口内炎とは

『口内炎』とは文字通り、口の中やその周辺の粘膜部分に起こる炎症のことを言います。
口の中のいろいろな場所にできますが、中でも頬の内側や歯茎、舌にできやすく、歯茎にできた場合は歯肉炎、舌にできた場合は舌炎と呼ばれることもあります。
一度に複数できたり、治るまで時間がかかったりすることもあります。

また、一口に口内炎といっても、様々な種類があり、症状や痛みの程度も様々です。
軽いものでは口の中にぽつぽつとふくらみができる程度で、痛みもそこまで強く感じることはありません。
重症になると、ただれや水ぶくれなどができてしまい、しゃべることもできないほど強い痛みを感じる場合もあります。

口内炎の種類

以下に、主な口内炎の種類について紹介していきます。

■アフタ性口内炎

『アフタ性口内炎』は、口内炎の中でも一番多くみられるものです。
比較的境界線がはっきりしており、表面が白、もしくは黄色の膜で覆われているのが特徴です。
頬の内側や舌、唇の裏や歯茎にできやすく、周辺に粘膜炎を伴うために痛みがあります。
通常は1~2週間で治りますが、繰り返しできることもあり、それを『再発性アフタ性口内炎』と呼びます。

■カタル性口内炎

『カタル性口内炎』では、口の中に炎症や水疱、ひび割れなどが見られ、刺激のある食べ物がしみて感じます。
また、唾液の粘稠度(ネバネバ感)が増え、口臭が気になるようになったり、腫れによって味覚が鈍ったりすることもあります。
しかし、ぽつぽつとしたふくらみはできず、全体的に赤くはれることが多いため、口内炎と気付かれない場合もあるようです。

■ヘルペス性口内炎

『ヘルペス性口内炎』は、『ヘルペスウイルス』に感染することで起こる口内炎です。
高熱が続いた後に、口の中に水ぶくれができ、赤く腫れて強い痛みを感じるようになります。
6カ月~3才くらいまでの子供に起こることが多く、高熱が続いて重症化しやすいため、注意しなければなりません。

■カンジダ性口内炎

『カンジダ性口内炎』は、口の中で『カンジダ』と呼ばれるカビの一種が増えてしまうことによって起こります。
通常、痛みはほとんど感じず、口の中に白い苔のようなものが見られることが多いといわれています。何らかの原因で体の抵抗力が落ちているときに発症しやすく、このような症状が見られた場合は、早いうちに病院にかかるのが良いと思われます。

■ニコチン性口内炎

『ニコチン性口内炎』とは、タバコが原因となって起こる口内炎のことです。
痛みは強くないものの、口の天井の部分が次第に厚くなり、食べ物がしみるようになることもあります。
最近では、ニコチン性口内炎ががんに進行する恐れがあることも指摘されており、日常的にタバコを吸う方は注意が必要です。

口内炎の原因と治療法

次は口内炎の原因と治療法について、種類別に見ていきましょう。

■アフタ性口内炎

アフタ性口内炎の原因は様々ですが、大きく一つにまとめると、体の抵抗力の低下によるといえます。栄養不足、ストレス、寝不足や、女性の場合は月経前、妊娠期などで抵抗力が落ちることがあります。
抵抗力が落ちると、口の中の小さな傷から侵入した菌やウイルスの増殖を許してしまい、炎症が起きて口内炎となるのです。

治療法としては、炎症部分にあまり刺激を与えず、ストレスを取り除いたり、栄養やビタミンを補給したりすることが有効でしょう。
また、パッチタイプや軟膏タイプなど、口内炎に直接効果を届ける市販薬などもあります。薬剤師と相談の上、使用してみるのも手かもしれません。

■カタル性口内炎

カタル性口内炎の場合、アフタ性口内炎と同様に、体の抵抗力が落ちているときに起こりやすくなります。
ただし、主な原因となるのは、直接の刺激や傷などといわれています。熱い食べ物によるやけどや頬の内側のかみ傷など、傷のできた部分に菌が繁殖し、口内炎となるのです。

治療もアフタ性口内炎とそれほど変わらず、刺激を控えて抵抗力を上げることに加え、抗生物質などを使用する場合もあります。

■ヘルペス性口内炎

ヘスペス性口内炎は、ウイルスの感染によるものだと先ほどご説明しました。感染は、人から人、あるいは物から人へとウイルスが移ることによって起きます。

治療は病院の処方する薬によって行い、多くは10日ほどで治すことができます。
個人でできることとしては、刺激のあるものを食べないこと、熱が出るので、水分補給をこまめに行うことなどがあげられるでしょう。

■カンジダ性口内炎

カンジダ性口内炎も、口内にカビの一種であるカンジダが増殖することで起こるとご説明しました。
健康な人に起こることはかなり稀で、発症した場合、体の抵抗力がかなり落ちてしまうような病気や状態であることが予想されます。大きな病気が隠れている可能性もあるので、早めに病院にかかりましょう。

治療には、カンジダを退治するための抗真菌薬が用いられます。

■ニコチン性口内炎

タバコが原因でニコチン性口内炎が起こることははっきりしていますが、タバコに含まれるニコチンだけが原因なのか、ほかの物質やたばこの煙による熱気が原因なのかなどは、まだわかっていません。

しかし、禁煙が何よりの治療法であることは確かですので、禁煙外来などを利用して、禁煙に努めるのがおすすめです。

口内炎のときの食事のポイント

口内炎ができてしまった場合、その痛みから、なかなか食事をする気にはならないかもしれません。しかし、食事をとらないことで栄養不足に陥ると、さらに口内炎ができやすく、悪循環になってしまいます。できるだけ栄養のあるものをしっかりと食べましょう。

例えば、粘膜の再生にはビタミンが重要なので、それを多く含む緑黄色野菜、レバー、青魚、イチゴ、アセロラなどを積極的に摂るのが良いでしょう。

逆に、香辛料や塩気の多い物、酸っぱい物、熱い・冷たい物などは、避けた方が良いでしょう。アルコールや炭酸飲料なども、刺激の原因になります。

口内炎にならないために

口内炎の予防法は原因によっても多少異なってきますが、まず大切なのは、規則正しい生活とバランスの良い食事によって体の抵抗力を保つことです。体の抵抗力が十分にあれば、多少の傷や感染は、何事もなく身体が対処してくれるでしょう。

また、極端に辛い物や熱い物など、強い刺激となるような飲食物を控えることも予防になります。
さらに、タバコはそれ自体が口内炎の原因になるだけでなく、体の抵抗力を下げる原因にもなるので、禁煙したり、吸う本数を減らしたりした方が良いでしょう。

おわりに

口内炎にはさまざまな種類があり、原因や治療方法もそれぞれで違うということがおわかりいただけたと思います。

口内炎の予防には、何よりも規則正しい生活と食習慣が大切です。健康のためにもなり、一石二鳥なので、ぜひとも実践していきたいです。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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