はじめに

運動不足になりがちな現代人は、隠れ肥満の傾向の方が多いと言われています。痩せているから大丈夫と慢心していると生活習慣病などを引き起こしてしまうこともあります。隠れ肥満にならないための予防方法などをまとめました。

隠れ肥満とは

「自分はほっそりとしているから肥満とは関係ない」と思っている方はいませんか?
また、見た目は細いのに健康診断を受けて、隠れ肥満と指摘された方もいるのではないでしょうか?

このように隠れ肥満とは体重も基準範囲で外見も太って見えないのに体脂肪が多い状態をいいます。特にデスクワークなど座って仕事をする機会が多いという方の場合、消費カロリーも少なく隠れ肥満には注意が必要です。

運動をする機会が少ないとカロリーを消費することができず、余ったエネルギーは体脂肪となります。肥満には皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満がありますが、内臓脂肪型肥満は隠れ肥満に多いタイプで将来、糖尿病や高血圧症、脳卒中など生活習慣病にかかる確率が高くなります。内臓脂肪型は、内臓に脂肪が付着する肥満で男性に多く見られ、別名「りんご型肥満」とも言います。

隠れ肥満の原因

なぜ隠れ肥満になってしまうのでしょうか?原因が分かれば隠れ肥満を予防することができます。

無理なダイエット

食事の量だけを減らすような無理なダイエットは脂肪を燃焼するのに必要な筋肉まで減ってしまい、逆効果になってしまいます。

運動不足

運動不足は筋肉の衰えにつながり、脂肪を燃やす働きが低下します。筋肉の量が低下するとエネルギーが消費されず肥満へとつながります。また、運動不足は新陳代謝が弱まる原因となり、消費されるエネルギーも少なくなってしまいます。

基礎代謝の低下

基礎代謝は脂肪を燃焼させてエネルギー源として、呼吸や体温など生命維持に関与しています。基礎代謝は年齢と共に低下しますが、基礎代謝が低下すると余ったエネルギーが脂肪となり徐々に蓄積されていきます。

隠れ肥満の解消法

自分では気づきにくい隠れ肥満ですが、生活習慣病の原因となるので早めに隠れ肥満を解消することが大切です。

規則正しい生活

規則正しい生活は肥満を解消するだけではなく、健康な体を維持するために大切なことです。夜更かしなど不規則な生活は内臓脂肪を分解するホルモンの分泌が悪くなり、脂肪が蓄積されやすくなります。

適度な運動

適度な運動は、筋肉の量が増えて脂肪を消費しやすくなります。運動をする時間がないという方は、エスカレーターやエレベーターは使わず、階段などを使うようにしましょう。またひと駅歩くなど負担にならない運動からはじめるようにします。

食生活を改善する

肥満にならないためには、食事にも注意しなければいけませんが、単純に食事の量を減らせば良いと言うわけではありません。間食はせず、1日3食栄養バランスの良い食事を摂取するようにします。極端なダイエットは、リバウンドした時に肥満になってしまいます。

隠れ肥満に効果的な運動

内臓に脂肪がつきやすい隠れ肥満は運動療法が効果的です。運動にはさまざまな種類がありますが、どの様な運動が効果的なのでしょうか?

ウォーキング

1日20分~30分を目安に歩くようにしましょう。歩くことはカロリーを消費するだけではなく、気分転換にもなりストレス解消につながります。ストレスは肥満の原因のひとつです。

有酸素運動

有酸素運動は酸素を体内に取り組む運動で心肺機能を高めることで代謝も良くなり肥満に効果的です。有酸素運動は、20分~30分くらい続けて安定した運動ができること、それほど激しくないこと、1週間に3回以上続けられることをポイントに選びます。ジョギングやウォーキング、水泳、サイクリングなどがおすすめです。

筋肉トレーニング

筋肉は脂肪を燃焼させるのに大切です。腹筋や背筋を鍛える筋肉トレーニングを行うと効果的です。

隠れ肥満を予防しよう

隠れ肥満を解消するには運動などが効果的ですが、他にどのような方法で予防できるのでしょうか。

摂取カロリーに注意する

食べ過ぎすると余ったエネルギーが体脂肪となって肥満の原因となります。特に糖分の過剰摂取はカロリーが多くなります。

食事に気をつける

甘い物や脂肪分の多い食事は、カロリーが高く肥満につながります。1日3食栄養バランスの取れた食事で肥満を予防しましょう。野菜には代謝を促す働きがあり、野菜が不足すると代謝が低下して肥満の原因となります。緑黄色野菜やクエン酸を含む食べ物は肥満予防に効果的な食べ物です。

適度な運動

消費エネルギーを増やすことで肥満防止に繋がります。適度に運動すると筋肉も鍛えられ脂肪が燃焼しやすくなります。食事制限だけに頼らず運動と食事をバランスよく組み合わせると効果的です。

腸内環境を整える

腸内には善玉菌や悪玉菌が存在しますが、腸内バランスが乱れると肥満になりやすいと言われています。食物繊維が豊富な海藻類やキノコ類、大豆製品、乳製品などを積極的に摂取して腸内バランスを整えるようにしましょう。

おわりに

人は年齢と共に代謝が低下するため肥満傾向になりがちです。見かけは痩せていても実は隠れ肥満だったということもあるので、定期的に健康診断を受けて体調を管理することが大切です。

無理なダイエットはかえって隠れ肥満を引き起こしてしまいます。

運動と食事を組み合わせるなど、正しいダイエットを行いましょう!

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野 
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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