はじめに

インフルエンザにかかったことはありますでしょうか?
高熱で起きられないつらさや苦しみは、経験のある方なら二度はごめんだと思っているかもしれません。

高熱が長続きすると子供だけでなく、大人もかなりぐったりとしてしまいます。インフルエンザは、ふつうの風邪と違って、熱がなかなか下がらないのです。

ここでは、インフルエンザにかかる前にも後にも、知っておいて役に立つ情報をお伝えします。

インフルエンザとは?なぜ、熱が上がるの?

インフルエンザの発熱の度合いは、個人差があり40℃まで上がって何日も苦しむ人もいれば、38℃くらいまで上がっても割と数日で終わる人もいます。インフルエンザだけでなく、通常の風邪の場合でも熱が上がりますがどうしてなのでしょうか?

下記がそのメカニズムになります。

①血液中にある白血球と呼ばれる成分が、インフルエンザウイルスを敵だと判断して闘い始めます
②闘いが始まると、情報を伝達するたんぱく質が作られます
③そのたんぱく質によって敵の侵入があったことを脳に伝えます
④脳はウイルスが高温に弱いのを知っているため、身体各部に体温上昇命令を出します
⑤身体の各部は熱を逃がさないように、活動し始め、体温をどんどん上げていきます

インフルエンザの潜伏期間って?それはどのくらい?

潜伏期間は?

インフルエンザは大きく分けて3つですが、たくさんの人が罹患するのはA型かB型です。
中でもA型は比較的増殖スピード速いため潜伏期間が短くなります。

潜伏期間が早い人では、およそ24時間以内、遅い人では5~7日ほどで、もっとも多いパターンは感染から2~3日です。

潜伏って何?

潜伏期間という言葉はよく聞く言葉かと思います。
潜伏というから潜っていること?など想像しながら解釈している人もいるかもしれません。
詳しい内容を下記にてご説明します。

インフルエンザウイルスが身体の中に侵入し(感染)、細胞内に入っていき増殖します。その数、実に驚く数値で24時間後には100万個にまで増えてしまいます。
そうしてインフルエンザウイルスは、身体中に飛び出していき、暴れだします。潜伏期間とは、インフルエンザウイルスが身体に侵入してから症状を出すまでの期間を潜伏期間と言います。

インフルエンザワクチンの注意点、使用前・使用後

注意点

●インフルエンザの予防接種は受けてもすぐに効果はでません。
おおよそ2週間程度かかりますので、その前に接種しておく必要があります。

●予防接種の薬効は5か月程度ですので、去年に予防接種を受けたからと言って、今年は必要ないとは判断しないようにしましょう。
 
●インフルエンザワクチンは、発熱37.5℃を超える場合や、重篤な急性疾患に罹患している場合、インフルエンザワクチンで過去にショックを起こしたことがある場合などは受けられません。

●インフルエンザワクチンを受ける際には、必ず問診と言って持病やその時の体調などが問われます。
しっかり答えて、心配な点がある場合は必ず医師と相談しましょう。

副反応

●注射した部分
・赤い、硬い、腫れる、痛い、熱っぽいは2、3日で消失します。

●全身症状
・発熱、倦怠感、ムカムカ感や嘔吐、下痢、頭痛、めまいなどは2、3日で消失します。

●重篤な状態
・アナフィラキシーショック
・急性散在性脳脊髄炎
・ギランバレー症候群
・肝機能障害
・ぜんそく発作
などがあります。

インフルエンザの怖い合併症

インフルエンザ脳症

インフルエンザに対抗しきれなくなってしまうため免疫異常が起きます。
そのため脳の組織を壊してしまう重篤な病気です。
5歳以下の乳幼児に発症しやすいと言われています。

症状は、インフルエンザ症状、痙攣、意識障害、幻覚や幻視、大声を上げたりなどの異常行動です。

現在では、インフルエンザ脳症の完治方法はありません。
インフルエンザに罹患してから1~2日以内に発症します。
症状が見られたら緊急に病院受診が必要です。

インフルエンザ肺炎

インフルエンザウイルスによって、気道が衰弱しているところに細菌感染することで肺炎が起きます。症状は7日以上続く発熱、呼吸困難です。

免疫力が低下した50代以上の人や、乳幼児などにかかりやすいと言われます。
重症化して心不全を起こすこともありますので、早急に病院受診し、肺炎治療を受けましょう。

熱が下がらない病気は他にもある?

インフルエンザは発熱が主症状ですが、ある程度の予防や対処薬によって治癒が認められます。
インフルエンザ以外にも、熱が続く病気は多くあります。

▪マイコプラズマ肺炎
▪急性肺炎
▪急性扁桃炎
▪急性腎盂腎炎
▪流行性耳下腺炎(おたふく)

それぞれに原因が異なるため、早期に病院受診が必要です。
炎症を抑える薬や抗生物質の投与、発熱によって脱水症状が見られる場合は、補液などの治療が行われます。

内服薬で自宅療養する場合には、しっかりと水分補給しながら安静を維持することが大切です。

インフルエンザで高熱があるときの注意点

インフルエンザと診断されても発熱は、すぐには治まるものではありません。
前述した合併症とは別に注意しなければならないことがあります。

▪発熱により脱水となる可能性があるので、しっかり水分補給しましょう。
発散してしまうのは、水分ばかりではなく塩分もその一つなので、
水やお茶ばかりではなく、スポーツドリンクや経口補水液も効果的です。

▪安静第一です。熱でもうろうとしているときなどは、車の運転などは絶対に避けましょう。
大きな事故のもとです。

▪インフルエンザのウイルスとは別に、体力が低下していることが原因で他の部分に感染が見られる場合があります。
肺炎、気管支炎、中耳炎、胃腸炎などの合併症の可能性があるため、高熱があまりにも下がらないときは、一度病院受診をなさってください。

まとめ

インフルエンザの治療は、予防接種から始まっています。

高熱が主症状ですが、その高熱が持続することで重病、時には一生意識障害を伴うということもあります。

インフルエンザにかかってしまった場合でも、しっかりと知識を持って対処することで、症状を悪化させないようにしましょう。

監修

・千葉大学医学部附属病院 宮山 友明

・千葉大学医学部附属病院 宮山 友明

専門分野 
循環器内科

経歴
1998年 千葉大学医学部医学科卒業。
2008年 千葉大学大学院医学薬学府環境健康科学を専攻し、医学博士号を取得。
現在 千葉大学医学部附属病院循環器内科医員として、心臓専門医として診療、研究。

資格
医師免許

活動:
日本抗加齢医学会専門医としてアンチエイジング医学、日本医師会認定健康スポーツ医としてスポーツ医学にも取り組み、各種メディアで活動中。

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