はじめに

運動不足の方が増えている現代では、女性や高齢者を中心に便秘に悩んでいる方がたくさんいます。内服薬や下剤など便秘薬の種類はいろいろとありますが、できれば薬に頼らず健康な排便習慣をつけたいと思っている方もいるでしょう。

そこで今回は、健康な排便習慣を復活させるために腸を動かすストレッチ「腸活ストレッチ」のやり方と効果について説明いたします。

腸活ストレッチとは

口から摂取した食べ物や飲み物は胃腸で分解・吸収され、残ったものが便として排出されます。そんな中で、便を体外に押し出すために大きな働きをしているのが大腸であり、大腸は筋肉によって蠕動運動(ぜんどううんどう)を起こして便を動かしています。

本来であれば、便が腸内にあると自動的に蠕動運動が起きるのですが、日頃のストレスで副交感神経が低下してしまったり、運動不足になっていると蠕動運動が起きにくくなってしまいます。そこで「腸活ストレッチ」では、身体の外側から動きにくくなった腸に働きかけ、健康な蠕動運動を取り戻すエクササイズを行っていきます。

腸活ストレッチのやり方

それでは、「腸活ストレッチ」の具体的な方法についてご紹介します。「腸活ストレッチ」は、腸の蠕動運動を促すように身体を動かすことが目的なので絶対この動きでなければならないというものはありません。しかし、全く自由に腸を動かしてくださいと言っても困ってしまう方が多いかと思うので、いくつか代表的な方法を説明します。

次に紹介するポーズや動きは比較的腸に働きかけやすいので、参考にしていただければと思います。

1. 腹式呼吸

蠕動運動の低下の原因の一つとして副交感神経の低下があります。腹式呼吸を行うことで全身をリラックスさせ、副交感神経の働きを高めることができます。また、腹式呼吸を行うことでお腹が動くので腸を動かす刺激にもなります。特に女性は胸郭が動く胸式呼吸優位の方が多く、腹式呼吸が苦手なので腹式呼吸を練習してみましょう。

1. 膝を立てて仰向けに寝るか床にあぐらをかいて座り、姿勢を伸ばします。
2. 息を吸いながらお腹を膨らませ、吐きながらお腹をへこめます。
このとき、吸気を3~5秒かけるのに対し、呼気は5~10秒と長く息を吐きだすようにします。
座って行っている場合は、呼気の際に腰が丸まってしまわないように気をつけましょう。
3. この呼吸を5~10回繰り返します。

2. 膝かかえ

仰向けに寝て、両足を曲げて胸に近づけ、両手でぐっと抱えるようにします。
そのまましばらく静止していてもかまいませんし、少し反動をつけて腰でゆらゆら前後に揺れてもよいでしょう。

3. お尻上げ

1. 両膝を立てて仰向けに寝て、両手はお腹の上か床の上に置いてください
2. お尻の力を使ってゆっくりとお尻をあげ、肩から膝までが一直線になるようにします。その姿勢を3秒程度キープしたらゆっくりおろします。

慣れないうちは5回程度からでも結構ですので、慣れてきたら10~20回行って下さい。

4. 腰ひねり

1. 両膝を立てて仰向けに寝て、両手を肩のラインで横に広げます。
2. 両膝を合わせてゆっくりと左右交互に倒します。

これではあまりお腹や腰が動く感じがしない方、物足りない方は膝を片方ずつ曲げ反対の脚にクロスするようにして腰をひねります。

5. 腰反らし

1. うつ伏せになったら両手を床について伸ばし、腰をゆっくり反らします。
2. 反らした状態とうつ伏せに戻る状態を繰り返します。

腰が痛い方、うつ伏せが苦手な方は立った状態で上体反らしを行ったり、入たくない範囲で軽めに行うなど調整を行って下さい。

6. 骨盤回し

1. 骨盤の幅に足を広げて立ちます。
2. 骨盤を前後左右に大きく動かすように回します。

右回りと左回りの両方を行うようにしてください。

腸活ストレッチのコツ

最大限の効果が得られる「腸活ストレッチ」のコツをお伝えします。

1. 毎日コツコツ

腸活ストレッチにおいて大切なことは三日坊主にならないように、毎日コツコツ続けることです。

朝は排便しやすいということで、朝の「腸活ストレッチ」が効果的ですが、朝の通学、通勤前のばたばたした時間に急いで行うよりは、夜寝る前に行う方が時間も取りやすく落ち着いてできるので継続しやすいという方もおられるかもしれません。そういった方は夜に行う方が継続できて良いでしょう。

腸活ストレッチをご自身の時間を作りやすいタイミング、生活リズムの一つとして取り入れていただき、長く継してください。

2. リラックスした気持ちで

腹式呼吸のところでもお話しましたが、排便には副交感神経が優位になることが大切です。時間に追われる中で、とにかく「腸活ストレッチ」をこなすというようなやり方ではなかなか効果がみられにくいです。

お風呂上りや寝る前、主婦の方であれば朝家族を送り出して一息ついたあとなどリラックスした気持ちで行える時間に行ってください。また、腸活ストレッチをする間はテレビや大音量の音楽などは控えましょう。

3. 食事療法も併用する

「腸活ストレッチ」は大切ですが、身体の外側から腸を動かしても腸内の環境が整っていなければ健康な排便習慣を獲得することは難しいです。

繊維質のものや野菜を意識して摂取すること、ヨーグルトや牛乳などの乳製品を適度に摂取することなど、便秘解消に体内からも働きかけるようにしましょう。また、過度のダイエットにより食事量が極端に少ないと便の材料になるものがありません。健康美を目指すためにも食事制限のやりすぎには気を付けてください。

腸活ストレッチの効果

1. 便秘解消

「腸活ストレッチ」の最初の目的を思い出せば一目瞭然ではありますが、腸の蠕動運動を促すことで、便の動きをよくし、快便に近づきます。また、ガスがたまってお腹が張ってしまったときにもこの「腸活ストレッチ」を行うことでガスが身体の外にでてきてお腹の張りが落ち着きます。

2. 美肌効果

快便になったことにより引き起こされる大きなメリットが「美肌効果」です。便は本来老廃物であり、身体に栄養分を吸収されたものの残りです。ですから、老廃物をいつまでも体内に残すことなく排出することで腸の中がきれいになり、美肌効果にもつながるのです。

3. 腰痛改善

「腸活ストレッチ」はお腹を刺激するものが多いため、結果として腰も動かすことになります。ゆっくりと腰を曲げたり反らしたりすることで腰のストレッチにもなりますので腰痛の改善につながることがあります。

4. シェイプアップ

腰をひねるストレッチや腹式呼吸はウエストのサイズダウンにつながり、きれいなくびれをゲットすることができます。また、お尻を持ち上げるストレッチではお尻の筋肉を主に使うため、ヒップアップ効果が期待できます。「腸活ストレッチ」を行うことで、スタイルの改善も期待できるのです。

おわりに

今回ご紹介した「腸活ストレッチ」は初めて行った日からすぐ効果がでる場合と、毎日コツコツ続けるうちに徐々に快便に近づいてくる場合があります。
効果には個人差がありますが、便習慣は精神的な要素もかなり関与してきますので、焦らずゆったりした気持ちで続けてみてください。

参考文献・参照
https://www.qualia.tokyo/archives/1425 1日3分!便秘解消に効果的な「腸活」ストレッチ3選
https://tsukimiru.com/chokatsu-stretch 腸活ストレッチの効果とやり方を解説!いつやるのがいいかもリサーチ!
・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野 
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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