セルライトとは

セルライトとは、皮下脂肪が肥大化および変性し、皮膚を押し上げることで皮膚上にできる凹凸のことをいいます。主に、腰、太もも、お尻など、脂肪が蓄積しやすい場所に見られるのが特徴です。
成人女性のおよそ9割の方には、身体のどこかにセルライトがあると言われていますが、男性にはほとんどありません。肥満であるかどうかに関わらず、肌の状態や生活習慣など、さまざまな要素によってセルライトは現れます。
有害なものではないので、健康面において心配をする必要はありませんが、見た目を気にする方が多いようです。

一度できたものがなくなることはありませんが、筋トレやストレッチ、マッサージなどのケアによって目立たなくすることは可能です。

セルライトができる原因

セルライトができる主な原因をご説明します。

■体脂肪量の増加

セルライトの原因は皮下脂肪なので、体脂肪量が増えると、もちろんセルライトもできやすくなります。
脂肪や炭水化物の摂りすぎや、運動不足による摂取カロリー過多は、身体に脂肪を蓄えることにつながるので注意が必要です。

■筋肉量の減少

セルライトは体脂肪だけでなく、筋肉の量によっても現れやすさが変わります。
体脂肪がある程度あっても、筋肉がしっかりとあれば、肌にハリが出てセルライトが目立ちにくくなります。逆に、やせ型の方でも筋肉量が少ないと、セルライトが目立ちやすくなってしまうことがあります。

そのため、しっかりと身体を動かして筋肉量を維持することが重要です。
また、筋肉を維持するためにはタンパク質をしっかり摂取することが大切ですので、肉や魚などの動物性タンパク質を積極的に摂りましょう。

■循環不良

脂肪細胞の周りにある毛細血管やリンパ管の循環が悪くなると、老廃物の排出が滞ってしまうため、老廃物を脂肪細胞が吸収し、肥大化しやすくなります。
肥大化した脂肪細胞は、周りの毛細血管やリンパ管を圧迫し、さらに循環を悪くしてしまうので、セルライトがセルライトを作る悪循環となってしまいます。

■肌のハリ低下

若いうちは肌にハリがあるので、皮下にセルライトがあっても比較的見えにくい状態にありますが、加齢などにより肌のハリが低下すると、セルライトが目立ちやすくなってしまいます。
肌の水分量をしっかり保つなど、スキンケアも大切です。

■ストレスによるホルモンバランスの乱れ

ストレスにより自律神経のバランスが崩れると、ホルモンの分泌にも影響を及ぼし、セルライトができやすくなってしまうことがあります。
過度のストレスには注意が必要です。

セルライトケアのトレーニング

セルライトを作らない・目立たせないようにするためには、十分な筋肉量が必要です。
ここではセルライトを予防・改善するために効果的なトレーニングをご紹介します。

■スクワット

スクワットは、下半身と体幹(腹筋や背筋)を全体的にバランスよく使うトレーニングです。
一つのトレーニングで腰回りや太ももといったセルライトのできやすい部位を一気に鍛えられるので、セルライトケアに非常に効率的です。

1. 足を骨盤の幅に広げて立ち、両足を平行にしてつま先が進行方向を向くようにします。
2. 股関節、膝関節、足関節をゆっくりと同じくらいの角度で曲げ、重心が前後しないように身体を落としていきます。
3. 膝が90度程度に曲がるところまで(ハーフスクワット)もしくは太ももと床が平行になるところまで(フルスクワット)重心が下がったら、ゆっくりと足を伸ばして最初の姿勢に戻ります。
4. この動作を10回程度繰り返します。

■ランジ

ランジは、太もも裏とお尻の筋肉をより鍛えることのできるトレーニングです。
これらの部位のセルライトが気になる方は試してみましょう。

1.足を腰幅に開いて立ち、つま先をまっすぐ前を向け、左右の足が平行になるようにします。
2.片方の足を大きく一歩前へ踏み出し、かかとから着地して足裏全体が床に着いたら、膝と股関節を曲げながら腰を真下に落とします。
3.前に出した足の膝が約90°程度になるまで腰を落としたら、前の足で地面を蹴るようにしながら元の位置に足を戻します。
4.踏み込む足を左右交互にしながら、手順2、3の動きを10~20回程度繰り返します。

開いた前後の足ともにつま先、膝の向きがまっすぐ前を向くようにし、前から見た時につま先、膝、股関節の位置が一直線になるようにしましょう。
腰を落とす際には、上半身が前のめりにならないようにし、常に地面と垂直に保ちます。

■ブリッジ

ブリッジでは、お尻の筋肉を鍛えられます。
筋力にあまり自信のない方でも始めやすいトレーニングです。

1. 両膝を立てて仰向けに寝、手をお腹の上か、身体の横で床の上に置きます。
2. ゆっくりとお尻を浮かせていき、身体を横から見た時に、肩から膝までが一直線になるようにします。
3. 手順2の位置で3秒間止め、余裕がある場合は肛門をしめるように意識します。
4. ゆっくりお尻を下ろします。
5. 手順2~4の動きを10回程度繰り返し行います。

筋力に余裕がある方は、片方の足を反対の膝に引っかけて片脚でのブリッジを行うと、負荷が上がります。片脚になると骨盤がぐらぐらしやすいですが、それを抑えることで、腹筋や背筋など体幹の筋力向上につながります。

■トランクカール

トランクカールは、『腹直筋』という、腹部中央の最も体表に近い部位にある筋肉を鍛えることができます。
そのため、お腹周りのセルライトが気になる方におすすめのトレーニングです。

1. 両膝を立てて仰向けに寝ます。
2. 両手を頭の後ろまたは胸の前に組み、おへそをのぞくように頭、肩甲骨の順に持ち上げます。
3. お腹をしっかりと縮めたら、肩甲骨、頭の順にゆっくりと下ろします。
4. 手順2、3の動きを10回程度繰り返し行います。

呼吸を止めたり、反動をつけたりせずにゆっくりと動作を行ってください。
余裕がある方は、肩甲骨が浮いたところから上半身を完全に起こし、胸が膝につくところまで行いましょう。

セルライトケアのストレッチ

セルライトを予防・改善するためには、血液やリンパ液の循環をよくする必要があります。
ここでは、それを促すために効果的なストレッチをご紹介します。

■お尻のストレッチ

1. 両膝を伸ばして仰向けに寝ます。
2. 右足の膝と股関節を90度曲げ、腰を捻って身体の左側に右脚を持ってくるようにします。
3. 右側のお尻の外側に伸張感を感じたら、そのまま20秒間ほど静止します。
4. 右側を伸ばしたら、左右を入れ替えて左のお尻もストレッチしてください。

■太もも裏のストレッチ

1. 長座の姿勢で床に座り、左の膝を曲げて右の内ももに足の裏をつけるようにします。
2. 背筋をなるべく伸ばしたまま、両手で右のつま先を持つように、身体を前方に向けて倒します。つま先まで届かないときは、膝やすねを持つようにしてください。
3. 右の太もも裏に伸張感を感じたら、そのまま20秒間ほど静止します。
4. 左右を入れ替え、左の太もも裏もストレッチしてください。

■内もものストレッチ

1. あぐらを組むように床に座り、左右の足の裏同士をくっつけます。
2. くっつけた足をなるべく手前に引いて身体に近づけるようにしたら、上半身をゆっくりと前に倒して胸を足の方に近づけていきます。
3. 左右の内もものつけ根に伸張感を感じたら、そのまま20秒間ほど静止します。
4. 上半身をゆっくりと起こし、両足の膝を伸ばしてできるだけ左右に広く足を広げます。
5. そのまま上半身を前に倒し、内ももに伸張感を感じるところで20秒間ほど静止します。
6. ゆっくりと上半身を起こし、膝を緩めます。

■お腹のストレッチ

腰を大きく反らせるので腰に痛みを感じる方は無理をしないように少しずつ可動域を拡げていきましょう。

1. 床の上にうつ伏せになり、両手を床につきます。
2. ついた両手で支えながら、少しずつ上半身を反らして起こしていきます。
3. お腹に伸張感を感じたら、そのまま20秒間ほど静止します。

※実施中に腰に痛みや違和感があったら、すぐに中止してください。

セルライトケアのマッサージ

セルライトはなくしたりつぶしたりすることはできません。
しかし、マッサージによってリンパの流れや血流を促すことで、目立ちにくくなったり、新たなセルライトが作られにくくなったりする効果が期待できます。

リンパは流れる方向が決まっているので、マッサージを行う方向に注意しましょう。
また、筋肉をほぐすときのマッサージよりも弱い力で、皮膚に近いリンパを流すイメージで行うようにしてください。
マッサージ用のオイルやクリームを使うと、皮膚との摩擦が減り、やりやすいです。

■お腹のマッサージ

1. へそから真下に向かい、上から下へと手のひらでさすります。
2. 円を描くようにへその周りをさすります。
3. 左右の脇腹からへそに向けてさすります。

■太ももとお尻のマッサージ

1. 親指と人差し指の間を開き、膝の高さから足のつけ根まで、太もも前側、外側、内側、裏側に分けてさすり上げます。
2. 手全体を使い、お尻から鼠径部に向かってさすりながら、リンパ液を流します。

おわりに

気になるセルライトを自宅でケアし、目立たないようにする方法をご紹介しました。

エステなどで高いお金を出してケアするのに抵抗があり、あきらめていた方も、ぜひこの機会にセルフケアしてみましょう。効果が現れるまで毎日もしくは頻繁にケアを継続する必要があるため、根気がいりますが、しっかりと続けて美しく引きしまった身体を目指していただきたいと思います。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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