腕の筋肉の構造

上腕の筋肉は上腕二頭筋と上腕三頭筋が合わさって形成されています。一般用語でいう、力こぶが上腕二頭筋で、その裏側が上腕三頭筋です。
上腕二頭筋は名前の通り、短頭と長頭という2つの筋肉の頭からなります。力こぶをつくるポーズをした時に、胸側になるのが短頭で、背中側が長頭です。
上腕三頭筋は長頭、外側頭、内側頭という3つの筋肉の頭からなります。3つの筋肉の真ん中に位置するのが長頭で、その両サイドを外側頭と内側頭がはさみます。
つまり、上腕筋5つの筋肉で構成されており、満遍なく鍛えて行けば、ビックリするような太さになり得ます。

上腕二頭筋を太くするトレーニング

上腕二頭筋のトレーニングを短頭と長頭にわけて解説します。

短頭のトレーニング:バーベルアームカール(ストレートシャフト)

バーが真っ直ぐなストレートシャフトバーベルを使った、アームカールの方法を紹介します。

1. 背筋を伸ばして立った状態で、上腕を胴体の側面に添わせます。
2. 逆手でシャフト(バー)を握ります。グリップ幅は肩幅くらいです。
3. ゆっくりと両肘を曲げながら、バーベルを巻き上げていきます。
4. 鎖骨の位置までバーベルが上がったら、ゆっくりと肘を伸ばして元の位置に戻します。

巻き上げる時に小指と薬指を強めに握り、内からすくうようにしましょう。こうすることで、短頭をより刺激することができます。

長頭のトレーニング:バーベールアームカール(Wシャフト)

バーがWの形に波打ったWシャフトのバーベルアームカールをご紹介します。

1. 背筋を伸ばして立った状態で、上腕を胴体の側面に添わせます。
2. シャフト(バー)は、肩幅より拳1つ分だけ内側を逆手でを握ります。
3. 両肘を胴体側面から離さないよう、ゆっくりとバーベルを巻き上げていきます。
4. 鎖骨の位置までバーベルが上がったら、ゆっくりと肘を伸ばして元の位置に戻します。

握り幅が狭めで肘が固定されているので、巻き上げる際、前腕はハの字になっているはずです。人指し指と中指、親指で強めに握り、巻き上げるのがコツです。

上腕三頭筋を太くするトレーニング

上腕三頭筋のトレーニングを長頭、外側頭、内側頭にわけて解説します。

長頭のトレーニング :ライイングトライセプスエクステンション

フラットベンチ台に寝そべり行う、ライイングトライセプスエクステンションという種目を紹介します。 シャフトはストレートバーでもWバーでも構いません。

1. フラットベンチの先端と頭のてっぺんが揃うよう、仰向けで寝ます。
2. シャフトが目線辺りになるよう、真っ直ぐ上に腕を伸ばして構えます。
3. 肘の位置はそのままで、頭のてっぺん方向に両腕を曲げて行きます。
4. シャフトが頭のてっぺんを通過した辺りで、固定していた肘を10cmほど頭方向にずらします。こうすると、上腕三頭筋の長頭がさらにストレッチされます。
5. 長頭に力を込め、スタート位置だった目線辺りまでシャフトを戻します。

外側頭のトレーニング :スカルクラッシャー

長頭のトレーニングで紹介したライイングトライセプスエクステンションと似ていますが、スカルクラッシャーではシャフトを額に向かって降ろします。シャフトはお好きな物をお使いください。

1. フラットベンチの先端と頭のてっぺんが揃うよう、仰向けで寝ます。
2. シャフトが目線辺りになるよう、真っ直ぐ上に腕を伸ばして構えます。
3. 肘の位置はそのままで、両腕を曲げながら、シャフトを額に向かって降ろします。
4. スタート位置だった目線辺りまでシャフトをゆっくりと戻します。

バーベルが額に向かってくるので、慣れるまで少々の恐怖感があるでしょう。初級レベルの方は、以下の2点を絶対に守りましょう。
①無理な重量は扱わないこと。使用重量の目安はベンチプレスの3分の1の重さ。
②額方向にシャフトを下ろす際、スピードをコントロールすること。下ろすスピードは3秒くらい。

大変に効果が高いトレーニングですが、注意事項を守らないと、額にシャフトが勢いよく落ちて、怪我をしてしまいます。この危険を伴うということで、「スカルクラッシャー(頭蓋骨を砕く者)」と呼ばれています。

内側頭のトレーニング

外側頭のトレーニングで紹介した、スカルクラッシャーは内側頭にも有効です。さらに内側頭を鍛え上げたい場合は、スカルクラッシャーと他のトレーニングを合わせて行いましょう。このように、一つの筋肉を2種類以上のトレーニング鍛える方法をコンパウンドセット法といいます。

組み合わせるのにおすすめのトレーニングは、ダイヤモンドプッシュアップです。やり方は以下の通りです。
1. 通常の腕立て伏せの構えの姿勢をとります。
2. 手幅を狭くし、両手の人差し指と親指同士を付けてダイヤモンドの形を作ります。
3. 両肘を曲げながら、体を床方向にゆっくりと下ろします。
4. 限界まで下りたら、両肘を伸ばしながら、ゆっくりと元の位置に戻します。

トレーニングの頻度

筋力増強の機序からすると、超回復期に次の運動を実施することで筋力が増強していくが、週3回の運動では運動間は48時間程度、週2回の運動では72時間程度になる.そこで、上腕三頭筋では運動から48時間後も72時間後も超回復期に含まれており、上腕二頭筋では48時間後は超回復期に含まれるが72時間後には超回復期を過ぎている可能性が推測された.
上記を参考にすると、上腕二頭筋はトレーニングの48時間後は超回復期に入りますが、72時間後には超回復期を過ぎています。つまり、48時間以内に再びトレーニングをすることが、筋力を増すには必要です。例えば週に3回、月・水・金曜日にトレーニングをするというのが望ましいでしょう。

一方、上腕三頭筋ではトレーニングの72時間後も超回復期に入ります。そのため、週2回、例えば、月・木曜日に運動すると、運動と運動の間が72時間以内に抑えられ、超回復期にトレーニングすることが可能です。

前腕の筋肉の構造

上記した上腕三頭筋トレーニングを鍛練して行った場合、同時に前腕(手首から肘)の筋肉も強化されます。しかし、まれに前腕が発達しにくい人がいますので、参考として前腕の筋肉構造とトレーニング方法を簡単にご紹介します。

前腕は大きく分けると、以下のの3つの筋肉群からなります。
前腕屈筋群:腕の内側にある筋肉群。手首を曲げたり、手を握る際に使われる
前腕伸筋群:前腕屈筋群の対になる、腕の外側の筋肉
腕橈骨筋(わんとうこつきん):親指側にある筋肉。肘を曲げる際、腕筋のサポートとして使われる

前腕を太くするトレーニング

屈筋群を鍛える種目で、最もポピュラーなのがリストカールです。
バーベルやダンベルを持ち、手首を支点に手を内側に巻き上げて戻すことを繰り返すトレーニングです。

伸筋群のトレーニングには、リバースリストカールが効果的です。
方法はリストカールの逆で、手首を支点に手を外側に反らすトレーニングです。リストカールの半分以下の重量でトレーニングしてください。

腕橈骨筋のトレーニングには、ハンマーカールが有効です。
アームカールは手の平を上に向けて行いますが、ハンマーカールはハンマーで釘を打つように縦にダンベルを持って肘を曲げ伸ばしします。

おわりに

太い腕を作る時に、1か所の筋肉だけを意固地になって鍛えているトレーニーを時々見ます。
ある方は80kg以上のバーベルを使い、バーベルアームカールを1時間以上もひたすらしていました。自慢の上腕二頭筋を武器にボディビルコンテストに出場しましたが、残念なことに予選敗退してしまいました。
上腕二頭筋の盛り上がりは確かに凄いのですが、そこばかりがバランス悪く強調され、逆に他の部位が貧弱に見えてしまっていたのです。

上腕には5つも筋肉の頭があるのですから、それらを1つずつ丹念に鍛え上げた方が、効率的にバランスのよい、美しい腕をつくることができるでしょう。本記事を参考にたくましく、太い腕を手に入れてください。

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野 
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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