はじめに

最近ではコーヒーメーカーの技術も進歩して、お店だけでなく職場や自宅など、どこでもおいしいコーヒーを手軽に飲むことができるようになりました。
今では嗜好品であるコーヒーですが元々焙煎の技術が見いだされる以前は薬として用いられていました。

仕事中や運転中に眠気を取るために飲む方も多いコーヒーですが、コーヒーにはさまざまな効能があります。あまり知られていないコーヒーについて詳しくご紹介していきます。

コーヒーの主成分

コーヒーの成分で皆さんが知っているのは、「カフェイン」ではないでしょうか。
しかし、コーヒーにはカフェイン以外にも色々な成分が含まれています。
どのような成分が含まれているのか見てみましょう。

カフェイン

カフェインは、コーヒーだけでなくお茶や紅茶などにも含まれています。

カフェインは、「アルカロイド」という化合物の仲間で興奮作用や利尿作用などの効果があります。
その他にもカフェインは、集中力を上げたり、運動能力を向上させたりすることができます。
また、自律神経の働きを高める効果もあります。

ポリフェノール

コーヒーには、クロロゲン酸などのポリフェノールが多く含まれています。
ポリフェノールがコーヒーの色や味、香りの元となっています。

植物が作り出す抗酸化物質のことをポリフェノールといい、赤ワインに含まれるアントシアニンやお茶のカテキンなどもポリフェノールの仲間です。この他にも野菜や果物などに含まれており、その数は5000種類以上あるといわれています。

タンニン

タンニンという成分は、腸内に送られると腸内の善玉菌を食べてしまい、逆に悪玉菌を増やしてしまう効果があり、腸内環境を悪化させる働きをします。
特に女性の方の悩みに多い「便秘」に苦しんでいる方は、コーヒーを過剰に摂取しないように気を付けましょう。

クロロゲン酸

クロロゲン酸は、コーヒーに含まれるポリフェノールの1種です。

クロロゲン酸には、脂肪を燃焼させる作用や強い抗酸化作用があるため体にさまざまな効果を発揮してくれます。ただし、大量に摂取するとミネラルの吸収を妨げてしまうことがあるので注意が必要です。

あまり知られていないコーヒーの効果

前項の栄養素によってコーヒーが体に及ぼす嬉しい効果を10つご紹介します。

1、ダイエット効果

コーヒーがなぜダイエットに効果があるのかというと、「カフェイン」「クロロゲン酸」によるものです。
カフェインには、脂肪の燃焼を促進させるだけでなく血液中の脂肪酸濃度を上昇させる効果があります。
また、クロロゲン酸には肝臓の細胞内にある脂肪を燃焼させエネルギーに変える「ミトコンドリア」という器官に脂肪を運ぶ「CPT-1」という酵素を活性化させる働きがあります。
この2つの働きによってダイエットに効果を発揮します。

2、アンチエイジング効果

果物や野菜に含まれるビタミンの抗酸化作用によってアンチエイジングすることができます。
コーヒーには、野菜や果物以上に多くの抗酸化物質が含まれています。
また、コーヒーの方が野菜や果物よりも吸収率が高いので、より多くの抗酸化物質を体に摂ることができるため、アンチエイジングに効果を発揮します。

3、リラックス効果

脳にアルファ波が生じるとリラックスした状態になります。
コーヒー豆やコーヒーの香りを嗅ぐと、脳にアルファ波が生じるためリラックス効果を得ることができます。

4、脳の活性化

リラックス効果と同じように、コーヒーの香りを嗅ぐと脳の働きや頭の回転をよくします。
例えば、仕事中にコーヒーの香りを嗅ぐと脳の働きをよくして仕事効率を高めます。

5、肝硬変の発症を低下させる

肝硬変は、肝不全や肝臓がんの原因になる病気で、慢性的にアルコールを過剰摂取すると発症する可能性があります。
1日1杯以上コーヒーを摂取することで肝硬変を発症するリスクを低下させることができます。

6、二日酔い解消

二日酔いによる頭痛の主な原因は果実などにも含まれる「アセトアルデヒド」という物質によるものです。
このアセトアルデヒドを排出させるために、コーヒーに含まれる「カフェイン」が効果的です。
アセトアルデヒドにって拡張した血管を、カフェインを摂ることで収縮させます。そして、コーヒーの利尿作用によって体の外に排出することができます。
この効果によって二日酔いの解消につながります。

7、うつ病予防

コーヒーには野菜や果物よりも多くの抗酸化物質を含まれています。
その抗酸化物質の作用によってうつ病を予防することができます。
1日4杯程度を目安にコーヒーを飲むとよいでしょう。

8、消化促進

コーヒーには、胃壁を刺激して消化液の分泌を促す効果があります。
その効果によって消化を促進させることができます。
食後にコーヒーを飲む方がいますが、食後の消化促進を促してくれるのでよい習慣といえます。
また、食べ過ぎたときなどもコーヒーを飲むことで消化を促進してくれるためオススメです。

9、覚醒作用

コーヒーに含まれるカフェインは、中枢神経を興奮させる作用があります。
その効果によって眠気を抑え、覚醒させる効果があります。
しかし、カフェインを飲み続けると体に耐性がついてしまうため、飲み続けるのを止めたり、量を増やしていかないと効果がなくなります。

10、糖尿病予防

コーヒーに含まれるカフェインやクロロゲン酸には脂肪を燃焼させる効果があります。
その効果によって、糖尿病になるリスクを低下させることができます。
1日3~4杯を目安にコーヒーを飲むと糖尿病を予防する効果が見込めます。

コーヒーのデメリットとその予防法

コーヒーには体に良い効果を発揮することがわかっていただけたと思います。
しかし、コーヒーは飲み過ぎることで生じるデメリットもあります。
本項では、コーヒーを飲むことで生じるデメリットとその予防法について見ていきましょう。

胃を荒らす

コーヒーには、消化液の分泌を促し消化を促進する効果があります。
コーヒーを飲み過ぎてしまうとその効果が出すぎてしまい、胃痛や胃を荒らす原因になります。

<胃痛や胃が荒れるのを予防する方法>
食後にコーヒーを飲むと消化促進に役立ちますが、空腹時に飲むと胃痛や胃が荒れる原因になるので注意しましょう。
また、消化促進のためだからといって飲み過ぎはよくありません。

口臭

コーヒーには、口臭を抑える効果があります。
しかし、慢性的に飲んでいたり、飲んでから時間が経つと強烈な口臭を引き起こす可能性があります。

<口臭を予防する方法>
コーヒーを飲んだ後に口臭がする原因は、舌に付着するコーヒーの成分によるものです。
コーヒーを飲み終えた後に舌磨きをするか、舌磨きができない場合は水を口に含み舌を口の天井などにこすりつけて洗い、付着した成分を洗い流すと口臭を抑えることができます。

貧血

コーヒーに含まれるタンニンは、鉄分とくっついて鉄分が体に吸収するのを阻害します。
そのことにより体内の鉄分が不足し貧血を引き起こします。

<貧血を予防する方法>
コーヒーを飲んでいる方で貧血の方や貧血が気になる方は、食後30分以内にコーヒーを飲むことを控えるようにしましょう。そうすることで鉄分が体に吸収するのを阻害することを防ぐことができます。

睡眠の質の悪化

コーヒーの主成分の1つであるカフェインには覚醒させる効果があります。
しかし、その逆に寝つきを悪くするなどの睡眠の質を悪くさせることもあります。

<睡眠の質の悪化を予防する方法>
睡眠の質を下げないためには、寝る時にカフェインの効果が切れるように計算してコーヒーを飲むことが大切です。
コーヒーに含まれるカフェインの持続時間は飲む方の体質により異なりますが、完全に無くなるまで約15時間かかります。また、カフェインは徐々に減るのではなく4~6時間くらいで一気に減り、そこから緩やかに減っていきます。

コーヒーによって睡眠の質を悪くさせないためには、寝る時間の4~6時間前までにコーヒーを飲み終えることをオススメします。

効果を高めるコーヒーの正しい飲み方

コーヒーは朝の目覚めに飲む方や、リラックスしたいときなどにさまざまなシーンで飲まれる飲み物です。しかし、飲むタイミングによって上記の効果に差が表れるのです。
好きなタイミングで飲むことも心をリラックスさせるためにはよいことですが、コーヒーの持つ効果を高めるコーヒーの飲み方についてご紹介しますのでぜひ摂り入れてみてはいかがでしょうか。

コーヒーを飲むタイミング

健康にとってよいタイミングでコーヒーを飲むには「食前」もしくは「食事中」がオススメです。

揚げ物や脂質の多い食事をすると血液がドロドロになる原因となりますが、食前にコーヒーを飲んでおくことで「クロロゲン酸」が強い抗酸化力を発揮し、サラサラの血液を保ってくれるため、血管に負担がかからずに済みます。
ただし、食前だと空腹の可能性が高く、胃を荒らす原因にもなるため、飲みすぎには注意が必要です。

また、どうしても食前や食事中にコーヒーを飲むことに抵抗がある方は、食後にコーヒーを飲んでも構いませんが、食事した直後に飲むように心がけましょう。

おススメの飲み方

オススメの飲み方はブラックコーヒーです。
コーヒーの苦味が苦手な方は、ミルクや砂糖を入れて飲む方も多いと思います。
ミルクや砂糖を入れること自体はコーヒーの成分に変化はないので問題ありません。
しかし、砂糖やミルクを入れることで砂糖に含まれる糖やミルクに含まれる脂肪粉を摂ることになり肥満や糖尿病の原因となりえます。

どうしてもブラックコーヒーに抵抗がある方は、できるだけ砂糖とミルクを入れるのを1日1杯程度にして少しづつ慣らしていくよいでしょう。

コーヒーを飲む時の注意点

コーヒーは適度に飲むことによって、コーヒーに含まれる成分が効果を発揮します。
しかし、体に良い効果を発揮してくれるからと過剰に摂取すると逆に体に悪影響を与えることになります。1日2~4杯を目安にコーヒーを飲むようにしましょう。

また、妊娠中や授乳中の方はコーヒーに含まれるカフェインが、お腹の赤ちゃんに必要な栄養と酸素を送りにくくし、発達障害などを引き起こす可能性があるため、できるだけ控えるとよいでしょう。妊娠中や授乳中の方同様に、小さい子供にもカフェインによる悪影響の可能性があるのでコーヒーは与えないことをオススメします。

まとめ

皆さんいかがでしたか?
コーヒーはデメリットばかりの飲み物ではないことがわかっていただけたと思います。
しかし、身体に良い効果を発揮してくれるコーヒーですが、飲み方などに注意しなければ体に悪影響を与えてしまいます。コーヒーの効果を正しく摂取するためにも適量を楽しみましょう。

監修

・救急医、内科医 増田 陽子

・救急医、内科医 増田 陽子

専門分野 
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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