はじめに

冬の寒い時期を乗り越え、暖かくなるに従って、気になるのが花粉症ではないでしょうか?今まで花粉症になったことがないからと油断していると、いきなり発症するパターンも珍しくありません。では、どうして花粉症になってしまうのでしょうか?

ここでは花粉症になる原因やその症状、花粉症への対策、治療についてお伝えしていきます。

花粉症とは

花粉症とは、飛散したスギやヒノキ等の花粉が目や鼻等から体内に侵入した際に、それを排除しようとして免疫反応が働くことで起こります。花粉がアレルゲンとなり、目のかゆみや鼻水、鼻詰まり等を引き起こします。花粉症は、季節性アレルギー性鼻炎とも呼ばれています。

花粉症の原因

私たちの身体は、花粉という異物(アレルゲン)が侵入するとまず、それを受け入れるかどうかを判断します。そして異物が身体に害があると判断した場合、排除しようとするのです。身体はこれと反応する物質をつくる仕組みをもっています。この物質を「IgE抗体」といいます。

IgE抗体ができた後に再びアレルゲンの原因となる花粉が体内に入ると、鼻や目の粘膜にある肥満細胞の表面にある抗体と結合します。その結果、肥満細胞から化学物質(ヒスタミン等)が分泌されて花粉を体外に放り出そうとします。これが花粉症のメカニズムです。

日本で花粉症の主な原因となる植物は、スギのほかにもヒノキ、イネ、ブタクサ、ヨモギ等、約50種類の植物があります。

花粉症のアレルギー症状

花粉症の三大症状と言われているのがくしゃみ、鼻水、鼻詰まりです。異物が目や鼻から侵入すると、その異物を外に追い出そうとしたり、体内に入りにくくしようとする生体防御反応が働き、くしゃみ、鼻みず、鼻詰まりが出現します。

また、これらの他にも見逃されがちな症状もあります。では、そんな花粉症の辛い症状を説明していきます。

くしゃみ

くしゃみは異物(花粉)を外に輩出しようとして起こります。花粉症のくしゃみの特徴としては、何度も連続してくしゃみが起こる事です。

鼻水

鼻水は異物を洗い流そうとして起こる現象です。花粉症の鼻水の特徴としては、サラサラした水っぽい鼻水であることです。風邪等では粘り気のある鼻水になります。

鼻詰まり

鼻詰まりは、鼻の粘膜が炎症等によって狭くなってしまう事で起こります。他の症状に比べて、後から症状が現れることが特徴的です。

目のかゆみ

目のかゆみも花粉症の特徴的な症状の1つです。目の粘膜に花粉が入ってしまい、炎症が起こる事で起こります。

【見逃しがちな症状】口の渇き

鼻が詰まる等の症状により口呼吸をしなくてはならなくなる為、どうしても口や喉が渇いてしまいます。

【見逃しがちな症状】匂い・味が分からない

鼻から息が吸えなくなってしまいますので、匂いを感じる事ができなくなってしまいます。その結果、食事等をしていても味も分からなくなってしまうことがあります。

【見逃しがちな症状】咳が出る

口呼吸になってしまうので、どうしても口の中や喉が乾燥してしまい、咳が出やすくなります。また、口から呼吸をする事で異物等を吸い込んでしまうのも咳の原因です。

【見逃しがちな症状】不眠がちになる

鼻が詰まるので、夜に苦しくて眠れなくなってしまうことがあります。横になると普段より鼻が詰まりやすくなるので、日中は症状が軽い方でも夜になると重くなる場合もあります。

花粉症の対策

花粉症は空気中に含まれた花粉が原因で症状が出現します。花粉症を悪化させないためには、その花粉をできるだけ触れないように対策をすることが大切です。花粉症対策は以下の事を行いましょう。

・外出時は花粉が付着しやすい毛織物の服等は避けましょう。
・外出時はマスクやゴーグル等をしましょう。
・外出から帰ったら、髪や服に花粉が付着してるので玄関でしっかりと髪や服を払いましょう。
・外出から帰ったら手洗い、うがいを徹底し、できればシャワーで洗い流しましょう。
・花粉の飛散が多い日は、窓やドアを開けっ放しにするのは止めましょう。部屋を換気したい場合は、窓を少しだけ開け、短時間に止めましょう。
・掃除をマメに行い、窓際は念入りに行いましょう。
・花粉の飛散が多い日は布団を外に干さず、部屋干しにしましょう。

こうした対策は、花粉症の悪化を防ぐことに有効です。花粉が飛散する時期は気をつけましょう。

花粉症の治療

花粉症のスタンダードな治療としては、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の投与があります。今は薬局でも市販されている薬剤が多くありますが、その種類が多くてどれが良いのかを選べないという方も多いでしょう。花粉症かなと思ったら医療機関を受診して、医師に薬を処方して貰うのが一番安全といえます。

現在は花粉症の薬も様々なタイプの物があります。例えば、1日1回の服用で24時間効果を発揮する薬もあれば、眠くなりにくい第2世代抗ヒスタミン薬と呼ばれる薬もあります。抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬は、その副作用が薬によって違います。しかし、その効果も違うので、ご自身の体質や生活習慣にあった薬を処方して貰うことが花粉症と上手く付き合うコツです。

まとめ

花粉症の原因や症状、対策、治療についてお伝えしました。花粉症はいつ、誰が罹患してもおかしくない病気であり、昨年までは花粉症にならなかったから私は大丈夫と思っていても、いきなり発症してしまう可能性があります。

花粉症の方は、上手く花粉症と付き合って、花粉症の時期を乗り切りましょう。

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野 
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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