伸張することができません。
特に普段伸ばしていない筋肉をストレッチするときは、20~30秒と長めにストレッチの肢位を保持するようにすると早く柔軟性が獲得でき、次回以降のストレッチが楽にできるようになってきます。

3. 反動をつけない

早く柔軟性を獲得したいという気持ちから、ストレッチ中に反動をつけて動いてしまうことがあります。
しかし、反動をつけたストレッチでは効果が下がってしまいますので、ゆっくりと呼吸をしながら静止するストレッチを行ってください。

4. 無理をしすぎない

ストレッチを行う際には筋肉の伸張感を伴いますが、強い痛みを我慢しながら行う方が早く柔軟性を獲得できると思ってしまう方もおられるようです。
痛みの強いストレッチは、その時点で伸張できる程度を超え、筋肉を損傷してしまう可能性もあります。
柔軟性を獲得するためには継続的なストレッチが必要ですので、一度に無理をしないように注意してください。

身体が硬い人用のストレッチの効果

身体が硬い方には限りませんが、ストレッチを行うことの主な効果をご説明します。

1. 日常生活動作がしなやかになる

身体の柔軟性が高まると色々な関節を大きく動かすことができるので、効率のよい動作をすることができます。
身のこなしも軽やかになり、日常生活動作が楽に行えるようになってきます。

2. 腰痛や膝痛を予防・改善できる

股関節や足首が柔らかくなると、柔らかくなった関節の動きを最大限生かせるため前かがみやしゃがみなどの動作を行うときに腰や膝の負担を軽減することができます。
日々の動作をよい状態で繰り返すことで腰痛や膝痛の改善や予防につながります。

3. 循環が改善する

ストレッチを行うと、その部位の血流やリンパの流れが改善します。
冷えやむくみが改善したり、代謝が上がることでダイエット効果もでてきます。

おわりに

今回は、身体が硬い人でも行うことのできるストレッチについて、やり方や効果をご紹介しました。
やり慣れないストレッチを始めると、最初は気持ちよさや効果よりも、苦しさや面倒臭さの方が先行してしまうかもしれません。
しかし、継続して行うことで柔軟性に変化が出るので、日常生活動作が楽に行えるようになってくると徐々に苦にならなくなってくると思います。
是非、それを感じられるように無理のない範囲で継続していただきたいと思います。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野 
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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