アンチエイジングとは

アンチエイジング(anti-aging)とは『抗加齢』や『抗老化』を意味するものです。

人間の老化は止める事ができません。
アンチエイジングは老化や加齢を止めるのではなく、老化や加齢現象のスピードを遅くし、若々しい健康な体でいられるようにする事を指します。

アンチエイジングの方法には、肌のケアや運動など様々ありますが、今回はアンチエイジングに効果的な食事について取り上げていきます。

老化の原因

加齢の進行を早める要因は様々ですが、*1『炎症』とそれに伴う*2『酸化』、*3『糖化ストレス』の3つが老化を促進するという研究結果が認められます。
【引用元】
*1:【老化】炎症が老化において果たす役割 | Nature Communications | Nature Research
https://www.natureasia.com/ja-jp/research/highlight/9335
*2: 酸化ストレス | 健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/rouka/sanka-sutoresu.html
*3: 糖化ストレス研究センター| 同志社大学 生命医科学部 アンチエイジングリサーチセンター/糖化ストレス研究センター
http://www.yonei-labo.com/gsrc/index.html
この3つは生理的老化(シワの増加や筋肉の減少などの一般に起こる老化)と、病理的老化(高血圧や骨粗鬆症などの一部の人に起こる老化)のいずれにも関連しているようです。

特に、炎症は身体を守るために現れますが、必要以上に起こすと、老化や慢性疾患の要因となる可能性もあります。
炎症をある程度正常な範囲で抑えることは、アンチエイジングにもつながる可能性があります。

アンチエイジングに効果的な栄養素と食材

ここでは、炎症と酸化、糖化ストレスの対策に効果がるのではないかといわれている栄養素と食材をご紹介します。

1. オメガ3系脂肪酸を多く含む食材

オメガ3系脂肪酸は魚、シソ油、アマニ油、エゴマ油に豊富に含まれており、αリノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)の3種類が代表的です。
オメガ3系脂肪酸には抗炎症作用があり、アレルギー疾患などの炎症がある疾患に、オメガ3系脂肪酸(EPA, DHA)による治療の有効性が示されているそうです。
【引用元】
オメガ3脂肪酸のアレルギー性結膜炎への改善効果を発見|学校法人 順天堂のプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000080.000021495.html
そのため、オメガ3系脂肪酸は積極的に摂取したい脂質です。
しかし、現代の食生活ではサラダ油やマヨネーズなどに含まれるオメガ6系脂肪酸の摂取が多くなりがちです。
オメガ6系脂肪酸には炎症促進作用があり、過剰になると、必要以上に炎症を起こす可能性があります。
オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸の比率は1:1が理想といわれています。
そこで、そこでアンチエイジングに効果的な食材として魚、シソ油、アマニ油、エゴマ油を積極的に摂取する事をおすすめします。

2. アブラナ科の野菜

キャベツやブロッコリー、大根といったアブラナ科の植物には『イソチオシアネート』と呼ばれる抗酸化物質が含まれており、動物実験などでは、この物質ががんの発症を予防する可能性が示唆されています。
アブラナ科の野菜を積極的に摂取すると、がんの再発予防やがんの予防につながるという研究結果も出ています。
【引用元】
アブラナ科野菜(キャベツ、ブロッコリー、ケールなど)は抗がん力を高める
http://www.1kampo.com/saihatsu-5.html
アブラナ科を代表するキャベツやブロッコリー、大根には、イソチオシアネートだけでなく、ビタミン類や食物繊維も豊富に含まれています。
特に、ビタミン類はアンチエイジングには必須ですので、積極的に摂取しましょう。
イソチオシアネートは熱に弱いため、火を通さない食事の調理方法も取り入れていくと良いと思います。

3. 玄米

『たんぱく糖化最終生成物(AGEs; advanced glycation end-products)』と言うものをご存知ですか?
簡単に説明すると、糖分がたんぱく質と結合して発生したもので、体内に蓄積すると、動脈硬化の要因になったり、炎症を促進したり、組織のたんぱく質を変性させて機能低下を起こしたりします。

たんぱく糖化最終生成物は、急激に血糖値を上げる糖質の摂取により、発生しやすくなります。
食品を食べた時にどれくらい血糖が上がるかを示す数値を『GI値』といい、100が最高値で白米は約88、食パンは約96といわれています。皆さんにお馴染みの主食は、非常にGI値が高いため、たんぱく糖化最終生成物を生産しやすい可能性があります。

そこで、白米を玄米に替えるとGI値が約56とかなり下がるため、アンチエイジングには主食を白米やパンから玄米に切り替えるのも良いと思います。

また、栄養面から玄米をみてみると、食物繊維をはじめ、抗酸化作用のあるフィチン酸を含んでいます。
ビタミン類ではビタミンB1、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸が豊富です。
特に、ナイアシンは脂質や糖質をエネルギーに変えて皮膚や粘膜の炎症を防ぐ作用もあるので、玄米はアンチエイジングに適した主食です。
慣れるまでは白米と玄米とのミックスでも良いと思いますので、アンチエイジングを考えている方はぜひ試してみてください。

4. たんぱく質を含む食材

美容のサプリメントでコラーゲンやプロテオグリカンが含まれるものがありますが、実はそれらは、たんぱく質から構成されています。
肌や髪の毛の美容はもちろんですが、骨や筋肉など、多くの構成要素に必要なのがたんぱく質です。
糖質は過剰になりがちですが、たんぱく質は不足しがちです。成人だと1日約60g程度必要といわれており、卵だと約12個分です。

アンチエイジングには身体の構成要素であるたんぱく質の摂取が必須です。
ぜひ、食事の中でしっかりとたんぱく質を摂取しましょう。

アンチエイジングに効果的な食事の方法

アンチエイジングには先ほど説明した、炎症や老化の要因にもなる、たんぱく糖化最終生成物を作らないようにする事が大切です。

たんぱく糖化最終生成物を少なくするには、急激な血糖値の上昇を抑えなければなりません。
ここでは、そのための食事方法をご紹介します。
糖質の摂取が少なくなる毎にレベルが上がっています。
自分に合いそうな食事方法で挑戦しましょう。

レベル1:食べる順番を変える

食べるものの順番を変えるだけで、血糖値の上昇を抑えることができるといわれています。
食事ではまず、野菜などの副菜と、肉や魚などの主菜を食べます。
その後、主食を加えて食べるだけでも、血糖値の急激な上昇を抑制できるようです。
もちろん、主食の白米に玄米を混ぜると、さらに効果が上がります。

レベル2:GI値が高い食材を控える

GI値が高い食材を控え、低い食材に替えるだけでも、たんぱく糖化最終生成物が少なくなります。
主食がパンの場合はご飯へ、白米の場合は玄米へと替えるなどするだけでも、効果が期待できます。
また、見落としがちなのが調味料です。
どんな調理にも使うことが多い砂糖ですが、できるだけ控えましょう。
甘さを加えたい時は、野菜を上手に使ったり、料理酒を加えたりするなど、工夫する事をおすすめします。
簡単に料理に使える『めんつゆ』も流行っていますが、砂糖を使っているので控えましょう。

レベル3:一食は穀物を抜く+お菓子をやめる

日本人は糖質過多であるといわれています。
そのため、一食だけご飯やパンなどの主食を抜くと、負担が軽い糖質制限ができます。
糖質制限については賛否両論ありますが、一食だけであれば、生活に影響なくたんぱく糖化最終生成物を減少させることができます。

そして、できる限り食べるのをやめて欲しいのがお菓子です。
お菓子はGI値がかなり高く、食べるごとに老化すると言っても過言ではないお菓子もあるので気を付けましょう。

おすすめアンチエイジングレシピ

鯵のカルパッチョ

抗酸化作用のあるオメガ3系脂肪酸を摂取できる、アンチエイジングにぴったりのメニューです。
作るのに時間がかからないのでおすすめです。

【材料】
・生食用のアジ 1匹(ほかの青魚やブリなどでも代用可)
・シソ油かエゴマ油 大さじ1~2
・レモン果汁 大さじ1~2
・塩胡椒 適量
・ミニトマト 適量
・パセリ 適量
・レモンの皮のすりおろし
※お好みで野菜を追加してサラダに替える事も可能です。

【作り方】
① アジをフライスして皿に並べます。
② ミニトマトやパセリで飾り付けながら盛り合わせていきます。
③ 塩、胡椒、シソ油かエゴマ油、レモン汁を回しかけます。
④ レモンの皮を摩り下ろしたものをかけて出来上がりです。

おわりに

アンチエイジングは日々の小さな積み重ねです。
食事を含めた生活習慣の見直しを何回も繰り返し、改善していく事で成功するのだと思います。

ただ、忘れないで欲しいのが、アンチエイジングは楽しんで取り組む事も大切です。
若返りを楽しみながら生活習慣を見直していきましょう。

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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