脂肪肝とは

脂肪肝とは中性脂肪が肝臓の細胞に蓄積する病気のことを言います。
腹部超音波検査で診断でき、また、血液検査で肝機能の数値が悪化していることがあります。

近年、健康診断や人間ドッグで脂肪肝を診断される人は多く、肝臓の病の中では最も身近な病気です。

初期に症状がないために見過ごされがちですが、「発見された時にはもう遅かった」とならないために、未然に脂肪肝を防ぐことと、病気が進行しないように適切な対処をすることが大切です。

また、脂肪肝は生活習慣病でもあるため、食べすぎ、飲み過ぎなど生活習慣の乱れに心当たりのある方は特に注意が必要です。

脂肪肝の症状

脂肪肝は初期にはほとんど症状は見られません。
自覚症状が特にないにも関わらず、健康診断や人間ドッグで脂肪肝を指摘されることが多くあります。

前述したように、初期に自覚症状がないために放置し、進行してしまうと、肝硬変や肝臓がんになる可能性もあり、生命を脅かす病気となります。

肝臓は代謝、解毒、胆汁の生成などに関係する臓器で、肝臓の病変によって肝機能が悪化すると、全身の倦怠感、食欲不振、吐き気、むくみ、黄だん(皮膚や白目が黄色くなること)など、様々な症状が出現する可能性もあります。

お酒の飲み過ぎは脂肪肝につながる?

肝臓はアルコールを分解・解毒する役割を持っています。
お酒の飲み過ぎで、アルコールを過剰に摂取すると、肝臓がアルコールを代謝する段階で中性脂肪が大量に合成され、肝臓の細胞に脂肪が蓄積されてしまいます。

このようにアルコールが原因で起こる脂肪肝のことを『アルコール性脂肪肝』といいます。
飲み会などで飲酒をする機会の多い中年男性は特に、知らず知らずのうちに脂肪肝になってしまっていることがあります。

一度蓄積されてしまった肝臓の脂肪を減らすことはなかなか難しいので、普段からお酒をよく飲む方は、今一度健康診断の結果を見直し、受診の必要性がないか確認してみましょう。

近く健康診断や人間ドッグを受ける機会がある方は、肝臓に異常がないか結果をよく見てください。
また、倦怠感や黄だんなど気になる症状がある場合は、内科や消化器科を受診しましょう。

お酒による脂肪肝にならないための予防法

お酒による脂肪肝を予防するには、第一に節酒や禁酒してアルコールの摂取量を減らすことが重要です。

まだ脂肪肝が進行していない場合は、飲み会などの付き合いをほどほどにする、晩酌の量を決めて飲み過ぎないようにする、休肝日を作るなど、毎日の生活の中で工夫してお酒を減らしていきましょう。

すでに進行してしまい、肝臓病の症状が出現してしまっている場合は、禁酒・断酒をする必要があります。アルコール依存により、一人で断酒するのが難しい場合は、専門家に相談してアルコール依存症の治療を受けることをおすすめします。

また、脂肪肝を予防するにはお酒だけでなく、食べ過ぎや運動不足、生活リズムの乱れを改善することも大切です。
規則正しい生活を心がけ、食事は腹八分目に、そして適度な運動を心がけてください。

おわりに

お酒の飲み過ぎによる脂肪肝について、その症状や予防法を解説しました。
脂肪肝はなかなか自分では気づきにくい病気です。
しかし、生活習慣の改善によって予防できる病気でもあります。

進行してから後悔しないよう、お酒好きな方はお酒と上手に付き合い、健やかな毎日を過ごしましょう。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

関連する記事

関連するキーワード

著者