はじめに

足のむくみは女性の悩みのひとつです。
足が太くなる原因にもなるので、むくみは早急に解消すべきものです。

しかし、足のむくみはそういった外見的な悪影響があるだけではなく、
病気のサインであることもあるのです。

そんな病気のサインを見逃さないために、足のむくみについて学んでいきましょう!

むくみとは

むくみとは、血流に伴う静脈の詰まりやリンパ液の滞りなどが起こったときに現れます。 皮膚がパンパンに張っている、または触るとブヨブヨしていて皮膚を強く押すと指の痕が付き、なかなか戻らない状態のことです。症状は、足が重苦しく歩行が難しくなったり、今まで履いていた靴が入らなくなってしまう人もいます。

足のむくみが考えられる病気とは?

長時間の立ち仕事

長い時間立っていると、重力により血液は足に溜まってしまいます。すると、静脈にかかる圧が高くなり、戻ってくる水分を受け入れることが難しくなってしまうのです。看護師や美容師等、立ち仕事をされてる方はむくみに悩むことが多いです。

運動不足や冷え性等の血行不良

運動不足によって足の筋肉が衰えると、その血液を心臓に送り返すポンプ機能が低下しまい、足に水分が溜まりやすくなります。冷え症の人はむくみと冷えで皮膚にチアノーゼ(血色不良)が見られることがあります。

暴飲暴食・塩分と水分の取りすぎ

水分や塩分を採り過ぎることにより、血液中の水分が増えてしまいます。それにより余分な水分が留まりやすくなり、むくみの原因になります。

心臓の病気

心臓の役割は全身に血液を送り出すことで、ポンプのような働きをします。
ポンプの役割を果たせず、全身に血液を送れていない状態を「心不全」と呼びます。


<心不全とは?>
心不全とは、正常な心臓の働きが弱くなることによって起こる症状です。心臓の働きが弱くなると血液の流れが悪くなります。この状態をうっ血といい、心不全はうっ血性心不全とも呼ばれます。

左心不全は、全身へ血液を送り出す働きが低下し、チアノーゼ(手足先や口唇が紫色になること)や血圧低下、頻脈による動悸、意識障害などの症状が現れます。また肺に血液が溜まるため、呼吸困難、咳などの呼吸器症状が起こり、やがては右心系にも負荷がかかり右心不全の症状も合併します。

右心不全は、全身の静脈血が心臓に戻る流れがとどこおることによって起こる心不全です。右心不全では、浮腫、胸水・腹水貯留、頸静脈怒張、肝臓腫大などの症状が見られます。

腎臓の病気

腎臓は心臓から流れてきた血液が集まる場所で腎臓でいったん血液を綺麗に濾過します。血液の濾過とは、血液中に含まれている老廃物や毒素そして余分な塩分などを血液中から取り除き、尿として体内から排出する働きのことです。その機能が悪くなると、尿が体に溜まってしまい、むくみとして現れます。腎臓の病気には、腎不全やネフローゼ症候群があります。

肝臓の病気

肝臓は代謝や解毒などの働きをします。食べ物は小腸でアミノ酸に分解されてから、肝臓でタンパク質などに変わり、体中に回っていきます。

肝臓はアルブミンと言う物質を作る臓器で、アアルブミンは、水分を吸収し、集める血漿たんぱく質で、血管中の血液量や体内での水分の量を調整する重要な働き (血液の浸透圧の維持)をしています。アルブミンがあると、血液内に水分を溜めておくことが出来るのですが、肝臓病になってしまうと、アルブミンが作られなくなってしまいます。アルブミンの数が少なくなってしまうと、当然今まで吸収していた水分も血管内に溜めておくことが出来なくなってしまい、血管から外に出ていってしまいます。その血管から出て行ってしまった水分が細胞間という場所に入ると、そこで水分が溜まってしまって足のむくみが現れます。肝臓病による浮腫は、簡単に治らないのが特徴です。足のむくみを改善しようとストレッチやツボを押しても改善することができません。

また、アルコール過多は厳禁です。肝臓を休ませてあげる日を作ることは、とても大切なことです。尚、肝臓病は他にも症状が現れます。肌や目が黄色くなる黄疸が現れたり、尿の色が濃くなります。肝臓の代表的な病気として肝硬変があげられます。

甲状腺の病気

甲状腺の病気としては、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症があげられます。

甲状腺機能亢進症によるむくみは、水分の貯留によるもので他のむくみと同じですが、甲状腺機能低下症からのむくみは、他のむくみと違い指で押しても痕が付かないのが特徴です。又、足だけではなく顔や手もむくんでしまいます。瞼がむくむため、目が開けにくくなることがあります。

何故、他のむくみと違うのでしょうか?それは、甲状腺の機能が低下すると、全身の細胞を元気にする甲状腺ホルモンの分泌が少なくなるからです。そのため細胞は、身体に必要不可欠であるヒアルロン酸を作るだけで、古くなったヒアルロン酸の排出をしなくなります。このヒアルロン酸が排出されないことによってむくみが生じてしまうのです。そのままでいると、脚だけでなく、身体のあちこちがむくみ、内臓までむくませることになります。最悪、心臓がむくんでしまうと呼吸困難になり死に至ることがあります。

月経前症候群

女性は、毎月来る生理の前に鬱状態やイライラした状態になり情緒不安定になることがあります。それは体にも現れ、顔が火照って、熱っぽく感じる人もいれば、足がむくむ人もいます。だるさや疲労感が出てくることもあります。症状がひどく感じる時は、婦人科受診をオススメします。

怪我や傷が原因で起きるむくみ

転んで足を擦りむいた、足の指に水虫があると言うケースがあると思います。そういった傷口からバイ菌が入ることで、足が赤く腫れてむくみが出ることもあります。これを蜂窩識炎(ほうかしきえん)と言い、赤く腫れている所が蜂に刺されたように強く腫れ、むくんでしまいます。むくみの他に、熱が出る人もいます。蜂窩識炎は、抗生剤を内服することで完治します。

栄養障害と肥満

栄養障害は食欲不振により、血液中のタンパク質が低下した時に起こるものです。がんや摂食障害、過剰なダイエット、アルコール依存症などが原因です。

逆に肥満が原因で足がむくむこともあり、これは足の皮下脂肪が静脈を圧迫するために生じます。

血管浮腫

血管のむくみは、表在性血栓性静脈炎や下肢静脈瘤などによるものです。足の静脈がボコボコ浮き出て来ます。足がつり、むくみが現れて常に足が疲れている状態になってしまいます。病院では、弾性ストッキングを使用したり手術や注射で治療を行います。

痛い炎症があるむくみ

やけどや痛風が原因となるむくみです。関節リウマチなどの病気も原因になり得ます。痛風は食生活の乱れやストレスが原因で足の指の付け根やアキレス腱が腫れてしまいます。この症状は関節が炎症を起こしているために起こります。腫れと共に足が赤くなり、むくみも生じます。この状態になってしまった時は、早急に医師に相談する必要があります。

薬の副作用によるむくみ

鎮痛剤や風邪薬など炎症を抑える薬には、副作用でむくみが出現することがあります。むくみが出現する薬は他に、ホルモン剤や抗うつ剤、てんかん薬、甘草を含む漢方、抗ガン剤、降圧剤、ステロイド剤、胃腸薬
モルヒネ、利尿剤があります。利尿剤は、むくみがひどい人が飲んでいるケースが多いですが、利尿剤に頼りすぎてしまうと、尿は出ますが血圧が急激に下がってしまいます。薬は自己判断で中止せず、医師に相談しましょう。

むくまないための予防法

矯正下着や弾性ストッキングを着けっぱなしは逆効果

むくむと、太く見えるから、矯正下着を使ったり、弾性ストッキングを履いたままの人がいるのではないでしょうか?それは、かえって血のめぐりを悪くしてしまい、冷え症やむくみが悪化する原因に繋がります。矯正下着を常に使うことはオススメできません。

常に同じ姿勢でいない

常に同じ姿勢でいてはいけません。座った状態で爪先を上げ下げするだけで、むくみや足の重苦しさは解消されます。

湯船につかる

足は冷やさないことが大切です。シャワーで済ませず、週に2回はお風呂に入って体を温めましょう。血行不良が改善でき、むくみが予防できます。湯船につかりながら、足をさすりマッサージをすると更に良いです。

改善しないときは、病院へ

ただの、血行不良によるむくみだと思ってお風呂に入り、マッサージをしたり食生活も気を付けてるが改善しない。むくみが減らずに、かえってひどくなったと言う場合は、むくみを起こす原因が別にある可能性があります。自己判断はしてはいけません。病院で医師に相談して病気の早期発見に努めてください。

おわりに

いかがでしたでしょうか?

一口にむくみといっても様々な原因があることを理解していただけたでしょうか?

むくみの中には病院で治療を受けないとならないものもあります。
自己判断せず、症状が重い、改善しない場合は早期に医師に相談してください。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野 
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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