腹筋の構造

腹筋には、『腹直筋』、『腹横筋』、『外腹斜筋』、『内腹斜筋』の4つの筋肉があります。
それぞれの筋肉がどのように走行し、どのような働きがあるのかを理解することで、筋トレをするときに鍛えている部位をイメージしやすくなります。

ぽっこりお腹を防ぐには、一つの筋肉を鍛えるだけでは、なかなか効果が現れません。4つの筋肉をそれぞれ鍛えることで、お腹の前面や側面から、防ぐことができます。

■腹直筋

腹部の一番表面にある筋肉で、肋骨から恥骨までお腹の真ん中を走行しています。
主に体幹を前に曲げる働きを担い、補助的に体幹を左右にねじる、横に倒すなどの動きを手伝います。

腹筋トレーニングの定番ともいえる『上体起こし』や『クランチ』をする時に、強く働く筋肉で、鍛えるとシックスパックや割れた腹筋につながります。

■外腹斜筋・内腹斜筋

外腹斜筋、内腹斜筋ともに、肋骨から骨盤まで走行しています。
外腹斜筋は主に体幹を横に倒す動作、内腹斜筋は左右にねじる動作のときに活躍します。
内腹斜筋は外腹斜筋より内層に位置しているため、コルセットのようにお腹を守る役割を担っています。

お腹の横を走行している筋肉なので、トレーニングをすることでウエストのくびれにつながります。

■腹横筋

腹筋群のなかで一番深層に位置し、肋骨から骨盤まで、腹部の外側を覆うように走行しています。
『腹圧』を高める働きがあり、腹式呼吸でお腹をへこませるときに働きます。腹圧とは、お腹にかかる圧力のことです。腹圧を高めることで、腸の蠕動運動を促して排便を手伝ったり、腰への負担を軽減させたりすることができます。
他にも、腹部の外側から体幹を安定させる働きがあります。

下腹部に効く筋トレ

下腹部に効く3つの筋トレをご紹介します。
腹筋を触るなどして意識しながら筋トレを行うと、より効果を実感できます。

1. ドローイン

① 仰向けに寝て両膝を立て、手を腹部に当てます。
② 口をすぼめて息をふーっと吐きながら、お腹をマットにつけるイメージでできる限りへこませます。
③ 鼻から息を吸い、お腹を膨らませます。
④ 手順②、③の腹式呼吸を10回繰り返します。

次にご紹介する筋トレ中にも、この呼吸を意識すると、より効果的に腹筋を鍛えることができます。

2. プランク

① ヨガマットやラグの上で、四つ這いになります。
② 両足を腰幅に開いて後ろに下げ、爪先だけをマットにつけます。
③ 両肘を90度に曲げて前腕をマットにつけ、肩の下に肘がくるようにし、頭からかかとまでが一直線になるようにします。
④ ドローインの呼吸を意識しながら、③の姿勢を30秒間キープします。

3. レッグレイズ

① ヨガマットやラグの上で、仰向けに寝ます。
② 両脚を床から持ち上げて股関節と膝関節を90度に曲げ、ふくらはぎが床と平行になるようにし、息を吸います。
③ ドローインを行いながら、吐くタイミングで両脚をまっすぐ伸ばし、床に近づけます。
④ 吐ききる前に股関節と膝関節を曲げて②の姿勢に戻り、息を吸います。
⑤ 手順③、④の動きを10回繰り返します。

両脚を同時に曲げ伸ばしするのが難しい場合は、片脚ずつ交互に行いましょう。

筋トレ後のストレッチ

筋トレ後にストレッチを行うことで、筋肉痛を予防することができます。

① ヨガマットやラグの上で、うつ伏せになります。
② プランクのように両肘を肩幅に広げて前腕をマットにつけ、上半身を起こしていきます。この時、骨盤がマットから離れないようにしましょう。
③ ゆっくりと呼吸をしながら、腹部に伸びを感じるところで10秒間キープします。

筋トレの頻度

腹筋の筋トレに関しては、適切なフォームと回数で行っていれば、毎日行っても構いません。
しかし、筋肉痛が発生している場合は、正しいフォームで行えない可能性があるため、お休みするのがよいでしょう。

ストレッチは、毎日行うと柔軟性が上がり、筋トレのパフォーマンスが高まるので、毎日行ってください。
腹筋が筋肉痛の場合には、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動や、他の部位の筋トレを行うことをおすすめします。

おわりに

腹筋の構造や働きと、ぽっこりお腹を解消するための筋トレ、トレーニング後のストレッチなどについてお伝えしました。

腹筋の筋トレは、正しいフォームで継続して行えば、効果が現れます。腹筋の構造を理解し、鍛えている筋肉を意識しながら筋トレすることで、より効果が上がります。
毎日行うのが難しい場合は、週に2回は行うようにしましょう。継続してトレーニングすることで、ぽっこりお腹が解消してくると思います。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗
専門分野
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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