生理とは?

生理とは、おおよそ1ヶ月の周期で子宮にある『子宮内膜』が剥がれ落ち、身体の外へ排出されることです。
子宮内膜は受精卵を受け止めるために膨らみますが、受精しないと、新しい子宮内膜の準備をするために、作られた古いものを壊して血液とともに排出させます。

つまり、生理は妊娠するために欠かせないイベントということです。

生理の周期とメカニズム

生理の周期は、おおよそ28~35日間隔といわれており、そのなかで4期に分けることができます。

①卵胞期

卵子のもととなる『原始卵胞』が、卵巣のなかで成熟します。原始卵胞から女性ホルモンの一つであるエストロゲンが大量に分泌されるので、子宮内膜が厚くなっていきます。
女性が輝ける時期で、肌の調子が良く、メンタル的にも安定します。

②排卵期

成熟した卵胞から卵子が放出され、一番妊娠しやすい時期です。子宮内膜を整える『プロゲステロン』が分泌され、子宮内膜が柔らかくなります。
プロゲステロンが分泌されると、皮脂が多くなるため、肌荒れが起こりやすい時期でもあります。

③黄体期

排卵後の卵胞は『黄体』に変化し、プロゲステロンを多く分泌します。子宮内膜がさらに柔らかくなり、妊娠に備えます。
身体に不調が現れ、胸のハリや便秘などが起こりやすくなります。ホルモンバランスも崩れるため、自律神経が乱れ、イライラしたり落ち込んだり、メンタルが不安定になります。
また、体内に水分が溜まるため、むくみやすく、血行も悪くなり、肌がくすんでみえます。

④生理

妊娠しなかった場合は、子宮内膜が剥がれ落ち、血液とともに身体の外へ排出されます。
血液も排出されるため、貧血になりやすく、身体がだるくなります。プロゲステロンの分泌も減少するため、体温が下がって血行も悪くなり、肩こりや冷えにつながります。
生理痛がひどい方は、憂鬱な気分になりることもあります。

ライフステージと生理

女性の身体は、ライフステージによって変化します。
生理も同じように、年齢とともに状態が変化し、生理痛の原因も異なります。

①思春期

思春期である10代は、子宮口が狭く、経血をうまく排出することが難しいため、痛みを強く感じることがあります。
生理への知識も少なく、不安な気持ちがあり、痛みを強くしてしまうこともあります。

②20~30代

20~30代になると、妊娠や出産の準備が整います。
一般的には、子宮や卵巣が成熟したため、生理痛が軽くなるといわれていますが、仕事や生活上のストレスをかかえやすいため、生理痛には個人差があります。

③出産後

出産時に子宮口が広がるため、生理痛が軽くなる方が多いようです。
しかし、育児や生活のストレスから、生理痛が強くなることもあるので、注意が必要です。

④40~50代

更年期に入り、生理の周期や期間が一定ではなくなります。
強い生理痛や違和感を感じたら、婦人科を受診することをおすすめします。

正常な生理とは

生理は、身体的精神的ストレスにより、リズムが崩れることもあります。
生理の特徴を知るには、周期、期間、経血量、生理痛をチェックしましょう。

①生理周期

28~35日間隔だといわれています。
2~5日間のずれであれば、特に問題ありません。

②生理期間

3~7日間だといわれています。
子宮の大きさや形は、人により様々なので、生理期間も異なります。

③経血量

1周期の生理の経血量は、20~140mlといわれています。
ナプキンを1時間おきに交換したり、1日に1~2回しか交換しない場合は、経血量の異常が考えられます。

④生理痛

痛みで身体が動かせなくなり、日常生活に支障が出る場合は、異常が考えられます。

生理痛は子宮を収縮させる作用がある『プロスタグランジン』という物質が、子宮内膜から分泌されるために生じます。
さらに、経血が塊となり、子宮頸管を通過するときにも、痛みが生じます。

異常な生理とは

①周期異常

前回の生理から39日以上が経過しても、生理がこない『稀発月経』や、生理が1ヵ月に2~3回くる『頻発月経』があります。

②期間異常

生理期間が8日以上続く『過長月経』や、妊娠していないのに生理がこない『無月経』があります。

③月経困難症

生理期間中に起こる病的症状を『月経困難症』といい、下腹部痛、吐き気、腰痛、頭痛など、様々な症状が現れます。

原因は『機能性月経困難症』と『器質性月経困難症』に分けられます。
機能性月経困難症は、病気がないにもかかわらず、症状起こります。思春期に多くみられ、ストレスや、子宮を収縮させるプロスタグランジンが、子宮の収縮を過度に強めていることがあげられます。
器質性月経困難症は、子宮筋腫や子宮内膜症などの病気が原因となっています。強い生理痛や経血量などに異常を感じた場合は、婦人科を受診しましょう。

④月経前症候群 (PMS)

『月経前症候群 (PMS)』では、生理前に3~10日間ほど、精神的あるいは身体的に症状がでます。
生理開始とともに消失するのが特徴で、原因は明確になっていませんが、生理に伴って女性ホルモンのバラン崩れることが関係していると考えられています。

生理痛を和らげる方法

生理痛はつらいですが、セルフケアにより、痛みを軽減させることができます。
簡単に行えるケアを中心にご紹介しますので、日々の生活に取り入れ、生理痛の悩みを解消しましょう。

■ツボ押し

ツボ押しを行うことにより、ホルモンバランスが整い、生理痛や月経前症候群の症状が、軽減されます。

①三陰交(さんいんこう)
内くるぶしの上から膝方向に指3~4本分の位置で、すねの後ろ側にツボがあります。
足首をつかむようにして親指をツボに当て、足の中心に向かって押します。

②血海(けっかい)
膝のお皿の内側上端から指3本分上の位置に、ツボがあります。
上から膝をつかむようにして、親指をツボに当て、膝の中心に向かって押します。

③次寥(じりょう)
骨盤の中心にある逆三角形の部分を『仙骨』といいます。仙骨の中心から、左右に指2本分の位置にあり、仙骨の上から2番目にあるくぼみの中に、ツボがあります。
仰向けに寝て膝を立て、ツボの下にテニスボールなどを挟んで体重をかけても効果があります。

④太衝(たいしょう)
足の第1指と第2指の間にある、2本の骨と腱が接するV字のくぼみにツボがあります。
人指し指をツボに当て、手前に引きながら足の中心に向かって押します。

■冷えとり

身体が冷えると、骨盤周りの筋肉が緊張して生理痛が強くなります。

まずは、靴下を履き、スカートは控えて足元を冷やさないようにしましょう。どうしてもスカートを着なければならない場合は、腹巻きや腰にホッカイロを付けるなど、お腹や腰を温めるようにします。

また、白湯やハーブティーなどの、温かい飲み物を飲むことにより、お腹の中から温まることもできます。
さらに、半身浴や足湯で足先から身体を温めると、全身が温まります。

■痛み止めの薬

生理痛の薬は薬局で購入することができ、生理痛の原因の一つであるプロスタグランジンの産生を抑制する効果があります。

薬を飲みすぎると、効果が薄くなるという話もありますが、用法・用量を守れば特に問題ありません。
毎月の生理のときに1週間ほど服用しても、効きにくくなることはありませんので、薬を服用することも
痛みをコントロールする方法の一つです。

飲むタイミングは、痛みが強くなってから飲むのではなく、痛みが強くなる前に飲みましょう。

おわりに

生理痛には、ストレスが大きく影響するため、リラックスすることが大切です。しかし、現代社会ではストレスを受けることが多くあり、なかなかリラックスすることができません。

無理にセルフケアを行うと、余計にストレスがかかるので、ハーブティーを飲んだり、靴下や腹巻きで身体を温めるなど、簡単にできることから始めることをおすすめします。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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