胸の構造

■胸の骨格は男女同じ?

胸は、骨格レベルでは男女ともに同じ構造をしています。胸の中心にある『胸骨』、左右に12対ある『肋骨』、背骨の一部である『胸椎』からなる『胸郭』が基盤となっています。
胸郭の周りには、『大胸筋』を中心とした胸の筋肉があり、さらに表層に皮下脂肪と皮膚があります。

女性では、初経が始まるころから乳房が発達してくるのが特徴で、これは出産後母乳で子どもを育てるために起こる変化です。

■乳腺と靭帯の役割

女性の乳房は、9割が脂肪、1割が『乳腺』になっています。
乳腺は、乳頭(乳首)を中心に乳房の中に広がっており、母乳を作り出す器官です。妊娠中や授乳中に乳房が大きくなるのは、乳腺が通常よりも発達するからだと言えます。

また、乳腺が発達すると、それに見合うように脂肪の量も増えて乳腺を保護します。それとともに、乳腺を皮膚や筋肉につなぎとめるため乳に『クーパー靭帯』という靭帯が点在しています。

■胸が垂れる原因とは?

ブラジャーなど、胸の位置を安定させられる下着を着用せずにいると、乳房の重みで胸が下垂してしまい、クーパー靭帯は引き伸ばされてしまいます。靭帯は一度伸びてしまうと元には戻らないので、さらに胸が下垂しやすくなってしまいます。
また、バストの土台となる大胸筋をしっかり鍛えることもきれいな胸の形を維持するために大切です。
大胸筋の鍛え方についてはこのあと詳しくご紹介します。

バストアップに効果的な筋トレ

■合掌ポーズ

筋力に自信のない方でも簡単にできる初級の筋トレです。

1.両手のひらを胸の前で合わせ、合掌ポーズをとります。
2.両手首から肘までが床と平行になるところまで肘を張り、両手を押し合わせるように強く力を入れ、10秒間ほどキープします。
3.ゆっくりと力を抜き、再び両手を押し合わせる動きを10回×2~3セット繰り返します。

バストアップのために大胸筋を鍛えるということを考えると、合掌ポーズだけでなく、以下にご紹介するような少し負荷を上げたトレーニングも行うようにしましょう。

■チューブでチェストプレス

トレーニング用のチューブにはいろいろな強度があり、自分に適したものを選ぶことで、適度な負荷をかけられます。

1.立位または座位でチューブを背中の後ろを通し、両端を左右の手でそれぞれ持ちます。
2.両手を胸の高さで胸の外側にセットし、背筋を伸ばして軽く肩甲骨を内側に寄せ、ゆっくりと両手同時に手を前方に伸ばします。
3.肘を伸ばしきったら、ゆっくりと元の位置に戻します。
4. 手順2、3の動作を10回×2~3セット繰り返します。

■腕立て伏せ

腕立て伏せは自分の体重を支える負荷の高いトレーニングです。前にご紹介したトレーニングが楽にできるようになってきた方は、ぜひチャレンジしてみてください。

1.四つ這いになり、肩幅よりも拳2つ分広げた幅で両手を床につきます。
2.足を骨盤の幅に開き、膝を伸ばしてつま先だけが床につくようにします。
3.身体を横から見たときに、肩から足首までが一直線になるようにし、腰が反ったり曲がったりしないようにします。
4.手順3のポジションが崩れないように気を付けながら、ゆっくりと肘を曲げ、身体を床に近づけていきます。
5.身体や顔が床につく手前まで下ろしたら、ゆっくりと肘を伸ばして元のポジションに戻ります。
6. 手順4、5の動きを10回×3セット繰り返します。

上記の腕立て伏せをするのが筋力的に難しい方は、壁や机に手をついて身体をやや起こした状態で行ったり、つま先ではなく膝を床について行ったりしましょう。こうすることで負荷が軽減できるので、筋力に合ったやり方を選択してください。

胸筋のストレッチ

大胸筋の筋トレはバストアップ効果的ですが、筋トレばかり行っていると、筋肉が発達するとともに硬くなって柔軟性を失ってしまいます。
強くしなやかな質の高い筋肉をつけるためには、筋トレとともにストレッチを行うことも大切です。
そこで、胸筋のストレッチの方法を2種類ご紹介します。

■仰向けで行うストレッチ

1. 両膝を立てて仰向けに寝ます。
2. 両手を肩の高さで真横に広げて伸ばし、左右どちらかに膝を倒します。
3. 倒した側と反対側の胸の前の筋肉に伸張感を感じたら、その位置で20秒間ほど保持します。
4.膝を倒す方向を左右逆にし、反対側の大胸筋もストレッチしてください。

■立って行うストレッチ

1.ストレッチする側の手で、肩の高さにある柱や壁の角など安定したところを持ちます。
2.腕は肩の高さに開いてしっかり伸ばし、そのまま身体の向きをストレッチする胸と反対方向に捻ります。
3.胸の前から腕にかけて伸張感を感じたら、その位置で20秒間ほど保持します。
4.左右を変えて反対の大胸筋もストレッチしましょう。

大胸筋のさまざまな方向の線維をストレッチするため、持つ手の高さを肩より高いところや低いところに変えて行うとより効果的です。

筋トレの回数と頻度

■筋トレの回数

筋トレにかける時間については特に気にする必要はありません。目安として、1つの種目につき5~10回を1セットとし、それを2~3セット行いましょう。
セット間の休憩は、数十秒から数分とし、自覚的な筋肉の疲労がなくなったら、再開するようにしてください。

■筋トレの頻度

筋トレの頻度については、筋トレする日にちの間隔を2~3日以上あけ、週2~3回行うのが理想的です。

トレーニングを行った筋肉の線維は、微細に断裂します。それが修復する過程で、元の筋線維よりも強い筋肉になるのを『超回復』といい、それが完了するのに2~3日かかります。それよりも前に再び同じ筋肉に負荷をかけてしまうと、さらに断裂してしまい、超回復が見込めなくなってしまうので、ある程度日数をあけて行うのが良いでしょう。
トレーニング後、数日以内に多少の筋肉痛を感じるくらい行うのがベストです。

ただし、前にご紹介した中の合掌ポーズのような軽い筋トレは、それによって筋肉痛が起こるような方を除き、毎日行っても問題ありません。

おわりに

今回は、多くの女性の願いであるバストアップを成功させるために効果的な筋トレおよびストレッチについてご紹介しました。
もともとの体質や体型など個人差はありますが、胸に対する日頃のケアによっていくらかは年齢に伴う胸の下垂やハリの低下を防ぐことができます。
コツコツ持続してケアを行うことは大変ですが、トレーニングジムなどに通わなくても自宅でできるものばかりですので、ぜひ根気強く行っていただきたいと思います。

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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