はじめに

世界的に健康志向が広がり、薬の副作用によって苦しむ人の存在が明らかになった現代ではカラダのメンテナンスの為に薬を使わない医療、鍼灸院や接骨院に通う人々が増えて来ました。

しかし、多くの人は“治療”の本質が見えていないように感じます。

治療を受ける前に患者さんが知っておいた方が良いという情報を治療家目線からお届けします。

1. 物事には必ず原因がある

なぜあなたは病気になったのでしょうか?
なぜあなたは怪我をしたのでしょうか?
全てのものごとはたまたま起きたのではなく、必ず原因があります。

あなたが病気になったのは不運だからではありません。病気になるべくしてなっています。
あなたが怪我をしたのはたまたまではありません。怪我をするべくしてなっています。
原因と向き合わなければ治療を受けてその場で良くなってもまた同じ症状が出ます。
たとえ同じ症状出なくても別の症状が出る事でしょう。

病気や怪我はあなたに変わるきっかけを与えてくれているのです。その事に気付き、治療を受ける前、もしくは治療中に原因と向き合いましょう。

2. それぞれの治療には受けるのに最適なタイミングがある

あなたがどんな治療法を選択するのかによって最適なタイミングは変わります。

もし、脳梗塞や心不全などの緊急を要する疾患であればすぐに病院へ行って救急処置を受けなければなりません。
しかし、慢性的な肩こりや腰痛であれば救急処置を受ける良いタイミングとは言えません。病院では慢性疾患に対して出来ることはほとんどありません。
この場合は、慢性疾患に強い鍼灸治療やマッサージ治療が最適になるでしょう。
もし、急性の捻挫や脱臼であれば、その道のスペシャリストである柔道整復師がいる接骨院に行くのが良いでしょう。骨折が疑われる場合は整形外科です。

自分の状態に合わせて適切な治療を受けれるようにどの治療が何に効くのか、どのタイミングで行くべきなのかを知っておくのはとても大切なことです。それが無駄な医療費の削減にも繋がります。

3. 治療を受けない方が良い時もある

なんでもかんでも治療を受ければ良いというわけではありません。
人間には自然治癒力が備わっています。

もしあなたが食に気をつけ、運動に気をつけ、姿勢・態度に気をつけ、思想に気をつけているのであれば、たとえ体調が悪くなってもしっかりと休養を取り、睡眠を取れば身体が勝手に不調を治してくれます。

また、急性外傷の初期や身体が衰弱している時など治療を受けることで症状が悪化してしまう場合もあります。

自分の状態を見極めつつ、身体が必要とする選択が出来るようになると、人間本来が持つ自然治癒力を最大限に引き出せますよ。
まずは自分の身体の訴えに耳を傾けてあげてみてください。

4. 全てドクター・治療家任せではダメ

常に受け身で治してもらうことしか考えていない患者が日本にはとても多いです。
根本にある原因が変わらなければたとえどんなに良い治療を受けても症状が再発するか、遠くない将来別の病気にかかります。

根本にある原因を変えるには患者本人の自覚と行動が必要です。薬や治療とは本来、人が治って行くのを手助けする役目であり、病気や怪我を根本的に治すのには患者本人の努力が大きく関わって来ます。

すぐに薬を飲んだり、怪我するたびに治療家に頼ってセルフケアを行わないようではいつまで経っても同じことを繰り返すだけで完治することは出来ません。

5. 疑うことも必要だけどまずはやってみる

今の時代はインターネットの発達がめまぐるしく、自分で大抵のことは調べることが出来ます。
そのせいかドクターの処方や治療家の施術にケチをつけ指示に従わない患者さんが増えています。

ドクターや治療家が間違っていることもありますが、彼らはその道のプロです。
患者の何千倍何万倍もの時間を医療の勉強に費やしています。またたくさんの経験を持っています。

自分で調べた情報だけを信じるのではなく、まずはやってみて効果が無ければ別の方法を探す、別の専門家の所へ行くという形を取るのが良いのではないでしょうか?

その上で治療に対するフィードバックを行い、自分にとって最善な方法を探って行きましょう。

6. 自分の判断で治療を辞めるのが1番ダメ

特に慢性疾患を持つ患者さんに多いのですが、勝手に処方された薬を辞める方、もしくは自己判断で治療院への通院を辞める方、これは本当におすすめしません。

何故なら治りかけの時期が1番大切でここでしっかり治療するかしないかで後遺症が残るか残らないかに大きな違いが出ます。

また、急性期の疾患であれば慢性化させないカギは、しっかりと最後まで治療を継続することにあります。

専門家であるドクターや治療家は、患者自身では判断出来ない様々な情報読み取って治療回数を判断しています。
彼らの意見に従わず勝手に治療を辞めるとせっかく治りかかっていた症状がぶり返し、一から治療をやり直さないと行けなくなり回復までより長い時間がかかります。
それすらしなければ症状は慢性化し、最終的に手遅れの状態となれば一生病気や怪我の後遺症と付き合って行かなければならなくなります。

専門家の意見はしっかりと聞き対話した上で判断を下してください。

7. 慢性疾患は○○変えないと治らない

慢性疾患とは日々の積み重ねにより蓄積されて来た結果引き越される症状です。
その原因は、食生活にあることもあれば、日々の動作や姿勢に起因している事もあります。生活環境や労働環境が原因の場合もあります。
それら全てはあなたがどう行動するかの判断によって決まります。

つまりあなたがどう行動するか判断する“思考”によって変わるということです。

慢性疾患を治すには、考え方を変え、行動を変えなければなりません。
たとえどれだけ治療を受けても症状が良くなっても考え方を変え行動を変えなければ、必ず症状は戻って来ます。

その時にあの治療は効かなかった、あの薬は効かなかったと言ってもしょうがないのです。何故なら治療や薬はあくまでサブの役割でしかなく、あなたの身体を治すのはあなた自身なのです。

まとめ

痛みがある時、辛い症状を抱えている時、誰しも専門家の助けが必要になります。
その時に、我々ドクターや治療家はあなたを助ける存在だと言えます。
しかし、それは片側通行の治療だけではなく、患者本人がやらねばならない事もあるのです。

施術者に頼り切るのではなく、まずは自分と向き合い、何故自分が病気になったのか、何故怪我をしたのかと向き合ってみましょう。
人が病気に罹るのはどこか無理をしているからであったり、日々の生活に見直すべき所がある場合が多いです。

怪我を負う時は怪我を負うべく動きをしている人が多いです。病気に罹った時や怪我をしてしまった時は身体の声に耳を傾け、自分と向き合ってみましょう。そうすると本当の原因が見えてきます。

ドクターや治療家を頼り切るのではなく、
うまく使うくらいの気持ちで治療にのぞむのが良いかと思います。

プロフィール

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松永光将(まつながみつひろ)
鍼灸師
あん摩マッサージ指圧師

神奈川衛生学園専門学校卒業

専門学校卒業後カリフォルニアへの語学留学を経て日本に帰国。1年間在宅訪問鍼灸マッサージで働きながら社会人アメリカンフットボールXリーグ1部 明治安田パイレーツでアシスタントヘッドトレーナーとして活動
2012年から豪華客船へと仕事の舞台を移し、船上鍼灸師として世界中の国の人々を相手に船上で鍼治療を行う。ディズニークルーズ、ホーランドアメリカクルーズ、プリンセスクルーズ、P&O Australiaクルーズと4つの大手客船会社の船での実務経験を持つ。

船を降りている時はバックパックを背負い写真を撮りながら世界を周るトラベルフォトグラファーとしても活動。
世界45カ国、150を超える都市を旅して来た。
世界を周り、世界での鍼灸の可能性を見出し、日本鍼灸を世界に輩出するべくSNSで豪華客船のことや船上鍼灸師の現状、世界の鍼灸事情を発信している。
 
http://mitsmatsunaga.com/

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