はじめに

知らない内にできて気づいたら酷くなっているのが大人ニキビです。
今回は大人ニキビがなぜ出来るのかと原因と最新の治療法についてお伝えします。

大人ニキビはどうしてできるの?

毎日ストレスと多忙で疲れていませんか?ゆっくり休む間もなくなかなか疲れもとれない、そんな日々が続くある日、鏡を見るといつの間にかできているのがニキビです。

大人ニキビと思春期ニキビはできる原因が違います。大人ニキビができる理由を説明します。

大人ニキビができやす場所

10代の頃を思い出してみましょう。あなたのニキビはどこに出来ていましたか? おそらく鼻やおでこなどのいわゆるTゾーンに多く見られたはずです。

それでは今はどうでしょう? 頬や口周りのUゾーンに出来ることが多くはありませんか?

Tゾーン=皮脂、Uゾーン=乾燥。どうやらこの辺に大人ニキビについてのカギがありそうな気がしませんか?

原因は乾燥にあった

大人ニキビができやすいUゾーンは顔の中でも乾燥しやすい部分です。
大人ニキビの原因は肌の乾燥にあります。常識的に考えると、ニキビは皮脂の過剰分泌が原因です。では、どうして乾燥がニキビの原因になるのでしょうか?

皮脂は肌を乾燥から守るという重要な役目を持っています。そんな大切な皮脂ですが、女性にとっては困った存在でもありますよね。テカリや化粧崩れの原因となるからです。皮脂をこまめに取っている人も多いことでしょう。

皮脂は取れば取るほど余計に分泌されるようになります。メイクをキープするために皮脂を取りすぎてしまうと肌のバリアがなくなり、水分が失われていきます。つまり肌が乾燥するということです。

すると、乾燥から肌を守るためにはもっと沢山の皮脂が必要だと脳が判断し、皮脂の分泌量を増やしてしまうんです。やがて大量の皮脂は毛穴に詰まるようになります。そこにニキビ菌が繁殖して炎症を起こします。

これが大人ニキビです。思春期ニキビは代謝によって皮脂や汗の量自体が多いことが原因ですが、大人ニキビは乾燥によって皮脂が増えた結果できるのです。

女性ホルモンとの関係も

大人ニキビには女性ホルモンも深く関係しています。生理前になるとニキビができる経験をお持ちの人も少なくはないのではないでしょうか。つまり、大人ニキビは女性ホルモンの影響をうけてできることもあるのです。

女性ホルモンは主に二種類あります。エストロゲンとプロゲステロンといいます。ニキビに関係しているのはプロゲステロンです。

プロゲステロンは排卵~生理の時期に多く分泌されるホルモンです。このホルモンは男性ホルモンと似たような働きを持っているため、皮脂の分泌が盛んになってしまいます。食欲が増加し、余計にニキビができやすいコンディションにしてしまいます。

妊娠には欠かせない働きをしているのがプロゲステロンですが、ニキビに関してはあまりよくありません。

ニキビも立派な皮膚疾患です

さて、皆さんはニキビ対策をどのように行っていますか?

おそらくセルフケアの方が大半でしょう。ですが、ニキビは皮膚疾患であるって知っていましたか?つまり皮膚科で治療を受けることが可能なのです。

ニキビで皮膚科なんて大げさ?

皮膚科というとどんな患者が多いイメージでしょうか? 水虫やじんましん、アトピーや火傷などを思い浮かべるのが一般的かもしれません。たかがニキビで皮膚科を受診するなんて大げさに感じる人もいるかもしれません。

ですが、そんなことはありません。ニキビ治療のために皮膚科を受診している人は想像よりもずっと多いのです。皮膚科でのニキビ治療はとてもありふれた光景なのです。

正式名は尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)

ニキビは医学的には尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)という疾患名を持っています。尋常性とはよくあるものという意味で、ざ瘡(ざそう)とは簡単に言うと出来物のことです。つまりニキビとはよく見られる普通の出来物であると捉えられています。

病名が付くということは、治療の対象になるということに他なりません。

皮膚科受診のメリットは?

ニキビで皮膚科を受診することのメリットについて考えてみましょう。市販されているニキビ用のスキンケア用品は、成分が弱められています。誰がどのように使っても安全である必要があるためです。ですが、医師の処方する薬は成分が強いため、効果も十分期待できます。

さらに健康保険の対象となりますから、費用を抑えることが可能です。スキンケア用品って意外と高額だったりします。

一番大切なことは、本当にニキビかどうかを検査できることにあります。ニキビは皮膚にもともと住んでいるニキビ菌が異常に増えた結果起こります。ところが、見た目はニキビのようであっても実はニキビではないケースも少なくはありません。

ニキビではない吹き出物にニキビ用の治療を行うと症状の悪化につながりかねません。ニキビという確定診断を受けられることが、皮膚科受診の最大のメリットと言えるでしょう。

皮膚科で行われる診察や治療とは?

さて、皮膚科ではどのような診察や検査が行われるのでしょう?

どんな診察が行われる?

まずは肌の状態を目や拡大鏡などで診察します。さらに、かゆみや痛みの有無や、生理周期との関係、食生活や睡眠などについての質問がなされます。

これらの質問で、ある程度ニキビかどうかの予測を立てています。

どんな検査が行われる?

ニキビか別の原因かの判断は顕微鏡を使って皮膚を検査することで行います。例えば水虫菌やカンジダ菌が原因でニキビのような出来物が現れることもあるためです。皮膚のごく一部を採取し、顕微鏡で菌を探すことでニキビかどうかがわかります。

水虫やカンジダなどの真菌とニキビでは真逆の治療を行うため、非常に重要な検査なのです。

どんな治療が行われる?

皮膚科で行われるニキビ治療は大きく分けて二つあります。外用薬(塗り薬)と内服薬(飲み薬)です。

近年、ニキビ治療は目覚ましい効果をあげるようになってきています。そんなニキビ治療の最前線を紹介します。

ニキビ治療法 外用薬編

外用薬とは、皮膚に直接つけることでニキビを改善するために使用されます。いわば、外側からのアプローチです。

主に使用されるのは、抗生物質、過酸化ベンゾイル、保湿剤の3つです。

抗生物質

ニキビは細菌が異常に増えすぎた結果起こります。ですから抗生物質が効果を発揮します。赤く炎症を起こしたニキビや黄色く膿みを持ったニキビに有効です。

ただし、長期にわたっての連続使用ができないことがデメリットとなります。ニキビ菌が薬に対して耐性を持ってしまう可能性があるためです。ですから、抗生物質の外用薬を使用する期間は炎症が引くまでとされています。

過酸化ベンゾイル

これは最近認可された全く新しいニキビ治療薬です。ニキビ菌に対してアプローチする点では抗生物質と変わりませんが、方法が異なっています。抗生物質がニキビ菌そのものを攻撃するのに対して、過酸化ベンゾイルはニキビ菌の住む環境をターゲットとしています。

過酸化ベンゾイルは酸素を作る作用を持っています。そしてニキビ菌は酸素が大嫌いです。つまり、ニキビ菌が生きられないような環境にするのが過酸化ベンゾイルの効果なのです。

この薬の優れた点は、抗生物質と違って耐性菌の問題が起こらないことにあります。ですから、長期間の使用が可能で、ニキビ予防薬としても使用が可能なのです。

保湿剤

大人ニキビの原因は乾燥にありましたね。というわけで保湿剤もニキビ治療には欠かすことができません。市販されてもいますが、皮膚科で処方される保湿剤は安価な上、赤ちゃんにも使用されるほど刺激の少ない成分でできています。

これを利用しない手はありません。

ニキビ治療法 内服薬編

内服薬は、外用薬と併用することで治療効果を格段に高めてくれます。

まずは抗生物質の内服を行います。そして登場するのが漢方薬です。この漢方薬が非常に優れもので、近年のニキビ治療のスタンダードとなっています。

抗生物質

外用薬同様、ニキビ菌自体を殺すために服用します。抗生物質が処方されるのは、やはり赤ニキビや黄ニキビができている状態の時です。

外用薬の時にも触れましたが、耐性菌の問題や、体内にいる良い菌も殺してしまうデメリットもあるため、やはり長期間の服用はできません。

漢方薬

ニキビ治療において非常に注目を集めているのが漢方薬です。漢方薬では急激な改善は期待できないですが、耐性菌などの問題も一般の薬剤よりは起こりにくいです。何より、とても高い治療効果をあげているのです。

使用されるのは十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)という漢方薬です。これは十種類の漢方をあわせたもので、ニキビのできにくい体質に変えてくれる効果を持っています。特に女性ホルモンの影響でニキビができる人へは非常によく効くと言われています。

まとめ

大人ニキビの原因と治療についてご理解いただけたでしょうか?

たかがニキビと甘く見てはいけません。そして皮膚科なんて大げさだと感じる必要もありません。治療が遅れるとニキビ跡が残ってしまいます。肌はとても大切なものかと思います。美肌を保つためにも、ニキビ治療は皮膚科で行うことをおすすめします。

監修

・救急医、内科医 増田 陽子

・救急医、内科医 増田 陽子

専門分野 
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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